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CLT(Cross Laminated Timber)がわかる専門メディア

CLTで耐火性を確保した建築事例Port Plus

CLTで耐火性を確保した建築事例Port Plus

2024/03/30

木造建築の安全性向上と環境への配慮を両立した建築物として注目を集める「Port Plus」は、CLT(Cross Laminated Timber)を用いて耐火性を確保した革新的な建築事例です。この高層純木造耐火建築物は、木材の耐火性と高層構造における耐震性の課題に対処し、新たな都市木造建築の可能性を切り拓くものとして、建築界で大きな注目を集めています。

木造建造物における耐火構造とは?

木造建造物の安全性向上を図る上で、耐火性は極めて重要な要素です。耐火構造とは、火災が発生した際に建物の構造が火の勢いに耐え、火災の拡大を抑制する役割を果たす仕組みや構造のことを指します。特に木造建造物では、素材の性質上、火災リスクが高まるため、適切な耐火構造が求められます。

◇耐火と準耐火構造とは

木造建造物の耐火構造は、火災が発生した際に主要な構造部が一定の時間、高温や炎に耐え、建物が倒壊することなく自立し続ける性能を指します。この性能は、一般的に耐火建築物と準耐火建築物、その他建築物に分類されます。


耐火建築物は、主要な構造部に特殊な耐火被覆材を用いて設計され、火災後も建物が崩壊しない構造です。これにより、消防活動に頼らずとも建物が持続することが期待されます。
一方、準耐火建築物は、一定時間の火災に耐える能力を持ちます。これらの建物では、特別な耐火被覆を用いずに、柱や梁を特殊な設計で構築し、火災が発生しても一定のレベルまでの火災に対応できるようにしています。


このように、耐火構造と準耐火構造は、木造建造物が火災に対してどれだけ耐えられるかを示す重要な要素であり、それぞれ異なる設計や材料の選択が必要です。

◇燃えしろ設計とは

燃えしろ設計とは、建築物の柱や梁などの木材部分を、火災時に燃え落ちることを想定して設計する手法です。通常よりも柱を太くし、柱の表面が燃えても建物が崩壊しないよう工夫がされています。

火災時には木材が燃えるため、耐えられる応力度が低下し、建物の崩壊の原因となります。しかし、燃えしろ設計では、構造計算を行い、燃えしろ部分を除いた柱の太さを計算します。

火災が発生した場合、建物の崩壊を防ぐことで避難を支援し、消火活動に間に合うことで建物のリフォームや火災の拡大を防ぐ効果があります。さらに、各部材ごとに設けられる燃えしろによって、耐火時間が設定され、これが燃えしろ設計に基づく準耐火建物の特徴となります。

CLTの耐火性を確保するには?

CLTの耐火性を確保することは、木造建築の安全性を高める上で重要であり、特殊な耐火被覆材の使用や燃えしろ設計などの技術が用いられます。これらの取り組みによって、CLTを用いた建築物が火災に遭遇した際にも、被害を最小限に抑えることができるでしょう。

◇概要

CLTは、木造建築物の耐火性における課題を抱えています。しかし、CLTの耐火性を確保する技術としてオメガウッドが挙げられます。オメガウッドは、大断面の木材を使用して超ロングスパンの構造物を構築するための技術であり、低炭素循環型社会の要求に応えるものです。


オメガウッドでは、部材表面に燃えしろとなる層を設けることで、3時間の耐火性を実現しています。また、耐震性や剛性を高めるために、十字形の剛接合仕口ユニットが使用されています。さらに、プレハブ形式を採用することで、製作精度を向上させ、施工を効率化し、工期を短縮することが可能です。


オメガウッドの特徴は、耐火性や耐震性、製作精度の向上、効率的な施工などがあり、これらが中高層木造建築の実現に貢献しています。また、コンクリートを使用しないため、施工時の騒音やほこりを抑制し、環境に配慮した建築が可能になります。

◇メリット

オメガウッドには、さまざまな利点があります。まず、CLTはつづり材で一体化された大断面材を使用することで、従来の二次接着に比べて材料コストが半減し、納期も3分の2に短縮されます。

また、ビスを使用することで製作コストも削減できます。さらに、強度や含水率が厳密に管理された信頼性の技術により、高い精度を実現することが可能です。加工前には、LVL表面にコンピューター制御によるプレカット加工や穴あけが行われるため、複雑な仕口も高精度に製作されます。

燃えしろ設計に関しても、様々な燃焼実験が実施され、火災時の安全性が検証されています。デザイン面でも、補強鋼板を完全に隠し、美しさと安全性を両立させた空間が実現できるでしょう。

さらに、耐震要素として構造用合板が採用され、鋼材ブレースのないシンプルな空間が創り出されます。外部から取り付ける防火被覆を先に施すことで、内側からは木部が見える設計が可能となります。

高層純木造耐火建築物Port Plus

高層純木造耐火建築物「Port Plus」は、木材の耐火性と高層構造における耐震性の課題に対処するため、革新的な開発技術を採用しています。この建築物は、木造建築の耐火性と耐震性の問題を解決し、都市木造建築の新たな可能性を切り拓くものとして、今注目を集めています。

◇概要

Port Plusは、全ての地上構造部材を木材で構築した高層純木造耐火建築物です。樹木は光合成によりCO2を吸収し、建築物への木材利用は長期間CO2を固定することで脱炭素社会の実現に貢献します。

サーキュラーエコノミーの観点からも注目され、多くの人から関心が高まっている建築事例のひとつです。Port Plusは、神奈川県に自社の次世代型研修施設として建設され、知識の交流と研修を行っています。

◇環境に配慮

Port Plusは、1,990m³の木材を使用し、約1,652tのCO2を長期間、安定的に固定する環境に配慮した建築物です。建築から解体、廃棄までの全体のライフサイクルでは、鉄骨造と比較して約1,700t(約40%)のCO2削減に期待できます。

地上構造部材にコンクリートを使用しないため、コンクリート打設時の粉じんやほこり、騒音などを抑制し、周辺環境への配慮にも貢献しています。さらに、事前に工場で部材を製作することで、施工品質の向上と施工スピードの向上を実現し、1フロアの施工期間を大幅に短縮しました。

◇耐火性・耐震性

Port Plusは、木材の耐火性や高層化による耐震性の課題に対処するため、独自の開発技術を採用しています。具体的には、3時間の耐火性を実現した構造材「オメガウッド(耐火)」や、鉄骨造やRC造と同等の強度・剛性を確保するための接合法「十字形の剛接合仕口ユニット」などが挙げられます。

これにより、木造建築における耐火性と耐震性の課題を解決し、新たな都市木造建築の可能性を実現しています。

木造建築でリラックス効果を高める

木造建築は、地球環境を守り、人にやさしい住環境を提供しています。木の温もりや自然な風合いが心地よく、建物内部に自然の温かさと安らぎをもたらしてくれるでしょう。木造建築は、リラックス効果を高める魅力があり、日常生活の中で心地よい癒しの場を提供します。

◇森林を守る

木造建築は、森林を守り、地球環境に優しい建築物です。まず、樹木が二酸化炭素を吸収し、酸素を放出することで大気を浄化し、地球温暖化の防止に貢献します。また、森林は多様な生物の生息地であり、生物多様性の保護にも寄与するでしょう。

さらに、森林は水を保全し、私たちの生活に欠かせない資源を提供しています。持続可能な森林管理は、伐採と再植林を組み合わせて森林を維持し、生態系の安定と環境の保全に貢献します。

◇人にやさしい

木造建築は、人に優しい環境を提供します。木材は熱を伝えにくく、建物内を暖かく保つため、足元の冷えを和らげ、疲労感を軽減することが可能です。また、木は衝撃を吸収し、安全性が高く、滑りにくく歩きやすい特性があります。

さらに、木材は湿度を調整しやすいため、快適な環境を提供します。これらの理由から、木造建築はリラックス効果を高め、居住者に心地よい空間を提供することが可能です。


木造建造物における耐火構造は、火災が発生した際に建物の構造が火の勢いに耐え、火災の拡大を抑制する役割を果たす重要な要素です。主要な構造部が一定の時間、高温や炎に耐える耐火性や、火災発生時に安全な避難を支援する準耐火性が求められます。

燃えしろ設計では、火災時に柱や梁が燃え落ちることを想定し、建物の崩壊を防ぐ仕組みが取られます。CLTの耐火性を確保するためには、特殊な耐火被覆材や燃えしろ設計が用いられます。 特にオメガウッド技術は、大断面の木材を使用して耐火性を高めるとともに、耐震性や製作精度の向上に貢献しています。

高層純木造耐火建築物「Port Plus」は、木材の耐火性と耐震性の課題に対処するための革新的な技術を採用し、木造建築の新たな可能性を示しています。

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