2023年CLT建築事例に見える学びや暮らしの空間の革新
2023年CLT建築事例に見える学びや暮らしの空間の革新
2024/03/29
CLTは耐久性と安全性に優れ、オフィスや公共施設などで幅広く利用されています。助成金や補助制度の整備が普及を後押しし、革新的な手法が採用された事例も増加しています。新しい建築手法の導入や地域コミュニティーの支援が、CLT建築の可能性を広げる鍵となります。
普及が進むCLT建築の現状とは?
CLTの建築物完成件数は令和5年度に累計1,000件を超える見込みです。CLTは耐久性と安全性を兼ね備えた建築素材で、オフィス、公共施設、商業施設など様々な用途で利用されています。また、CLT建築には助成金があり、JAS構造材の普及を支援する取り組みが行われています。
◇着工件数の推移
令和5年度には、CLT(Cross Laminated Timber)を使った建築物の完成件数が累計で1,000件を超えると予測されています。令和元年度以降、全国各地でCLTの利用が始まり、その数は増加の一途をたどっています。
CLTの普及には、その優れた特性と環境への配慮が大きく寄与しています。CLTは木材の美しさと強度を活かしつつ、建築物の耐久性と安全性を向上させることができます。
◇CLT建築の用途
CLTは高い強度と柔軟性により、オフィスビル、公共施設、商業施設、倉庫など、多岐にわたる建築物に対応しています。プレファブ化による施工期間の短縮や、シンプルな接続部品により、専門的な技術を持たない人でも施工が可能であることが特徴です。
また、CLTはその軽さと強度から、地震に強い建築物を作ることもできます。これらの特性は、CLTが幅広い用途で利用される理由となっています。
◇CLTの助成金
CLT建築実証事業では、非住宅用建築物に対する補助金が支給されています。この補助金は、JAS構造材の利用促進を目指した普及・実証活動を支援し、特に革新的なプロジェクトには大きな助成が行われます。
また、都市部での木材需要拡大や、サステナブルな建築の推進に関する国の補助制度も充実しています。
CLT建築の普及における課題とは?
設計者は、CLT建築の施工管理に不慣れであることが課題です。解決策は、施工情報の整備や公開、防水や防耐火被覆の標準化、CLTの調達価格の明確化です。施工者も同様に経験不足があります。CLT施工情報の整備や見学会の実施が必要です。建築主の課題は予算超過です。ローコストなCLT建材の開発や施工工程の短縮が解決策です。
◇設計者の課題
設計者が直面する課題の1つは、CLT建築の施工管理に関する経験不足です。解決策として、施工情報の整備や公開が必要です。特に、防水や防耐火被覆などの詳細な標準化とディテール集の整備が重要です。
また、クリーンウッド法や木材の認証制度への対応も必要です。さらに、CLTの調達や価格に関する不明確さが課題ですが、積算基準や見積項目の標準化とコスト情報の公開が解決策となります。
不具合やトラブルに不安がある場合は、対策事例集の制作やトラブル回避の手引きの提供が必要です。
◇施工者の課題
施工主には、CLT建築の施工管理経験が不足している課題があります。解決策として、CLT施工情報の整備や官庁発注工事の見学会実施が挙げられます。また、防水・防火性能の標準化やクリーンウッド法への対応も重要です。また、CLTの調達や価格の不透明さを解消するために、積算基準の標準化やコスト情報の公開が必要です。さらに、不具合対策や維持管理計画の立案にも取り組む必要があります。
◇建築主の課題
建築主が直面する課題の1つは、予算超過です。解決策として、ローコストなCLT建材の開発と実用化が挙げられます。また、施工工程の短縮や構工法の改善により、コストを抑えた施工ができます。
さらに、少量・多品種の需要に対応するため、CLT建材の設計手法や供給体制を充実させる必要があります。維持メンテナンス費用の不透明さも課題ですが、耐久性向上の技術情報や維持管理計画の構築を行うことで、費用の把握と効率的な管理が可能です。
木材利用のメリットが不明確な場合は、CO2削減効果や経済性などの情報提供が必要です。
2023年に竣工したCLT建築事例
革新的な建築手法を活用した複数の建築事例が進行中です。大型5軸加工機を使用したCLTの3次元加工や、厚板集成材の壁とスラブを組み合わせたFMT構法などが採用されています。これらのプロジェクトは東京都や神奈川県などで実施され、建築の可能性を広げています。
◇学ぶ、学び舎
このプロジェクトでは、大型5軸加工機を使って3D加工されたCLTを一時的な型枠として使い、その上に最小限のコンクリートを流し込むという新しい建築手法が開発されました。この方法により、約20mのスパンを持つRC(鉄筋コンクリート)建築が実現しました。この建物は2023年8月に完成し、東京都小金井市にあります。
◇江北小路
このプロジェクトでは、都市部の建物で一般的な1階のテナントスペースを確保しつつ、壁の量を削減するために、厚板集成材の壁とスラブ・鉄骨逆梁を使ったFMT構法を採用しています。さらに、3階とR階のスラブにはCLTが使われています。この建物は2023年9月に、東京都足立区で完成しました。
◇ヒルトップ野毛山
このプロジェクトは、都市部での木質建築の普及を促進するため、壁や床スラブなどの建築構造材をすべてCLTで製作したフルCLTのパネル構造として設計されました。この建物は2023年7月に、神奈川県横浜市に完成しました。
これらのプロジェクトは、建築の可能性を追求し、新しい技術や材料を導入しています。
最新事例から見える新しい建築の世界
学び舎は、子供たちの創造性や好奇心を刺激し、学びと遊びを融合させます。江北小路は、木密地域のコミュニティーを支え、地域社会の結束力を高めます。ヒルトップ野毛山は、ダブルウォール工法を採用し、建築家にデザインの自由度を提供します。これらの事例は、建築が私たちの生活に与える影響を示しています。
◇学ぶ、学び舎
学び舎は、学びと遊びをつなぎ合わせた空間を提供します。ここでは、子供たちの創造性や好奇心を刺激し、自然と学びを結びつけることができます。この環境では、子供たちが自分らしく表現し、新しいことを楽しみながら学ぶ場が提供されます。
◇ 江北小路
江北小路は、木々が密集した地域のコミュニティーを支えています。この地域の建物は、地域社会の結束を強め、住民同士が助け合う雰囲気を醸し出します。こうした取り組みは、地域の文化や伝統を守りながら、新しい生活様式を受け入れることを可能にします。
◇ヒルトップ野毛山
ヒルトップ野毛山は、ダブルウォール工法を使って、自由度の高い建築を実現しています。この手法は、建築家にデザインの自由度を大幅に広げ、ユニークで革新的な建物を生み出すことができます。美学だけでなく、機能性と効率性も追求されることを示しています。
これらの事例から、建築が社会や個々の生活にどのような影響を与えるかが理解できます。建築は、私たちの生活を豊かで充実したものにするために欠かせない要素であり、その価値は計り知れません。
CLT建築の普及が進み、令和5年度には累計1,000件以上の完成が見込まれます。耐久性と安全性を備えたCLTは、オフィスや公共施設など多岐にわたる用途で利用されています。
CLTの普及を後押しするため、助成金や補助制度が整備されています。また、最新のCLT建築事例では、革新的な手法が採用され、都市部でも木質建築の普及が促進されています。
設計者や施工者、建築主が直面する課題には、施工管理の経験不足やCLTの調達価格の不透明さがあります。これらの課題に対処するため、施工情報の整備や助成金制度の充実が必要です。
また、新しい建築手法の導入や地域コミュニティーの支援を通じて、CLT建築の可能性が拡がっています。