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CLT木造建築で駅を改修し地域の文化を残す取り組み

CLT木造建築で駅を改修し地域の文化を残す取り組み

2024/04/23

東急電鉄が進める池上線の駅舎リニューアルプロジェクトは、地域の文化を尊重しながら木造駅舎を活用し、多摩産材の使用や地域資源の活用を通じて地域経済を促進しています。駅周辺の快適さや利便性向上により地域の中心性が高まり、商店街が活気づく一方、木造建築の維持管理には適切な設計と管理が必要です。

木造で駅を改修して地域の文化を残す

東急電鉄は、池上線の駅舎リニューアルを進めています。池上線は小規模ながら下町の雰囲気が漂い、木造の駅舎が地元の人々に親しまれています。木になるリニューアルでは、多摩産材を使用し、地域資源の活用と地産地消を促進しています。

◇路線の特徴に合わせてリニューアル

木になるリニューアルは五反田駅と蒲田駅を結ぶ東急池上線で取り組まれている意欲的なプロジェクトで、2016年には戸越銀座駅の駅舎リニューアルが完成しました。

池上線は都心を走る私鉄ですが、田園都市線や東横線などと比較すると駅の規模が小さく、沿線の雰囲気も異なります。

東急電鉄では、下町のような情緒が漂い、昔ながらの商店街も多い池上線のイメージに合わせ、住民に寄り添った温かみのある駅舎リニューアルを実現することを決定しました。

◇耐用年数に課題も注目を浴びる

木造の駅舎は、鉄骨造よりも法定耐用年数が短いという課題があります。しかし、それにもかかわらず、東急電鉄の試みは地元の住民などから高く評価され、プロジェクトは発展を続けています。

◇多摩産材へのこだわり

木になるリニューアルでは、地域内での資源循環および地産地消を重視し、東京都内で産出される多摩産材にこだわった駅舎づくりを行っています。多摩産材には、利用者が駅に対して親近感を抱くと同時に、東京の林業を活性化させる意味もあります。

木造駅舎でCO2削減に貢献できる

戸越銀座駅を皮切りに、2019年には旗の台駅、さらに2021年には長原駅の駅舎リニューアルが完了し、木造駅舎のさまざまな魅力がクローズアップされています。木材を活用することによってCO2が削減されただけではなく、古材をベンチなどに再利用する試みも好評を博しています。

◇CO2削減

コンクリートなどの建材と比較した場合、木材を使用した建造物では、材料製造時のCO2放出量を大幅に削減することが可能です。

具体的な数値で言えば、戸越銀座駅の木造駅舎で削減できたCO2量は約170トン、旗の台駅が約320トン、そして長原駅は約1トンです。

戸越銀座駅リニューアルの際には、「駅舎に使用されている木材がどこから来たものなのか」「背景にはどのような環境問題があるのか」を学ぶための原産地ツアーも2回開催され、延べで59名が参加しています。

◇古材の再利用

東急電鉄では、駅舎を改修する際に出る古材を蘇らせる「みんなのえきもくプロジェクト」への取り組みも盛んに行っています。駅舎で使用されていた木材をベンチに作り変えるワークショップなども開催され、子どもも参加して賑わいを見せています。

「みんなのえきもくプロジェクト」は、長野県を拠点として活動する「Rebuilding Center JAPAN」の協力のもとに活動が展開されています。

既存施設を使用しながら施工した建築事例

旗の台駅のリニューアルでは、既存の屋根を残したまま建て替え工事が行われました。多摩産のスギやヒノキを使用し、大判と小幅のCLTを組み合わせた工法が採用されました。CLTは強度と耐火性に優れ、再生可能な資源であるため環境にも配慮されています。木の温かみとデザイン性を重視しつつ、メンテナンス性にも配慮された設計が評価されています。

◇既存屋根を残したまま施工

開業以来、約70年間にわたって人々の暮らしを支えてきた旗の台駅をリニューアルするにあたっては、利用者の動線を最優先に考えて設計案が練られました。

駅の稼働に支障をきたさないように建て替え工事を行わなければならないため、既存の屋根はそのまま残し、上部に新しい屋根が架構として組み上げられました。

◇多摩産スギとヒノキを使用

旗の台駅には多摩産スギやヒノキなど、複数の木材が使われています。大判のCLTと小幅のCLTを巧みに組み合わせた工法が採用されているのも、同駅の大きな特徴です。

CLTというのは「Cross Laminated Timber(クロスラミネート材)」の略で、東京都内の鉄道施設でCLTが使われたのは旗の台駅が初めてです。

CLTは軽量でありながら強度と剛性に優れ、耐火性が高い点が特徴です。再生可能な資源であるため、環境への負荷が少ないのもCLTの大きなメリットです。

◇メンテナンス性と意匠性を両立

木材の温かみやデザイン性に偏ることなく、メンテナンス性にも気を配った旗の台駅は意匠面でも高い評価を受けています。木の温かみを強調するために、同路線の他駅よりも色温度の低い照明を使用するなど、すみずみに細やかな気配りが感じられます。

駅の整備が街づくりの活性化につながる

駅周辺の快適さや利便性が向上したことで、地域の中心性が高まり、周辺商店街が活気づきます。また、木造建築の維持管理は他の素材に比べ手間がかかる印象がありますが、適切な設計と管理により、木の美しさを長期間楽しむことができます。さらに、バリアフリー施設の整備を促進することで利用者の利便性が向上します。

◇駅周辺まちづくり

駅がこれまでよりも快適で利便性の高い空間になったことによって、地域における駅の中心性が高まり、周辺商店街が活性化されます。個々の駅周辺が活性化するだけではなく、池上線全体の新しい魅力が再発見されることになったのは、特筆すべきポイントです。

◇維持管理

木造建造物は、他の素材を使用した建物と比較すると維持管理にコストと手間がかかって大変だというイメージを持つ地方自治体は多いようです。

ところが、設計段階でキャットウォークを設置する、あるいは劣化を予防するための適切な設計を行い、維持を正しく行うことにより、木造ならではの深みや美しさを長期に渡って楽しめるのが木になるプロジェクトの目指すところです。

◇整備の促進

バリアフリーへの施設整備を新たに見直した上での駅舎リニューアルが展開していけば、利用者の利便性は今後もますます向上することが期待されます。


東急電鉄が進める池上線の駅舎リニューアルプロジェクトでは、木造の駅舎を活用して地域の文化を大切にしながら、駅周辺の魅力を高めています。小規模ながら下町の雰囲気が漂う池上線では、木材の温かみが地元の人々に親しまれています。このプロジェクトでは、多摩産材を使用して地域資源の活用と地産地消を促進しています。

木になるリニューアルは、2016年に戸越銀座駅で始まり、その後旗の台駅や長原駅でも実施されました。これによりCO2削減効果が期待され、古材の再利用も行われています。また、旗の台駅では既存の屋根を残したまま施工し、多摩産のスギやヒノキを使用した工法が採用されました。木の温かみとデザイン性を重視しつつ、メンテナンス性にも配慮された設計が評価されています。

駅周辺の快適さや利便性が向上することで、地域の中心性が高まり、周辺商店街が活性化します。木造建築の維持管理には手間がかかるイメージもありますが、適切な設計と管理により木の美しさを長期間楽しむことができます。さらに、バリアフリー施設の整備を促進することで利用者の利便性も向上するでしょう。

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