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CLTと集成材の違いは?集成材とCLTの性能について解説

CLTと集成材の違いは?集成材とCLTの性能について解説

2023/07/31

集成材は、薄く切った木材を乾燥・接着して積層し、強度と安定性を高めた材料です。1800年代ヨーロッパでデザイン用途に始まり、20世紀初頭に構造材として進化しました。集成材は建築やインテリアに適していますが、湿度に弱いため屋外使用には注意が必要です。CLT(クロス・ラミネーティッド・ティンバー)は、集成材より強度が高く、施工が簡単で環境にも配慮されています。

木材の可能性を引き出す集成材の歴史と活用法とは?

木材を無駄なく使用し、かつ安定した品質と強度を持つ集成材が注目を集めています。集成材の特性や歴史について解説していきます。

集成材とは

集成材とは、2~4cm程度の厚さに切り出される『ひき板』(ラミナともいう)や小角材を乾燥させ、その厚さ、幅、そして長さの方向に接着した木質材料のことを指します。この技術は、大きな木材を節約しつつも強度を確保する利点があります。

集成材の歴史

集成材の起源は1800年代のヨーロッパまで遡ることができます。当時は木材を接着し一つの部材に組み合わせる技術が主にデザインの要素として用いられていました。しかし、この技術は進化し、積層技術と接着剤の改良により、20世紀初頭には構造材としても使用されるようになりました。

このテクニックはドイツのオットー・ヘッツアーによってさらに発展し、日本では17世紀に木材が不足し始めた時、集成材の手法が導入されました。さらに、米国では1930年代に集成材についての研究が行われ、その成果は日本にも影響を与えました。

北欧の建築においては、ストックホルムオリンピックの開催をきっかけにヘッツアーの技術が導入されました。特に1920年代以降には、大規模な建築物の建設が進んでいます。

集成材の性能

集成材は、個々のラミナ(層)が適切に乾燥されて作られます。この乾燥処理が行き届いているので、集成材は大きくても木が歪んだり割れたりしにくいです。

集成材は設計が最適化されており、節などの欠点は積極的に除去され、さらに強い部分と弱い部分が上手く組み合わされます。力がかかる部分には強い木片を、そうでない部分には弱い木片を使います。この工夫により、集成材は天然の木よりも頑丈になります。

集成材の用途

集成材はその強度と安定性から、建築構造における要素に多く使われます。それには、柱、梁、桁、土台などが含まれます。これらは建物の主要なフレームワークを形成し、その強度と安定性が建築物全体の安全性に直結します。集成材はその特性を活かして、これらの部分に最適です。

一方、集成材は見た目の美しさと加工の容易さから、インテリアや家具作りにも使われます。これには、階段の部品、ドア枠、カウンタートップ、テーブルなどが含まれます。集成材は、デザインの自由度が高く、さまざまな形やサイズに加工できるため、これらの用途にも適しています。

ただし、集成材は湿度や水分、直射日光などの環境変化に影響を受けやすいため、屋外や水がよくかかる場所での使用には適していません。そのため、設置場所や用途を選んで使用する必要があります。

CLT(クロス・ラミネーティッド・ティンバー)とは

集積材の特徴や用途についてご紹介しました。用途が限られる一般的な集積材とは違い、CLTは14階建てまでの建築物が可能です。どのような違いがあるのでしょうか?比較しながら特徴を紹介していきます。

CLTの特徴は?これまでの集積材との違い

CLT(クロス・ラミネーティッド・ティンバー)は、木材の繊維を交差させて重ねた厚板パネルです。この構造により、CLTは高い耐震性と防火性を持ち、様々な建築物で使用されています。集成材とCLTの違いは、木材の繊維の向きです。

集成材では、木材の繊維を同じ方向に揃えて接着しますが、CLTでは繊維を交差させて重ね合わせて接着します。この方法により、CLTは集成材よりも高い強度を発揮します。

未来の建築に向けたCLTの可能とは?

CLTは部品を事前に組み立て現場に運ぶことで建築時間を短縮し、簡単に施工可能です。災害時の仮設住宅にも対応。東京2020オリンピックでは国立競技場や「CLT PARK HARUMI」で使用され、木材の可能性を示しました。

CLTのメリットを生かした木造建築

CLTのメリットの一つに部品を事前に組み立てて現場に運び込むことで建築時間を大幅に短縮できることがあります。さらに、特別な技能を必要とせずに施工できる簡単な接合具を使用しているため、どこでも建築作業が進められます。また、建築だけでなく解体も迅速に行えるため、災害時の仮設住宅として利用することも可能です。これらの利点により、多くの建築現場でCLTが活用されています。

東京オリンピックでも使用されたCLT

東京2020オリンピックでは、環境に配慮した建材として木材のCLTが使用されました。国立競技場の選手のロッカーやベンチ、エレベーターの外壁に利用されました。また、選手村近くの「CLT PARK HARUMI」パビリオンは国産CLTの宣伝と普及のために建設され、大会後には観光地に再利用されました。これらの活動は、木材の可能性を世界に示し、未来の建築プロジェクトでの木材使用を促進するきっかけとなりました。

CLTの国内での情勢と注目の製造メーカー

日本農林規格(JAS)は、木材などの林産物の品質や強度に関する規格を提供しています。JASマークがある製品は、その製品が一定の品質基準を満たしていることを示しており、JAS規格に適合するCLS木材を販売している8社のみとなっています。注目の8社を紹介してきます。

オホーツクウッドピア

北海道産の木材を使い、構造用集成材やCLTを生産しています。これにより地域資源の有効利用と環境への負荷軽減を両立しています。製品ラインは住宅用の集成材だけでなく、非住宅物件向けの特殊サイズや大断面集成材も製造しており、広範囲なニーズに対応しています。また、関連会社を通じて、住宅のプレカットや集成材の加工も手がけています。


ティンバラム

「未来の形を木で作る」をモットーに、建物の設計から製造、組み立てまで一貫して行っています。大小様々な建築物の構築に対応し、精密な3Dデータに基づく高速・高精度の施工が可能です。また、主要な木材だけでなく、屋根の部材などにも対応しています。


西北プライウッド

西北プライウッドのこだわりは木の300%利用です。まず最初の100%は、木材が合板やパーティクルボード、LVL、CLTなどの製造に使われ、木の皮は燃料として使われます。次に、200%目の利用はリサイクルです。最後の300%目の利用は、原料として使えなくなった時
それをバイオマスボイラーの燃料として使います。同社はこのようなこだわりで循環型の社会への貢献を目指しています。


中東

株式会社中東は、木製建築材料の製造販売および建設工事の設計施工を専門とする企業で、大断面集成材やCLTの製造に関しては、特に高い評価を受けています。同社は国内外でさまざまな建築プロジェクトに参加しており、その中にはシンガポールのケーブルカー駅レストランや台湾の台東駅など、海外の大規模なプロジェクトも含まれています。


鳥取CLT

株式会社鳥取CLTは、鳥取県に本社を構える企業で、直交集成板(CLT)、集成材、木材製品、および木質バイオマスの製造販売を手がけています。CLT36・Jパネルという製品を通じて、地元の木材を有効活用し、林業の振興と環境保全に貢献することを目指しています。


銘建工業

銘建は、日本におけるCLTの普及に先駆けて取り組んだ企業です。2010年には、国産のスギやヒノキを利用したCLT製造を国土交通省に提案し、それが国の研究開発のテーマとして取り上げられるきっかけとなりました。その後、銘建はCLTの普及活動に尽力し、2016年には日本国内初のCLT量産工場を稼働させることに成功しました。


サイプレス・スナダヤ

サイプレス・スナダヤは木材製材品、集成材品、CLTの製造、加工、販売を行うメーカーです。地元に豊富な桧の資源を活用し、製材・集成材の生産量で日本最大手となりました。現在は、国産材の加工促進と新建築資材CLTの普及による、林産資源の良好な循環と高環境型ビジネスの確立を目指しています。


山佐木材

山佐木材は、国産のスギとヒノキを主材料とした木材製品を提供している企業です。製材から乾燥、仕上げ加工、そして集成材の製造まで、一連の生産プロセスを徹底的な品質管理のもとで実施しています。さらに、山佐木材は平成26年6月30日にCLT(直交集成板)のJAS認定を取得しました。これは国内で二番目の認定になります。



集成材とは、木材を薄く切り、乾燥させてから接着剤で積層し、強度と安定性を高めた材料です。この技術により、木材の節や割れを排除し、大きな木材を節約しつつも優れた強度を確保できます。

集成材の歴史は1800年代のヨーロッパに始まり、主にデザイン用途で使用されていました。20世紀初頭には構造材としても利用されるようになり、ドイツのオットー・ヘッツアーによって技術が発展しました。日本にも17世紀に導入され、米国での研究成果も影響を与えました。特に1920年代以降、北欧の建築で集成材が広く利用されました。

集成材の性能としては、乾燥処理が行き届いており、歪みや割れが少なく、設計により強度が高められています。用途としては、建築構造材(柱、梁、桁など)やインテリア(家具、階段など)で使用され、強度と安定性が求められる部分に最適です。ただし、湿度や水分には弱いため、屋外での使用には注意が必要です。

CLT(クロス・ラミネーティッド・ティンバー)は、木材の繊維を交差させて重ねた厚板パネルで、耐震性や防火性が高いのが特徴です。CLTは集成材よりも強度が高く、建築の部品を事前に組み立てて現場に運ぶことで建築時間を短縮でき、簡単な接合具を使って施工できます。東京2020オリンピックでは、環境に配慮した建材としてCLTが利用され、国産CLTの普及が進められました。

日本国内では、CLTのJAS認定を受けた8社があり、各社は木材の品質や環境への配慮を重視した製造を行っています。代表的な企業としては、オホーツクウッドピア、ティンバラム、西北プライウッド、中東、鳥取CLT、銘建工業、サイプレス・スナダヤ、山佐木材があります。

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