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CLT(Cross Laminated Timber)がわかる専門メディア

CLTは強度に優れる素材!国内外の活用事例や導入の準備を解説

CLTは強度に優れる素材!国内外の活用事例や導入の準備を解説

2023/12/18

建築物において、材料の強度は非常に重要です。建物にはさまざまな方向から応力がかかり、その強度を決定するためには「基準強度」という数値や数式が用いられます。CLTは、曲げ、せん断、めり込みなどあらゆる点で高い基準強度を誇り、その優れた強度が建築において大きな利点として活かされています。

CLTの強度を活かした建築事例を紹介!

CLTは中・大規模の建物や集合住宅にも適しており、多様なデザインが可能です。海外ではCLTを使った中・高層の建築物が増えています。これはCLTが大きな面積で利用され、厚みのある木材が建物の構造を支えることができるためです。

◇ノルウェーでは14階建て建築も

ノルウェーで建設が予定されている14階建ての木製マンションは、世界で最も高い木製建築物として注目されています。これまでの最高記録はメルボルンにある32メートルの木製建築でしたが、ノルウェーのこのプロジェクトはその記録を大幅に更新する予定です。高さは約49メートルに達し、木造建築としては画期的なものとなります。

このプロジェクトは、ノルウェーのベルゲン市のビルディング協会によって計画され、既に半分の62戸が売り切れているという人気ぶりです。木製の建築物は通常、10階以上の高さを持つ場合、コンクリートやスチールが主要な材料として使用されてきました。しかし、このノルウェーのマンションはCLT(Cross-Laminated Timber)構造を採用する予定です。

CLTは、薄い木製パネルをクロスさせて積層することで非常に頑丈な構造を作り出す技術です。これにより、木製建築物でも高層化が可能になり、木材の持つ環境にやさしい特性を活かすことができます。

◇CLTをホテルに導入した事例

国内初のCLTホテルは、ハウステンボスというテーマパーク内に位置し、環境に配慮した木製建築として注目されています。建設プロジェクトの主要な特徴は以下の通りです。

このホテルは、14階建ての高さを持つ木製建築であり、ノルウェーでの同様のプロジェクトを超える高さを実現しています。計画の一環として、国内産の杉材を100%活用しており、地産地消の推進に貢献しています。

また、この木造ホテルは、環境共生を志向しており、木材の積極的な活用に焦点を当てています。内外装には木質素材が使用され、木の温もりを感じる空間を提供しています。さらに、CLTを主要な構造材料として使用し、木製建築の高層化を実現しました。

このホテルは、国内初のCLTホテルとして話題となり、木質建材の利用促進に寄与しています。将来的には国内外での展開も検討されており、木造建築の可能性を広げる一環として期待されています。

◇国が普及を後押し

CLTを全ての構造部材として用いた建築物を建てるには、国土交通大臣の認定を取得する必要があり、そのための実験データの取得には時間がかかりました。2013年12月に製造規格となるJAS(日本農林規格)が制定され、2016年4月にCLT関連の建築基準法告示が公布・施行されました。これにより、比較的簡易な構造計算でCLTの建物が作れるようになり、CLT普及が加速したのです。

CLTは強度が高い!耐震・耐火性を持つ素材

引用元:photo AC

CLTの特徴のひとつに強度があり、耐震性・耐火性に優れていることがあります。

◇曲げ・せん断・めり込みなどあらゆる点で高い強度を持つ

木材の強度を表すものには曲げ荷重に対して亀裂や破壊が生じる力・応力である「曲げ強度」や、物体をずらす方向に働く、入れ違う力の「せん断」があります。他にも「めり込み」は木材にのみ起こる特有の現象で、2つの木材を小口面と側面で押し付けた際に、接している側面部になだらかなくぼみ(凹み)が発生することを指します。

建物に荷重がかかると、部材には様々な方向から応力が発生します。材料の強度を決定するための基準となるのが、応力が作用する方向ごとに規定された「基準強度」で、これは数値や数式の形で示されています。CLTは、曲げ・せん断・めり込みなどのあらゆる点で数値が高く、優れた強度を持つ結果という結果が出ています。

◇耐震性に優れる

CLTは最大で厚さ300×幅3,000×長さ12,000mm程度になり、建築の構造材として使われると耐力壁として優れた機能を持ちます。木材の繊維を直交するように板を重ね合わせる構造で、これにより強度が向上し、外部からの力が加わっても変形が少なく、大規模な地震にもしっかりと耐える性能を備えています。

そして、個体としてCLT壁パネルは耐震性が高いですが、厚みのあるCLT床パネルと組み合わせることでより強固になり、既存の建築物の耐震補強にも利用可能で、耐力壁として活用可能です。CLT自体が強度を有しているため、建築物の耐震性向上に必要なコストを抑制します。さらにコンクリートに比べて軽量なので、建築本体が重くなるのを軽減するため、地震の影響を軽減できます。

◇耐火性も同時に備えている

CLTはその優れた耐火性から、安全性を高める建築材料として注目されており、建築物の火災時の安全性向上に貢献しています。

CLTでも炭化層が形成されますが、その炭化層は断熱性を持っています。このため、火災時に木材の内部への酸素供給が遅くなり、燃焼を遅らせる役割を果たします。日本住宅・木材技術センターの実験によれば、CLT木材の燃焼速度は1分間にわずか1mmです。これは非常に遅い燃焼速度であり、火の拡がりを抑制します。

特に厚さ90mmのCLT木材は、1時間(60mm)以上の燃焼に耐え、壁が燃え抜けないことが確認されています。このため、CLTを使用した建物では火災の進行を遅延させ、避難時間を確保するのに役立ちます。

CLT建築の導入を目指す!事前の準備が大切!

CLT建築の導入を目指すなら、事前の準備は大切です。こちらでは、CLTの導入を進めるうえで重要になるポイントを解説しています。

◇事業のスケジュールを立案する

CLTの活用を成功させるためにも、まずスケジュールを立てましょう。CLTを導入する際、できるだけ早く契約すると使用できる木材の部位が増え、使用量を増やせるためコストダウンが期待できます。

テナント誘致のシーリング計画と合わせて検討がCLT活用のゴールデンタイムです。
また、設計段階からCLT業者を含めて協議すると、供給体制や技術に関する課題がクリアし、その後の施工がスムーズに進めることが可能です。

◇事業収支の影響を試算する

要求される耐火時間に応じて、耐火性能を満たすための耐火被覆に必要なコストが変動し、それに伴い工事費も変わります。環境に対する意識の高まりから木質材料を使用した施設には、大きな注目が集まり、新聞や雑誌、そしてインターネットなどのメディアからの取材依頼が殺到し、記事の反響で見学会などに多くの人が訪れています。これは広告宣伝効果となり、運営収益にも影響を与えるでしょう。

◇建築物件に合ったCLTの使い方を検討する

屋内では他の構造と変わりませんが、屋外での使用は注意が必要です。特に、雨風にさらされる部分に使用する場合は、CLTの外側に取り付ける外装材は慎重に選ぶ必要があります。


CLTは中・大規模の建物や集合住宅に適しており、多様なデザインが可能です。国内外でCLTを使用した建築物が増加しており、その特徴的な事例を以下に示します。

ノルウェーのベルゲン市で計画されている14階建ての木製マンションは、世界で最も高い木製建築物として注目されています。高さは約49メートルに達し、CLT構造を採用し、木材の持つ環境にやさしい特性を活かします。

ハウステンボスというテーマパーク内に位置し、14階建ての高さを持つ国内初のCLTホテルがあります。国内産の杉材を100%活用し、環境共生を追求し、木質素材を内外装に使用しています。

CLTは強度が高く、耐震性と耐火性に優れています。曲げ強度やせん断強度、めり込みに対する強度が高く、耐震性向上に貢献します。また、木材の炭化層による耐火性も高く、CLTの燃焼速度は1分間にわずか1mmと遅いため、火災時の安全性を向上させます。

CLT建築を導入する際には、スケジュールの立案や事業収支の試算が重要です。さらに、建築物件に合ったCLTの使い方を検討し、屋外使用時には外装材の選定に慎重さが求められます。CLTは木材を活用し、高層建築や環境に配慮した建築に貢献する優れた建築材料であり、その普及が進んでいます。

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