集成材の総合プロデューサー 株式会社中東
集成材の総合プロデューサー 株式会社中東
2023/04/28
株式会社中東は、石川県能美市に本社のある企業で、集成材の総合プロデューサーを務める企業です。CLTの製造から施工までプロデュースしており、取り扱うCLTや集成材のバリエーションも豊富にあります。CLT、集成材の耐火性を追求し、CLT製造技術の向上と共有にも貢献している企業です。ここでは、株式会社中東について、ご紹介します。
CLTの製造から施工までプロデュース
創業は1968年(昭和43年)で、株式会社中東木材として始まりました。創業者の小坂義春が欧米を視察中に出会った集成材のすばらしさに惚れ込んだことから、集成材建築を専門に歩み始めた会社です。以降50年以上に渡って、集成材の製造・加工、建築の設計・施工に取り組んでおり、現在は、一貫体制を確立しています。
近年、注力しているのは、集成材・CLTを使った自由設計住宅です。木のぬくもりに包まれた森林浴効果が期待でき、夏は涼しく冬に暖かい木造住宅でありながら耐火性にも優れ、目や体に優しい光や音の響きを楽しむことができます。
株式会社中東では、能美市防災センターやいしかわ動物園トキふれあいセンターといった公共施設なども多数手がけています。そして、木の良さを残しつつ木材の可能性を広げるため、耐火性能の向上や他素材との組み合わせなど、新たな可能性にも取り組んでいるのです。
扱っているCLT・集成材のバリエーションが豊富
株式会社中東で扱っているCLT(直交集成材)は、スギ、カラマツ、ヒバ、ヒノキの4種類です。厚さ60〜270mm、幅900〜1,250㎜、長さ4,800〜6,200㎜まで製造できます。月に300㎥生産でき、製造されたCLTは、屋外での使用も可能です。
また、集成材もスギ、カラマツ、ヒノキ、ヒバ、ベイマツ、オウシュウアカマツの6種類製造しています。短辺は270㎜まで、2次接着により最大1,250㎜まで対応でき、長辺2,100㎜まで、材長21,000㎜までの対応も可能です。接着剤にはフィンガージョイントにメラミン樹脂を使用し、積層接着にはレゾシノール、フェノール樹脂が使われています。月に500~600㎥生産しており、アーチ、湾曲材にも半径1,500㎜以上から対応可能です。
CLT、集成材ともにホルムアルデヒド放散量区分F☆☆☆☆(フォースター)の商品となっており、シックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドの放散量が最も少ない区分と認定されています。これらの建材は、スパンの大きい開放的かつダイナミックな建築に対応可能です。
CLT・集成材の耐火性を追求
株式会社中東では、独自の技術によって、2時間の耐火性を持つエフネン耐火集成材・エフネン耐火CLTを開発しました。エフネン耐火集成材の柱、エフネン耐火CLTの床、エフネン耐火集成材の梁で、それぞれ2時間の耐火試験に合格し、国土交通省の認定も取得しています。従来は鉄筋コンクリート造や鉄骨造などで建設されていた高層建築を木造建築物として建設する上で、欠かせない耐火性能です。
使用される薬剤には、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドはもちろんのこと、トルエンやキシレンといった揮発性有機化合物も一切ありません。万が一火災が起こったときにも、有毒ガスが発生することはないのです。
エフネン耐火集成材・エフネン耐火CLTを使うことで、14階建ての木造建築物を造ることができます。これらは、石膏ボードなどで覆わなくても規程の耐火性を発揮できるので、木材の質感と木目の美しさを「現し」で用いることが、高いデザイン性を引き出すことができるのです。
グローバルにCLT建造物を施工
株式会社中東は、1968年(昭和43年)に創業して以来、公共施設やビル、工場、住宅など、さまざまな建築物の設計施工を行ってきました。石川県で唯一の、大断面構造用集成材、CLTの製造ができる会社です。石川県能美市にある自社の集成材工場の建設にあたっては、自社のCLTを利用することで内装仕上げが不要となり、工期も約2週間短縮できました。
株式会社中東では、他にも国内外にさまざまな施工事例があります。日本では、北海道から沖縄までの各地で800棟以上です。主な施設には、群馬県の新島学園短期大学講堂、沖縄県の光明寺沖縄分院、宮崎県のソレイユ保育園、東京都の旗の台駅、国際基督教大学メインコート・プール棟やエントランスなどがあります。地元の石川県で手掛けたのは、金沢駅コンコースや国際高等専門学校、能登町観光・地域交流センターなど、さまざまな公共施設です。
海外では、上海の法華学問寺や、シンガポールのケーブルカー駅レストラン、台湾の台東駅、韓国のレイクヒルズゴルフクラブなど、20棟ほどのCLT建築による施工事例があります。株式会社中東は、世界に通用するCLTを製造できる企業のひとつなのです。
CLT製造技術の向上と共有にも貢献
株式会社中東は、日本国内で初めて、CLTに対応した高周波誘電加熱式接着機を開発・導入した企業でもあります。この加熱方式では、木材を加熱せずに接着剤のみの加熱で済むため、反りや狂いといった変形が生じにくいのです。
圧縮工程においては、冷間プレス式から高周波プレス式に更新しています。このことで、接着硬化時間が16時間から30分へ大幅に減少しました。圧縮工程の97%短縮という劇的な新技術導入により、集成材の生産量は約3倍に増え、CLTの新たな製造も可能となりました。株式会社中東全体で、約450%の生産量拡大を実現できたのです。
CLTの質向上と製造時間短縮を可能にした新しい製造技術は、見学会、講習会、研修会などで共有されています。株式会社中東は、日本のCLT製造技術の先端を走る企業といえるのです。
株式会社中東は、創業から50年以上、集成材の総合プロデューサーとして、CLTの製造から施工までプロデュースし、新たな技術の開発にも取り組んできました。豊富なバリエーションの集成材やCLTを取り扱い、国内だけでなく海外にも多数の施工事例があります。CLT製造技術の向上と共有にも貢献する、最先端のグローバル企業なのです。