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CLT(Cross Laminated Timber)がわかる専門メディア

LC-core構法とは?CLTのコスト問題を解決する?

LC-core構法とは?CLTのコスト問題を解決する?

2024/05/31

CLT(Cross Laminated Timber)は木質建材として注目され、耐火性や耐久性に優れ、学校や高層建築にも利用されています。ただし、高価で普及が進んでいないことが課題です。そこで、LC-core構法が登場しました。

LC-core構法は、CLTのコスト削減と耐震性向上を可能にする革新的な手法として注目されています。LC-core構法は、壁パネルの使用量を50%削減し、RC住宅と同等の価格帯を実現するなど、CLT建築の可能性を広げています。このような構法の登場によって、今後もCLTはさらに多くの注目を集めていくでしょう。

CLTの機能性は建材として注目を浴びている?

CLTは現在、木造建築の可能性を広げるとして注目を浴びています。日本では学校づくりにも使用されているほど、耐火性や耐久性に優れているのです。

◇耐火性に優れている

CLTは、加熱されると表面に炭化層(断熱層)を形成し、内部へゆっくりと燃え進むことが確認されています。また、燃焼速度は毎分1mmです。この性質を利用し、想定した加熱時間後のCLTの残存断面を計算することで、火災時の耐久性を考慮した断面設計を行えます。これを燃えしろ設計といい、建物が一定時間倒壊しないようにする設計手法です。

燃えしろ設計を行うことで、木材表面を現わしにしたデザインも実現できます。日本住宅・木造技術センターの耐火炉で行われた加熱実験では、厚さ90mmのCLT壁が1時間以上燃え抜けないことが確認されました。ただし、厚いCLTでも木材表面には着火するため、内装制限がかかる用途や規模では適切な対応が必要です。CLTは耐火性に優れた素材として注目されています。

出典元:CLT建築物の設計ガイドブック

◇学校づくりにも使用されている

愛知県のある小学校では、校舎にCLTが使用されています。木造ならではの味わいと温もりがあり、昔を感じさせる懐かしい雰囲気の木造校舎です。

1階廊下の天井は杉材の横格子仕上げ、壁材も杉板で作られています。2階廊下や天井の構造材や造作材は地元産の杉材、柱や梁材は杉のCLTです。教室の廊下側の窓は大きな換気窓があり、中廊下の天井は明るく風通しの良い設計です。教室内の机は高さ調整が可能で、子どもに合わせて使いやすくなっています。

円形多目的ホールや体育館の梁材としても杉材のCLTを使用しており、火災が起きた際の安全性を高めています。

CLTが抱えるコスト問題とは?

画像引用元:Photo AC

CLT建築物は増加傾向にありますが、依然としてコストは大きな課題と見られています。

◇コストが最大の課題

CLTは、その高い機能性が注目されている一方で、コストの高さが大きな課題となっています。特に日本においては、CLTの普及がまだ進んでいないため需要が少なく、生産設備を持つ事業者も限られています。このため、CLTの価格が急激に下がる見込みはありません。

CLT木材の価格は、1m³あたり約15万円とされています。この価格は他の建材と比較しても高く、特に鉄筋コンクリート(RC)や鉄骨造(S造)と比べてもコスト面での劣位が明らかです。例えば、RC造やS造の建築コストが24万円/m²程度であるのに対し、CLT建築では27万円/m²程度が一般的です。

現時点ではCLTの価格が急激に下がる兆候はなく、コスト面での課題は依然として大きな壁となっています。また、日本におけるCLTの年間需要量は約5,000m³であり、世界の生産能力の1部に過ぎません。こうした背景から、CLTの価格競争力は未だに低い状況にあります。

しかし、CLTの建築材料としての能力は高く、施工の効率化や工期短縮、デザインの自由度が増すといった利点もあります。そのため、国はCLTの普及を推進するために補助金や助成金を提供しており、これらを活用することでコストを抑えることが可能です。

将来的には、需要の増加と生産体制の拡充により、価格が下がることが期待されています。

◇他の構造と比べても高い

CLT(Cross Laminated Timber)は、その高い機能性で注目されていますが、コストの高さが大きな課題です。木造住宅の平均坪単価は約56.1万円とされていますが、CLTはさらに高価です。他の構造と比較してみると、鉄骨造は坪単価92.4万円、鉄筋コンクリート(RC)造は95.7万円です。

CLTの坪単価はこれらよりもさらに高く、一般的に100万円を超えることも珍しくありません。この差の原因は、CLTがまだ普及段階にあり、生産設備や供給体制が整っていないためです。需要が少なく、生産コストが高いため、結果として市場価格も高くなっています。

しかし、CLTは高い耐震性や耐火性、環境への優しさといった多くの利点を持っているため、一般住宅での施工事例も増えつつあります。

CLTの新たな活用方法「LC-core構法」とは?

近年、さまざまなハウスメーカーが「LC-core構法」を採用し始めました。これはどのような構法なのでしょうか。

◇オリジナルCLT構法「LC-core構法」とは?

「LC-core構法」は、CLTパネルを効率的に配置することで、コストを抑えつつも高い耐震性能を維持するために開発された革新的な構法です。

具体的には、「LC-core構法」ではオリジナルの金物を使用して、CLTパネル同士の接合を強固にします。この接合技術により、壁パネルの量を少なくしても高い耐震性を保つことができるのです。

この構法では、従来のCLTパネル構法と比較して壁パネルの使用量を50%削減することが可能です。建築コストの大幅な低減が期待できるのです。

2017年10月に実施された振動台実験では、阪神大震災の地震波を含む様々なケースで耐震実験が行われましたが、LC-core構法によるCLTパネルや金物の破損は見られず、その耐久性が実証されました。

さらに、2018年7月にも再度振動台実験が行われ、オリジナル金物とCLTパネルの最大強度が確認されています。これにより、LC-core構法が高い安全性を提供することが裏付けられました。

LC-core構法のもう1つの利点は、設計の自由度が増すことです。壁パネルの量が少なくなることで、全面ガラス張りのCLT建築物など、デザイン性の高い建築物を提案することが可能になります。

このように、「LC-core構法」は、コスト削減とデザインの自由度を両立させる画期的な構法として注目されています。

◇LC-core構法の3つの特徴

LC-core構法にはいくつかの特徴があります。まず挙げられるのは、従来のCLTパネル構法に比べて壁パネルの使用量を50%削減できる点です。この削減により、建築コストの大幅な低減が可能となります。

次に、必要な壁量が少なくなることで、デザイン性や設計提案の自由度が向上する点です。例えば、全面ガラス張りのCLT建築物など、より自由度の高いデザインが可能になります。
これにより、建築物の美観や独自性を高めることができます。

最後に、オリジナル金物による強固な接合が挙げられます。この接合技術により、CLTパネルの使用量を抑えつつも高い耐震性を実現できます。

2017年と2018年に実施された振動台実験では、阪神大震災の地震波を含む様々なケースで耐震実験が行われましたが、LC-core構法によるパネルや金物の破損は一切見られず、その耐久性が実証されました。

LC-core構法がもたらすメリットとは?

LC-core構法は、コスト削減を実現し、デザインの自由度と耐震性能を高めるといった利点を持ちます。

◇RC住宅と同等の坪単価まで軽減できる

LC-core構法の最大の利点は、RC住宅と同等の坪単価を実現できる点です。具体的には、LC-core構法の坪単価は80~100万円程度であり、鉄筋コンクリート(RC)住宅と同じ価格帯となります。

これにより、コストパフォーマンスの面でRC住宅に劣らない選択肢として、多くのプロジェクトでの採用が期待されています。

◇CLT建築のポテンシャルを最大限に発揮

またもう1つのLC-core構法の大きな利点として、機能性とデザイン性を両立できる点が挙げられます。高い強度と耐久性を持つ建材であるため耐震性を確保でき、開放的な大空間を実現できます。

また、木材の断熱性能はコンクリートの約10倍、鉄の約400倍と言われており、CLT構造の壁は優れた断熱性を発揮します。これにより、夏は涼しく、冬は暖かい快適な室内環境が維持できます。

さらに、LC-core構法はデザインの自由度も高く、木材の自然な美しさを活かしたインテリアデザインが可能です。CLTは構造材でありながら仕上げ材としても使用できるため、自然の風合いや温かみをインテリアの1部として取り入れられます。


CLT(Cross Laminated Timber)は、優れた特性を持つ木質建材で、耐火性や耐久性に優れ、学校や高層建築にも使用されます。CLTの層状構造は火災時の延焼を抑え、安全性を高めます。また、環境にも優しく、二酸化炭素の吸収能力が高いため、持続可能な建材として評価されています。

しかし、CLTの価格は高く、普及が進んでいないためコストが課題となっています。そこで、LC-core構法が注目されており、この構法はCLTパネルの効率的な配置によりコスト削減と高い耐震性能を実現する革新的な手法であるとされています。

LC-core構法は、耐震性を保ちながら壁パネルの使用量を50%削減でき、デザインの自由度も高めることができます。また、LC-core構法はRC住宅と同等の坪単価を実現し、CLT建築のポテンシャルを最大限に発揮することが期待されています。

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