国産材の利用が求められる理由とCLTビジネスの可能性
国産材の利用が求められる理由とCLTビジネスの可能性
2023/11/28
日本国内の住宅建築には、国産材ではなく、国外の木材が広く使用されています。様々な要因が考えられますが、この対策として注目されているのがCLT(Cross Laminated Timber)木材です。
国産材の活用が求められる理由と課題点
国外の木材が利用される理由
日本で住宅を建てる際には、国産材ではなく、国外の木材が広く使用されています。国外の木材が利用される主な理由は以下の通りです。
価格が安い
国外からの木材は、生産コストが低い国々から輸入されることが多く、そのため価格が比較的安くなります。
品質がよい
一部の国外産木材は高品質で、建築プロジェクトに適しています。また、国内の木材の価格が高い理由には、日本の気候条件が影響しています。
日本は湿度が高く、木材を保管するのが難しい環境です。木材を適切に乾燥させるためには特別な技術と時間が必要であり、これによってコストが上昇します。
国内の木材の活用が促進されている理由
・地域の活性化
国内の木材を使用することで、木材供給地域や関連する地域の経済が活性化します。
・森林保護
国内の森林を有効に利用することで、森林が保護され、生態系が維持されます。森林整備を行わないと、森林内の木々が過密になり、健康な成長を妨げる可能性があります。
国内木材の活用が進まない理由
国内木材の活用が進まない理由には、以下の課題があります。これらの課題を克服し、国内の木材の活用を促進することが、持続可能な建築産業と森林保護に貢献する重要なステップとなります。
・高度な加工技術が必要
国内の木材を効果的に活用するには、高度な加工技術と専門知識が必要です。
・価格が高い
国内の木材の価格が高いため、競争力が低く、建築プロジェクトのコストが上昇します。
・流通量が少ない
国内の木材の供給量が限られているため、需要に対して供給が追いつかないことがあります。
国産材の救世主?CLTビジネスの可能性
国外の木材に依存していることで、日本の林業は衰退の一途をたどっています。しかし、日本の国土の約67%が森林で覆われているという自然環境と比較すると、このような状況は疑問符がつきます。なぜなら、国内の豊富な森林資源を有効に活用することで、林業の振興と持続可能な森林管理が実現できるからです。
国内の木材、特に国産材の活用において、注目されているのがCLT(Cross Laminated Timber)木材です。CLT木材は、木材同士を加工して作られる素材で、通常の木材だけでなく、通常は利用が難しい間伐材や曲がりがひどいなどの木材を加工して活用できる点が特徴です。この特性が、CLT木材の活用に対する注目の理由のひとつとなっています。
CLT木材の活用を推進することは、日本の森林を活用促進に繋がるだけでなく、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献できるメリットがあります。木材の効率的な利用は、環境への負荷を軽減し、資源の持続可能な利用を実現する一環となります。
このような点からも、CLTビジネスは日本にとって非常に重要なビジネスと位置付けられており、多くの可能性を秘めていると言えるでしょう。
特に2010年に制定された「公共建築物などにおける木材の利用促進に関する法律」により、CLT木材の活用は注目を浴び、住宅以外の分野でも木造建築が増加しています。
これにより、木材の利用が再評価され、林業の振興と持続可能な資源利用が促進されています。持続可能な未来を築くために、CLT木材の活用は不可欠な要素となっているのです。
CLTの活用でSDGsに貢献!持続可能な未来のために
CLT木材の活用は、国内の林業を再び活気づかせるだけでなく、持続可能な環境への配慮にも大いに寄与する可能性を秘めています。近年、取り組まれているSDGs(持続可能な開発目標)は、持続可能な未来の構築に向けた重要な指針であり、CLT木材はこれらの目標達成に貢献する手段として注目されています。
CLT木材の特長として、板を横方向に並べ、層ごとに直行するように重ねている構造が挙げられます。この独自の構造により、通常の木材に比べて非常に高い強度を持ち、大規模な建築物や構造物にも利用可能です。この強度と耐久性を備えたCLT木材が、SDGsの目標達成に貢献する有力な候補とされています。
CLT木材のSDGsへの貢献は、さまざまな側面から考えられます。まず、CLT木材は森林、地域、そして人々を結びつける要素としての役割を果たします。例えば、都市部でCLT木材を使用して建物を建設する際には、大量の木材が必要となり、これによって木材の需要が増加し、林業や木材産業の活性化が期待されます。このような循環が、都市部とその周辺地域の双方に発展の機会を提供します。
さらに、CLT木材は環境負荷が少ないという特長もあります。木材の生産と使用においてCO2排出量の削減が期待できるため、気候変動への対策に貢献します。また、CLT木材の利用により、森林の保全と持続可能な森林管理が促進され、生態系への影響も軽減されます。これにより、国内における森林資源のよい循環が期待され、地方創生と環境保護の両面から、サスティナブルな社会の実現に寄与する可能性が高まります。
総括すると、CLT木材の活用は日本において非常に重要であり、国内の林業の復活と環境への貢献を同時に実現する手段として大いに期待されています。持続可能な未来を築くために、CLT木材の広がりを支持し、その潜在能力を最大限に活かすための取り組みが必要です。この取り組みが、SDGsの達成に向けた大きな一歩となることでしょう。
日本では多くの住宅建築に国外の木材が使用されていますが、国産材の活用が求められています。国産材は価格が高く、加工技術が必要ですが、地域経済活性化や森林保護の観点から重要です。国産材の救世主としてCLT木材が注目され、間伐材の活用やSDGsへの貢献が可能です。CLT木材は国内林業の活性化と環境保護に寄与し、持続可能な未来の構築に貢献する重要な素材として位置付けられています。
CLTについてもっと詳しく知りたい方は、「CLT(Cross Laminated Timber)がわかる専門メディア」を是非ご覧ください。