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CLT(Cross Laminated Timber)がわかる専門メディア

CLT構造材の特徴とは?注目を集めている理由を紹介

CLT構造材の特徴とは?注目を集めている理由を紹介

2023/12/21

CLTはオーストリアで開発された、木材の層を交互に重ねた新しい建材です。日本では2013年に製造規格が制定され、軽量で工期が短く、CO2排出削減や森林保全にも寄与するなど、環境に配慮した建築材料として注目されています。

CLT構造材はいつから使用されるようになったのか

CLTとは、オーストリアで開発された新しい建材で、日本では2013年に製造規格が制定されました。東京オリンピックでも採用され、集成材と合板の強みを併せ持つ建材です。

◇ヨーロッパ発祥の新しい建材である

CLTはオーストリアのグラーツ工科大学の教授らによって開発された建材です。1994年に開発され、翌年以降はオーストリアだけでなく、スイスやイギリスなどのヨーロッパの国々や、北米やオーストラリアまで広く普及しました。

世界各国では既に使用されていましたが、日本では使用され始めたのはつい最近です。2013年にCLTの製造規格を制定し、2016年にCLTに関する法律が施行されたのです。つまり、日本は欧米諸国に比べて20年もの遅れをとってCLT産業が開始されたわけです。

◇東京オリンピックでも採用された

東京2020大会の国立競技場と晴海の選手村でCLTが採用されました。国立競技場では、更衣室のロッカー、休憩スペースのベンチ、屋外エレベーターの外壁に使用されてました。

晴海の選手村では国産CLTのPRと認知向上を狙った催事場として「CLT PARK HARUMI」という、CLTパネルと鉄骨、集成材を組み合わせたパビリオンが作られました。

東京2020大会が終了後、2021年に「CLT PARK HARUMI」は「風の葉」という名前に変わり、岡山県国立蒜山に移築されました。現在では、新たな観光の拠点として人気のスポットとなっています。

◇集成材・合板との違い

建築用に加工された木材として、集成材と合板がありますが、CLTはこの2種類の木材の特徴を組み合わせた建材です。集成材は厚さ数cm、幅数十cmのひき板を同じ繊維の方向に重ね、接着剤で張り合わせた建材です。

すべての板の繊維方向が長辺に沿っているので、長さ方向に強く、建物の柱や梁などの建物の基本となる部分に使われています。

合板は厚さ数mm、幅約90cm、長さ180〜270cmの一枚板を、木の繊維方向を縦横交互に重ねて接着した建材で、変形に強く壁や屋根に使用されています。

CLTは集成材と違い長い板を横に並べ、横向きの繊維の板と重ねており、合板とは構造は似ていますが、長い板を何枚も横に並べて、長さ方向の強度をより強くしています。

CLT構造材の特徴を活かした建築をしよう

CLT構造材は、軽量で工期が短く、木造のオーバーハングが可能であり、意匠性の高い建築も可能です。

◇軽量

CLT構造材のひとつ目の特徴は、軽量であることです。1㎥あたり、鉄筋コンクリートは2.4tに対して、CLTは0.5tと5分の1の重量です。一般的な鉄筋コンクリート造の3階建てとCLT造の5階建てはほぼ同じ重量で、同じ階数の建物を建築する場合、CLTで建築した方が大幅に基礎コストを削減できます。さらに軽量であるメリットとして、輸送コストの削減も可能です。

◇工期が短い

CLT構造材のふたつ目の特徴は、工期が短く済むことです。CLTは製造時に開口部加工や穴あけ加工が可能で、現場に搬入後は組み立てるだけの状態にできます。

乾式工法であるため養生期間が不要であり、木造の専門職人への依存が小さいため仮説や銃器の利用期間も短縮可能です。これらにより工期が短くなります。

◇木造のオーバーハングが可能

CLT構造材の三つ目の特徴は、オーバーハングが可能な点です。CLTを床のパネルとして利用すると、従来の木造では困難であった「はね出し」距離の大きなオーバーハングや、二方向のはね出しオーバーハングも可能です。

さらに、鉄骨造や鉄筋コンクリート造との相性が良く、混構造で使用されている場面もよくあります。

◇意匠性の高い建築が可能

CLT構造材の四つ目の特徴は、無地上小材を用いて現し面を施せる意匠性の高さです。無地上小材とは、表面に節がない木材のことで、人の目に多く触れる場所でよく使われています。

CLT構造材が注目されている理由を紹介

引用元:photo AC

CLTは、林業・木材産業の活性化やCO2排出削減、環境負荷の低減に期待されている建材です。政府も補助金・助成金を活用し、普及を促進しています。

◇林業・木材産業の活性化

現在国内の森林は、林業の次の担い手の減少と建築木材の需要の縮小で、荒廃する森林が急増しています。この問題を解決するために住宅以外の建築の木造化が求められており、新たな木材需要を生み出す必要があります。

こういった問題に対して、CLTの従来の建材よりも多くの木材を使用する点や、耐火基準をクリアしている点、中・大規模な建物で使える点が注目されています。

◇CO2排出削減や森林保全

CLTは林業や木材産業の活性化だけでなく、CO2の排出量削減にも期待されています。CO2の削減には、炭素吸収力のある若木を植える必要があるのですが、現在の国内には若木を植えるスペースがありません。

その理由はCO2の吸収力が弱まった伐採適齢期の人工林が多いからです。したがって伐採適齢期の人工林をCLTとして加工・利用することで、若木を植えるスペースを作れます。CLTにはこういった好循環を生み出す効果も期待されています。

◇環境負荷の低い建築

CLT住宅は鉄筋コンクリート造の住宅に比べ、解体から廃棄までの工程における環境への負荷が1割弱であり、環境負荷低減が見られたという結果が出ています。

これはいくつかの対策をした場合という前提条件付きではあるのですが、工夫次第で環境への負荷を低減できると期待されています。

◇補助金・助成金を活用できる

CLTはコストが高くなりがちですが、補助金や助成金を付けるなど、政府も積極的にCLTを活用できる環境を整えつつあります。代表的なものに「JAS(日本農林規格)構造材実証・転換実証支援事業」と「CLTを活用した建築物等実証事業」の二つがあります。

その他にも補助金や助成金制度はあるのですが、一般的にCLTの補助金はすぐに枠が埋まってしまいます。申請を考える際には、事前に補助金の使い方などをある程度決めておくと良いでしょう。


CLT(Cross-Laminated Timber)構造材は、オーストリアで開発され、日本では2013年に製造規格が制定された新しい建材です。ヨーロッパ発祥の建材で、1994年に開発され、その後ヨーロッパ諸国や北米、オーストラリアで広く普及しました。

日本では2013年に制定され、2016年に法律が施行されたことから、CLT産業は比較的最近に始まったものと言えます。

CLTは軽量であり、鉄筋コンクリートに比べて基礎コストが削減され、工期が短く済みます。また、オーバーハングや意匠性の高い建築が可能で、木造建築の需要を促進し、CO2排出削減や森林保全にも寄与しています。政府もCLTの活用を支援し、補助金・助成金制度を整備しています。

CLTは持続可能な建築のための有力な選択肢であり、環境に配慮した建築材料として注目されています。

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