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CLTで実現出来る高断熱住宅!断熱性を高める仕組み

CLTで実現出来る高断熱住宅!断熱性を高める仕組み

2023/08/28

住宅の断熱性は、快適な居住環境を維持するために欠かせない重要な要素です。最近、建材の中でも特に注目を浴びているのがCLTです。この新たな建材は、木材を層に重ねて接着し、強靱なパネルを形成するものであり、その優れた特性が断熱性能にも影響しています。しかし、住宅の建材としてのCLTはいまだ普及が進んでいません。

こちらの記事では、CLTの断熱性能に焦点を当てその高い断熱性を支える仕組みと、実験結果について深堀りしていきます。CLT普及にむけた政府の取り組みについても紹介していきますので、CLTを住宅に活用することのメリットを知り、普及に必要な事について考えるきっかけになれば幸いです。

CLTの断熱性は本当に高い?断熱性を高める仕組みと実験結果を紹介

CLTを選択するメリットの一つに断熱性の高さがあります。住宅にCLTを使用する場合に本当に充分な断熱性が期待出来るのでしょうか?その疑問を解決するためにCLTの断熱性を高める仕組みと実験結果を紹介します。

CLTの断熱性を高める仕組み

CLTは、木材の特性を生かして断熱性が高い建材です。これは、木材が細かな空気の入った穴(細孔)で構成されており、この空気が熱を遮断する働きをしています。例えば、10cmのCLTパネルは、1.2mのコンクリートや5cm厚のグラスウールと同じ程度の断熱性を持ちます。建築において、CLTを使った断熱工法には外張断熱と内張断熱の二つがあります。小規模な建物では外側に断熱材を取り付けて気密性を高め、中・大規模な建物では内側に断熱材を使って耐火性を確保します。接合部には熱橋を防ぐための金具が使われ、気密性を保つためには隙間処理が重要です。

CLTを使用した住宅の気密性能を調べる実験について

北海道の寒冷地では、高い断熱性と気密性が重要です。そのため、CLTを使用した建築物においても、これらの性能データが必要です。平成31年に林産試験場で建設された「Hokkaido CLT Pavilion」で断熱性と気密性の評価が行われました。今回は断熱性の結果について詳細に紹介します。

実験が行われた住居は、地上1階、延床面積84.01m2の住宅で屋根・壁・床にカラマツとトドマツCLTを使用し、屋根と床は外断熱として押出法ポリスチレンフォーム(XPS)厚さ200mmを使用しました。次の3つの条件についてそれぞれのUA値を計測しました。

1 無断熱
2 XPS50mm外断熱付加
3 XPS100mm外断熱付加

測定結果

条件1 UA=0.46 W/m2・K
条件2 UA=0.39 W/m2・K
条件3 UA=0.34 W/m2・K

上記のような結果となり、次世代省エネ基準の住宅よりも約20%節約効果があると言われるUA値0.60よりいずれも低い結果となりました。ちなみに、UA値は数値が低いほど断熱性能が高くUA値0.46ではエアコン1台で家全体を快適な室温に保つことが出来ると言われています。

※UA値とは「外皮平均熱貫流率」といって家の中の温度が屋外にどのくらい逃げやすいかを数値かしたものです。

CLT住宅普及に向けた取り組み

上記で解説したとおり、CLTは断熱性能にも優れる優秀な建材ですが、今だに認知が低く普及が進んでいないことが課題となっています。政府もCLTの普及を推進しており様々な取り組みを行っています。ここからは政府が行っているCLT普及に向けた取り組みについて紹介します。

支援制度の整備

CLTの需要を広げるため、関係省庁ではCLTを用いた建築をサポートするための支援制度を整備しています。2023年度の支援制度では、幅広い用途で活用可能な支援予算と、CLT建築物に適用可能な予算が用意されています。これにより、CLTを導入する障壁が低減されています。

CLT特別アドバイザーの委嘱

新国立競技場の設計に携わった建築家である隈研吾氏が、CLT特別アドバイザーとして任命されています。彼は関係省庁に対して活用促進の助言を行い、CLTの適切な活用をサポートしています。

大規模イベントでのCLT活用

大阪・関西万博日本館において、CLTの活用促進を行うための取り組みが行われています。関係省庁は公募により「CLT活用推進パートナー」を選定し、万博期間中に無償でJAS規格に適合したCLTパネルの貸与を行います。万博終了後、再利用パートナーによってCLTパネルの再活用も図られます。

CLTの普及に向けたロードマップについて

政府はCLT普及にむけてCLTロードマップを作成・発表しており、2023年3月31日に最新版が公開されました。この新しいロードマップは、令和5年度から令和7年度までの5年間にわたる期間におけるCLTの普及戦略を示しており、規格化されたCLTパネル等の普及や、低コスト接合方法等の普及などの内容が盛り込まれています。
参照元:内閣官房HP

政府はこれらの取り組みにより、CLTの普及を促進し木材の新たな可能性を追求すると共に、地域経済の活性化を図っています。

CLTを使用した高断熱住宅を建てられるハウスメーカー

CLTを使用した高断熱住宅を検討されている人に向けて、高断熱住宅を建てられるハウスメーカーを紹介します。

ライフデザイン・カバヤ株式会社

岡山県岡山市に本社を置く住宅メーカー、ライフデザイン・カバヤ株式会社は、木造住宅のイメージを変える革新的な「木の家」を提案しています。2022年に創業50周年を迎えた同社は、中四国ブロックビルダーランキングで4年連続1位を獲得し、岡山県では7年連続で注文住宅着工棟数1位を獲得するなど、地元での評価を確立してきました。

ライフデザイン・カバヤ株式会社は、CLTの一般住宅への普及を通じて、木の家の新たな魅力や可能性を提案しています。同社は日本の森林資源の循環利用を促進し、持続可能な建築と環境保護を両立させることを目指しています。


株式会社クロダハウス

創業から70年間、常に建築メーカーとして最新の技術の研究に取り組んできた株式会社クロダハウスは様々な輸入住宅やデザイナーズ住宅など様々なタイプの高性能住宅を扱っています。CLT建築も積極的に手掛けており、CLTと独自の従来軸組のハイブリット構法により高耐力木造建築を提供しています。


大東建託

大東建託は賃貸サービスや様々な工法の住宅施工も手掛けています。同社が販売している「Groun DK(グランDK)」では新しい建築工法、「クロスウッド工法」を採用しており、木造軸組工法とCLTの組み合わせと、面材耐力壁の使用により強度と耐久性を高めつつ、環境への配慮も行っています。



本記事ではCLTの断熱性能について詳細に紹介しました。実験結果からも証明されたとおり、CLTは住宅に使用する建材としえ申し分ない断熱性能を持っています。また、CLTは断熱性能以外にも優れた防火性能や耐震性能など優れた性質を持っており、CLTはこれまでの工法と比べて4倍の国産木材を使用することから森林活用の面でも注目されています。

このように多くのメリットを持つCLTですが、国内でCLTを使用した住宅を手掛けるハウスメーカーは今だ数が限られています。政府も普及を促進するための取り組みを行っており、今後ますますCLTを取り入れた住宅が増え、ハウスメーカーの間で普及が進むことが期待されています。

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