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CLT建築物のさまざまな工法とメリット・デメリット

CLT建築物のさまざまな工法とメリット・デメリット

2024/02/26

CLTパネル工法は、建築工期を短縮する効率的な施工方法で、耐震性や軽量性が特徴です。混構造では、鉄骨や鉄筋コンクリートとCLTを組み合わせ、耐震性や防火性を高めます。鉄筋コンクリートの頑丈さと木の温かみを兼ね備え、防音性や耐震性が向上しますが、建設コストや設計、施工の難しさに注意が必要です。

パネルを壁として用いるCLTパネル工法

CLTパネルは、これまでの耐力壁に比べて面内の剛性や耐力が向上しています。工場で加工されたCLTパネルを建築現場に直接持ち込んで施工作業をスタートできるため、効率が良く工期を短縮することができます。

さらに面材のパネルを組み合わせる工法により、建物デザインの自由度が高まります。ただし、採用する際は、信頼性の高い業者を選ぶことが先決です。

◇CLTパネル工法の耐震性と軽量性

CLTパネル工法は、水平および鉛直の両方の力を負担する壁としてCLTを用いる建築手法です。CLT木材は、繊維が直交するようにひき板に接着される「直交集成板」としても知られており、その耐震性と軽量性により地盤補強工事がいらなくなるケースが多いのが特徴です。

従来の集成材と比較しても変形が少なく、コンクリートと同等の強度を持つ特性があります。同時に、CLTは高い耐震性や遮音性、耐火性を兼ね備えており、梁や柱だけでなく、壁や床など広範に利用できるという強みがあります。

◇メリット

建築に用いられるCLTは高い寸法精度を有しており、これによって調整作業などの手間が不要となり、工程が円滑に進行するという特長があります。建築規模が大きく複雑な場合には、この利点がより顕著に現れ、特に大規模建築では他の建築工法に比べて施工期間を大幅に短縮できます。特に集合住宅や宿泊施設など、同規模の空間が集まってできる建築プロジェクトでは、生産性の向上役立ちます。

◇デメリット

日本ではCLTの普及率が低く、部材のコストが高いというデメリットがあります。現在、製造メーカーが8社しか存在せず、これが全体的なコスト上昇につながっています。

一方、世界のCLTの生産能力は年間100万m³以上と言われていますが、日本の需要は年間5,000m³程度しかありません。そのため、今後も価格が急激に下がる見込みはありません。

在来工法と組わせる軸組工法+CLTパネル

引用元:Mayr-Melnhof Holz

汎用性の高い軸組工法とCLTパネルの組み合わせは、木造住宅や商業施設の設計・施工に適しています。開口部の設計自由度が高く、乾式工法で加工され、出荷されています。開放的な空間を実現し、地震や風に強い構造を持ちますが、ハウスメーカーの施工能力に依存するため品質にばらつきがあります。

◇汎用性の高い構造法

従来の木造や鉄骨などの軸組工法とCLTパネルを組み合わせた工法があります。この工法は非常に汎用性が高く、木造住宅の設計・施工を専門に行っている設計事務所や工務店にとって取り組みやすい構造法と言えます。

また、開口部の設計も比較的自由度が高いです。建築現場で使用される形に加工され、乾燥した状態で出荷されるため、乾式工法で作られます。

◇メリット

CLTを壁や床、屋根に使用するこの工法では、開放的な空間を実現できるのが特徴です。CLTは地震や風による水平力だけでなく、柱と同じように鉛直荷重を支える機能も果たします。そのため、注文住宅や事務所、店舗などの建築に適しています。壁が少ない建物の場合、CLT単体では鉛直荷重を支えきれない可能性があるため、「軸組工法+CLTパネル工法」の組み合わせが最適です。

◇デメリット

デメリットとして挙げられる点は、ハウスメーカーによって品質に差があることです。この工法にはマニュアルがなく、部材の組み合わせが自由に決められるため、それに適した施工能力が必要とされるからです。そのため、施工を行うハウスメーカーによって品質に大きな差が生じてしまいます。

ただし、メリットも多いため、ハウスメーカーに発注する際には、過去の施工実績などを確認し、慎重に選定することが重要です。

鉄骨・鉄筋造と組み合わせる混構造

混構造は、下階に鉄骨造または鉄筋コンクリート造を使い、上階にCLTを組み合わせる工法です。耐災害性が高く、鉄筋コンクリートの堅牢さとCLTの温かみを兼ね備えますが、建設コストが高く、設計や施工が複雑でリフォームが制限されます。

◇床や壁における併用

混構造とは、注文住宅において下階を鉄骨造あるいは鉄筋造とし、上階にCLTを用いる工法です。逆の組み合わせも可能で、上下方向の立面混構造の場合には、各階ごとにそれぞれの構造設計を適用します。

また、床や壁などとしてRC造や鉄骨造などの構造形式とCLTを併用することもできます。ただし、同一層に異なる構造形式を併用する場合には、高度な設計が必要です。

◇メリット

混構造のメリットは、鉄筋コンクリート造の頑丈さを住宅に組み込むことができる点です。鉄筋コンクリートは耐震性や耐火性、防火性など、災害に対して強い機能を持っています。そのため、地震や火災、水害などの災害に対して強い家が作れます。

さらに、柱のない広いスペースを構築することができ、1階を鉄筋造にして複数の駐車スペースを確保するプランも可能です。

また、混構造ではコンクリート住宅の欠点とされる空間の冷たさを解消するために、2階部分に木の温かみを感じることができる空間を設けることもできます。さらに、鉄筋造の優れた防音性も大きなメリットです。変形地や傾斜地など厳しい敷地条件でもより自由かつ柔軟な家づくりができます。

◇デメリット

混構造のデメリットとして、家全体を木造で建てるケースよりも建設コストが高くなることが挙げられます。混構造では、複数の異なる構造を組み合わせるため、設計や施工が難しくなります。

特に異なる構造が接する箇所では、丁寧な設計や施工が必要です。そのため、混構造の家を建てる際には、混構造の設計に精通した建設業者を選ぶことが大切です。

また、混構造では通常、長期間そこで生活することを前提として建てられているため、リフォームが難しいという点もデメリットとして挙げられます。

特にモノコック構造や壁式鉄骨造などでは、天井と床、壁の6面をコンクリートで囲むため、大規模なリフォームが構造上、不可能になります。

ただし、小規模なリフォームは可能であり、バリアフリー化などの改築は通常問題ありません。


CLTパネル工法は、面内の剛性や耐力が向上し、工場で加工されたパネルを使って施工作業が効率的に行えるため、建築工期を短縮できます。また、CLTの耐震性と軽量性は地盤補強工事を不要にし、耐火性や遮音性も高い特長です。

混構造では、鉄骨造や鉄筋コンクリート造とCLTを組み合わせ、耐震性や防火性を高めることができます。メリットとしては、鉄筋コンクリートの頑丈さを持ちつつ木の温かみも感じられ、防音性や耐震性が向上します。ただし、建設コストが高く、設計や施工が難しい面もあります。リフォームも大規模なものは難しく、適切な建設業者の選定が重要です。

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