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CLT(Cross Laminated Timber)がわかる専門メディア

CLTを活用した建築物の課題とは?将来性についても解説

CLTを活用した建築物の課題とは?将来性についても解説

2024/02/26

CLTを使った建築が増え、2023年までに1000件以上の竣工が見込まれます。世界的なサステナビリティへの関心が高まり、CLTの利用が拡大しています。一方で、CLTを使わない理由もあり、設計や施工の不慣れ、竣工後の不具合への不安が挙げられます。そのため、建築基準法の改正や林野庁の補助金提供など、CLTの普及を支援する施策が行われています。

CLTを活用した建築物の普及

日本国内では2016年頃から木造建築物において、特にCLT(クロスラミネーテッドティンバー)を活用した事例が増加しています。CLTを使用した建築物の竣工件数は年々増え、令和5年度には累計で1000件を超える見込みです。

出典元:CLTを活用した建築物の竣工件数の推移

◇CLT建築物の普及と用途拡大

この木造建築物の増加の背景には、世界的なサステナビリティへの関心があります。木材の利用は、樹木が光合成によって二酸化炭素を吸収し、木材になってもその炭素を蓄える特性を持つため、地球温暖化の抑制に寄与します。また、木材の製造過程においても、二酸化炭素の排出量が削減されるため、環境への負荷が低減します。

CLTを活用した建築物は東京をはじめ、岡山、鳥取、高知などで竣工件数が多くあります。用途としては公共施設、事務所、店舗・倉庫などが特に多く、住宅系では高齢者向け住宅・施設、賃貸マンション、社宅、分譲マンションなども見られます。

出典元:CLT活用建築物の整備状況

これらの多様な用途で木造建築が活用され、竣工数が増加していることがうかがえます。

◇CLT普及のための施策と支援

CLT木造建築物の普及を支える要因として、建築基準法の改正や国や地方自治体の支援が挙げられます。例えば、建築基準法の改正により、中高層の建築物でも木材を露出させる「あらわし」を可能にするなど、木造建築物の導入を促進する法的な枠組みが整備されています。また、林野庁もCLTを活用した建築物に対して補助金を提供するなど、先導的な設計・施行技術の導入をサポートしています。

CLTを活用した建築物の課題

引用元:dezeen

CLTが採用されにくい理由として、設計者にはCLTの特有の知識とスキルの不足や柔軟性に対する課題があります。施工者は経験不足や調達の不透明さ、竣工後の不具合への不安があり、建築主は高コストや維持費用の見積もり難、木材利用のメリット理解の不足からCLTの採用をためらう傾向があります。

◇設計者の課題

設計者がCLTを使わない理由の一つは、CLTの設計には特有の知識とスキルが必要であることです。設計に不慣れで、新しい技術や素材に対する理解が不足している場合、設計者は従来の素材を選ぶことがあります。

また、CLTは柔軟な形状に対応できるが、特別なデザインアプローチが求められ、設計者のアイデアや工夫の反映を難しくします。さらに、CLTの高品質にもかかわらず、価格が高い傾向があり、予算に厳しいプロジェクトでは他の素材が選ばれることがあります。

◇施工主の課題

一方で施工者がCLTを使わない理由には、経験の不足が挙げられます。CLTの施工には通常の建築とは異なるスキルと経験が必要であり、これまでの経験が不足している場合、CLTの採用をためらうことがあります。

また、調達と価格の不透明性も問題となり、CLTの調達や価格に関する情報が不十分である場合、施工者はリスクを避ける傾向があります。競争力のある価格で材料を入手する方法や、適切な供給源を見つけることが難しい場合、施工者は他の建材を選択する可能性があります。

さらに、竣工後の不具合への不安も挙げられ、CLTを使用した建築が施工後に発生する可能性のある不具合や課題に対処する経験が不足している場合、施工者はリスクを最小限に抑えるために従来の建築方法を選択することがあります。

◇建築主の課題

CLTが採用されない理由には建築主側の問題もあります。CLTは高品質であり、木材市場が制約されている地域ではコストが高くなることがあり、建築主が設定した事業予算に合わない場合、CLTの使用を見送る可能性があります。

また、維持メンテナンス費用の不透明性もあり、CLTの建築物の維持メンテナンスに関する情報が不足している場合、建築主は将来の費用予測が難しくなり、CLTの採用をためらうことがあります。

さらに、木材利用のメリットの理解不足もあり、CLTは持続可能な建材として知られていますが、建築主が木材利用のメリットや環境への影響について理解が不足している場合、他の建材を選択する可能性があります。

引用元:一般社団法人日本建設業連合会「CLT普及に向けた課題及び今後取り組むべき施策等( 要望ならびに提案 )

◇CLTの課題

CLTを活用した建築物には、いくつかの重要な課題が浮かび上がります。

まず、商業用や非住宅の木造建築は一般的に広い空間が必要です。CLTは大きなパネルで提供され、広い空間をカバーできますが、高い建物を作るには多くのCLTが必要です。

次に、高い建物や大規模な木造建築では、たくさんの木材が必要です。CLTの需要が増えると、供給も増えるはずですが、効率的な供給体制が重要です。

さらに、CLTの建築では、木材のサイズや加工に関する要件があり、異なる業者との協力が欠かせません。協力関係を構築し、スムーズなプロジェクト進行を確保するためには、業者間での緊密な連携が不可欠です。

品質の一貫性も大切です。多くの木材を使用する場合、CLTの品質のばらつきが建築物の安定性や外観に影響を及ぼす可能性があります。業者間での連携を通じて品質基準を確立し、一貫性を保つことが必要です。

最後に、CLTを使った建築の普及には、構法や技術の進化も必要です。大規模な供給体制の構築と業者間の緊密な協力によって、木造建築が持続可能な発展を遂げ、品質や安全性が確保されるでしょう。

さまざまな施策がすすむCLTの将来性

CLTの特徴は、温かみのある空間や高い耐震性、断熱性、耐火性などが挙げられます。建築において、CLTの利用を進めるためには、構造計算の合理化や防火基準の合理化、標準モデルの活用、CLTパネルの寸法の標準化などの取り組みが行われています。

◇CLTの特長

CLTのいくつかの利点があります。まず、木材の特性により、CLTは温かみのある空間を提供し、利用者に癒しやリラックスをもたらすとともに心身をリフレッシュさせ、免疫力を高めます。

また、部材の軽さと工期の短さも大きな特徴です。CLTは鉄筋コンクリートに比べて軽量であり、パネルを工場で事前に加工し、建築現場で組み立てるプレハブ化が可能となり、従来の建築工法に比べて工期が短縮されます。

さらに、CLTは高い耐震性を備えています。厚いパネルが建物全体の構造を支えるため、地震に対して強固な耐性を有しており、実際の震動実験でも大きな損傷がないことが確認されています。

高い断熱性と耐火性もCLTの特長です。木材はコンクリートに比べて10倍、鉄に比べて400倍以上の高い断熱性を有しており、室内空間が夏は涼しく、冬は温かい快適な環境が得られます。また、火災に対する耐火性も高い特性の一つです。

そして、サステナビリティに焦点を当てると、CLTを活用することでCO2排出量の削減に貢献し、環境にやさしい建築材料であると言えます。同時に、森林資源の持続的な利用を通じて、林業と木材産業の活性化に寄与し、環境と地域社会の両面から持続可能な発展を促進します。

◇進む環境整備

CLTを使った建築の低コストで簡便な設計を進めるために、いくつかの取り組みが行われています。

例えば、CLT建築物の構造計算が合理化され、中低層の設計が容易になりました。これにより、計算時間やリソースが削減され、設計者はより効率的にプロジェクトを進められます。

防火基準も合理化され、木造建築物でも適切な対策が取れるようになり、安全性が確保され、柔軟性が向上しています。

経験の不足でも、「標準モデル」に基づいて設計が可能です。これは、成功した事例や最適な手法を参考にしながら、迅速にプロジェクトを進める支援となっています。

さらに、CLTパネルの寸法が標準化され、製造コストが低減されています。これにより、建築プロジェクト全体のコストが削減されています。

これらの取り組みにより、CLTを使った建築プロジェクトがより効率的かつ経済的に進行できる環境が整備されています。


CLTを活用した建築物の普及が進んでいます。木造建築物の竣工件数は年々増加し、2023年までには1000件を超える見込みです。これは、世界的なサステナビリティへの関心が高まり、木材の利用が地球温暖化の抑制に寄与することが期待されているためです。特に東京や他の都市で、公共施設や事務所、店舗、住宅などさまざまな用途でCLTを使用した建築が増えています。

一方で、CLTを使用しない理由も存在します。設計者や施工者、建築主がCLTの特性や価格、取り扱いに不慣れであること、また、竣工後の不具合への不安や維持メンテナンス費用の不透明性などが課題として挙げられます。

そこで、CLTの普及を支援するために、建築基準法の改正や国や地方自治体の支援が行われています。建築基準法の改正により、木造建築物の導入が促進され、林野庁もCLTを活用した建築物に補助金を提供しています。

さらに、CLTの特長として、木材の温かみやリフレッシュ効果、軽量性、耐震性、断熱性、耐火性などが挙げられます。これらの特性を活かすために、構造計算の合理化や防火基準の合理化、標準モデルの活用、CLTパネルの寸法の標準化など、さまざまな施策が進行中です。これにより、CLTを使った建築プロジェクトがより効率的かつ経済的に進行できる環境が整備されています。

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