近年大注目の建材CLT! CLTの住宅の強みや実例を紹介
近年大注目の建材CLT! CLTの住宅の強みや実例を紹介
2024/01/24
CLTは、木材の性能を最大限に活かした構造を持つ次世代木材です。環境負荷低減と地域活性化に貢献し、建築コスト削減と高強度・高断熱性を実現します。東京2020オリンピック施設にも採用され、青森県と東京都の事例がその可能性を示しています。CLTは、持続可能な建築と未来の環境を創造する鍵となるでしょう。
木材需要が期待されているCLT
CLTは、木材としての性能が高い上に、環境への配慮や地域の雇用創出の役割にも期待されている今大注目の建材です。さらに、従来の建材と違いも多くあり、新国立競技場にも使用されています。
◇CLTとは?
CLTとは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略称で、国内では普及率が低く、今後の活用が期待される建材です。
CLTは製材やひき板をそれぞれの板の繊維方向が垂直に交差するように重ねて接着させた構造を持ちます。繊維方向を垂直に交差させることで、反りや狂いを軽減させ材料の状態を保持する効果だけでなく、太くない木や節の多い木材も活用できるメリットがあります。
従来の集成材や合板のいいとこ取りをしており、建物の柱や梁、壁や屋根などあらゆる場面に対応できる建材です。東京2020大会では国立競技場や選手の更衣室ロッカー、休憩スペースのベンチ、屋外エレベーターの外壁などにCLTが使用されました。
CLTは多くの木を使用するので、国内の森林資源を有効活用し、CO2の削減や地方の雇用創出などさまざまな面で期待されています。
◇CLTと従来の建材の違い
CLTと従来の建材の違いは、施工スピード・軽量・断熱性の3点です。
従来のコンクリートでは養生期間が必要なため1階あたり約5日間の養生が必要です。しかし、CLTの場合は2日間でコンクリートに比べ半分以下の期間で施工が完了します。
また、従来のコンクリート製品とCLTを同じサイズの建材で比較した場合、CLTは5分の1の重さであるため、基礎工事が簡素化できます。例え軽量であっても十分な強度が確保されています。
さらに、断熱性についても従来のコンクリートよりCLTのほうが優れており、厚さ9cmのCLTと120cmのコンクリートの断熱性能がほぼ同等であると証明されています。その他にも、火災に遭った際には、CLTの表面は炭化するものの厚さ9cmの壁が1時間燃えても焼け落ちないという実験結果があり、高い断熱性を持っています。
CLTが注目を集める理由
CLTが注目されている理由の一つは、CLTは木材を多く使用するため森林資源を有効活用できる点です。もう一つが、CLTは軽量であるのため従来の建物よりも基礎工事の費用を削減できる点です。
◇森林資源を有効活用できる
現在、日本には建材に使用できる木材が多くありますが、手入れの行き届いていない森林が急増しています。本来はCO2の吸収量が減った伐採適齢期の古い木を伐採し、若木を植えることで森林を循環させる必要があります。
しかし少子高齢化や過疎化などで林業の担い手が減少しており、手入れの行き届かない森林が増加するという問題が起きています。こうした問題を解決するためにCLTを活用することが注目されています。
CLTは板を重ねて製造するため多くの木材が必要で、かつ建材として不向きな木材も使用できるため、増えすぎた森林を伐採し有効活用できます。さらに、CLTの活用は林業の活性化にも貢献できるため、地域雇用の創出が期待できます。
◇基礎工事の費用を削減できる
現在の日本の木造建築物は柱や梁といった線材で建物を支えるのが主流ですが、CLTを利用することで鉄筋コンクリートのように面材で支えることができるようになります。
その結果、コンクリートや鉄の強度をはるかに上回る強度を保ちながら建物自体を軽量化できるほか、1度の運搬で大量に運べるため建材輸送のための燃料費も削減できます。さらに現場へは組み立てるだけの状態で搬入されるので、工期短縮によるコスト削減も期待できます。
その他にも接合具がシンプルであるため熟練工でなくても組み立てられ上に、工事中に必要な警備員も減らせるため人件費も大きく削減できます。
CLTを使用した住宅を紹介
青森県の住宅は、CLTを使用しており、寒冷地向けの戸建住宅です。東京都の住宅もCLTを使用し、木造建築を好む施主に合わせたものです。
◇CLTを使用した青森県の住宅
屋根と床にCLTを使用し、強度・耐久性・断熱性を兼ね備えた東北初の寒冷地仕様の戸建住宅です。降雪量の多い青森県においても、積雪の重さと寒さに耐えうる優れた強度・耐久性・断熱性を保っています。
施主の木目に拘ったデザインに対する希望に応えたCLTのデザイン性の高さも注目すべき住宅です。
◇CLTを使用した東京都の住宅
施主が木造建築を好むことと、CLTの性能に魅力を感じて建てられた住宅です。この住宅は、強度と断熱性が特に優れており、さらに環境に配慮したLCCM住宅としても評価されます。
LCCM住宅は建設時のCO2排出を削減する取り組みを重視した住宅のことを指します。この住宅はLCCM住宅とCLTを組み合わせ、建設中および建設後も環境に配慮された地球にやさしい住宅です。
木材需要の増加と環境への配慮の高まりに伴い、CLTが建築業界で注目を浴びています。CLTは木材としての性能が優れ、同時に環境に配慮し、地域の雇用を促進する役割も果たす新しい建材です。
CLTは、木材の性能を最大限に活かす構造を持ち、板を垂直に交差させて接着します。これにより、反りや狂いを軽減し、様々な種類の木材を効率的に活用できます。国立競技場や選手用ロッカー、休憩スペースのベンチ、屋外エレベーターの外壁など、東京2020オリンピックの施設でもCLTが採用されました。
CLTの特徴的な利点はいくつかあります。まず、森林資源の効率的な活用が挙げられます。CLTは多くの木材を使用し、森林の適切な管理と伐採を奨励し、地域の雇用を支援します。
さらに、CLTの施工スピードは速く、コンクリートに比べて時間を短縮できます。これにより、プロジェクトの工期が短縮され、コスト削減にも寄与します。CLTは軽量でありながら強力であり、基礎工事が簡略化され、運搬コストも低減します。また、断熱性にも優れ、エネルギー効率が向上します。
CLTは森林資源の持続可能な利用、建築コストの削減、環境への配慮の向上を実現します。青森県と東京都の事例から、CLTの優れた性能と将来の可能性が示されています。CLTの活用は、持続可能な建築と未来の環境に対する一歩となるでしょう。