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CLT(Cross Laminated Timber)がわかる専門メディア

CLT工法とは?一般住宅で使用するメリットと対応可能な住宅メーカー

CLT工法とは?一般住宅で使用するメリットと対応可能な住宅メーカー

2023/11/30

CLTとは、木材を直交に積層した厚板で、製造・建設時のCO2排出を大幅に削減できるため、脱炭素化に貢献する建築材料として注目されています。また、耐震性や断熱性にも優れ、省エネ住宅にも適しています。

CLT工法とは?注目される理由と住宅業界の課題

◇住宅業界の課題について

世界中で脱炭素化への取り組みが進展し、地球温暖化の抑制を目指す様々なイニシアチブが活気づいています。2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという目標を掲げる国や地域は、世界中で120以上存在しています。

日本もこの取り組みに参加し、2020年秋にその目標を表明しました。現在、多くの住宅業界が将来の経営においてCO2排出量を重要な課題と位置づけています。

将来的なCO2排出量のリスクに対処するために、CLTが注目されています。CLTは内部にCO2を蓄積する性質があり、製造・建設時の排出量を大幅に低減できます。

このため、中大規模建設物などで幅広く利用され、今後の建設・不動産分野において脱炭素化や新たな価値の創造に寄与することが期待されています。

木質材料の魅力と特性が再び注目を浴び、これが環境に配慮した建築や不動産の進化に寄与することが期待されています。

◇CLT工法とは

CLT(Cross-Laminated Timber)は、欧州で発展した建築工法の一つです。この手法では、板を互いに直交するように積層して厚いパネルを作ります。通常の集成材は板の繊維方向が平行に配置されますが、CLTでは繊維方向が交互に直交するように配置されます。

この直交積層により、CLTは高い寸法安定性を備えています。典型的な厚みは90~210mmで、大型のパネルとして使用され、優れた断熱性と高い耐震性を提供します。欧州では、3m×16mのサイズのパネルが生産されています。

国内では、国産のスギでもCLTパネルを製作することが可能です。スギは比重が軽く、断熱性が高いため、CLTに適しています。このことから、国内の豊富なスギの森林資源に対する需要が拡大する可能性があります。

一般住宅にCLTを使用するメリット

CLTを一般住宅に導入する際のメリットはいくつかあります。

◇耐震性

CLTは木材の高い強度と頑丈な構造を有しています。密実な構造の壁は、建物の荷重を確実に支え、地震の揺れにも堅牢に対応します。この構造はコンクリートの約1/5の軽さを備えており、通常の木造軸組工法の耐力壁に比べて4倍以上の強度を誇ります。

したがって、地震が発生した場合でも建物は堅牢な構造を持っており、安全性が向上します。

◇断熱性

木材は断熱性に優れており、CLTを使用することで高い断熱性能が得られます。木材の熱伝導率は低く、壁の厚みを確保することで外部からの気温の影響を軽減し、室内環境を快適に保ちます。夏は涼しく、冬は暖かい室内環境を維持しやすいです。

◇意匠性、美観

CLTを使用することで、木の自然な風合いや質感を室内に取り入れることができます。木の表面をそのまま仕上げる「現し」の手法は、建物内外に温かみを与え、自然素材の美しさを引き立てます。

また、構造壁が少なくて済むため、開放的で広々とした空間を設計しやすくなります。

◇持続可能性と環境への配慮

CLTは木材を積層して作られるため、再生可能な資源である木を使用しています。木材の生産には二酸化炭素を吸収する機能があり、CLTの製造においても他の建築材料と比較して環境への負荷が低いとされています。

◇柔軟なデザインオプション

CLTの構造により柱や梁を最小限に抑えることができ、間取りや開口部のデザインの自由度が高まります。これにより、室内空間を効果的に使い、自分好みのデザインを実現しやすくなります。

CLT工法の対応可能な住宅メーカー

◇大東建託株式会社

大東建託株式会社は、日本を拠点にし、建物賃貸事業の企画・建築、不動産の仲介・管理、およびガス供給などの関連事業を中心に展開しています。

同社が提供するクロスウッド工法による戸建注文住宅「Groun DK」は、「木と一緒。木と一生。」を基本コンセプトとし、住まいにおいて「木と共に長く暮らせる」を追求しています。

このコンセプトによって、木の特徴である香りや温もりを大切にし、日常の生活を通じて木の質感を感じられる住宅を目指しています。建物の軒裏や室内の壁にはCLTの表面をそのまま現し、木の素材そのものを引き立てています。

クロスウッド工法は、従来の木造軸組工法に加えて、独自の新工法としてCLT耐力壁と合板の面材耐力壁を組み合わせたものです。屋根や床にはCLTパネルを一部採用し、壁にはMNパネルを使用するなど、ハイブリッドなアプローチを取っています。

この工法により、軒裏や天井、室内の壁面においてCLTを直接現すことができ、住まい全体で木の質感を感じられる環境を提供しています。

◇カバヤホーム

カバヤホームは建築・不動産分野で包括的なサービスを提供している企業です。

『倉敷CLT店』住宅展示場では、構造軸にCLTを使用し、梁の断面積にCLTの厚さを追加することで、曲げに対する強度を向上させ、三方向に約1.3mも広がるバルコニーを実現しています。また、このCLTを軒天全体に使用することで、開かれた雰囲気のアプローチ空間を演出しています。

メインの屋根はCLTで1m跳ね上げ、その上に小屋組を配置することで、約2mの深さを持つ薄くて深い軒を実現しています。これにより、大きな開口部からの日差しを遮りつつ、木質外壁を保護しています。

◇タクミ建設株式会社

タクミ建設株式会社は、本社を京都に構え、木造建築、鉄骨・RC建築、建築設計など、総合的な建設業務に従事している企業です。同社はCLTを使用する際に羊毛断熱材を採用することが特徴的です。

羊毛断熱材は、天然素材を活用した断熱材であり、その利点は多岐にわたります。日本の気候に適した国産木材との相性が良く、特に注目を集めています。

羊毛には多くの空気が含まれており、この空気層が断熱性能を向上させ、光熱費を50%以下に削減する効果があります。そのため、省エネ対策に非常に適しています。

羊毛断熱材は湿気や結露を防ぐため、優れた調湿性を有しています。これにより、構造内部の木材に対する結露対策として効果的であり、高気密住宅にも適しています。

また、性能が劣化しにくく、半永久的に断熱効果が変わらないとされています。そのため、長期にわたって利用でき、リフォーム時に再利用が可能です。

天然素材を使用しているため、羊毛断熱材は赤ちゃんやペットが触れても安全であり、アレルギーを持つ方でも安心して利用できます。これは省エネ対策に加え、環境に配慮した選択肢となります。


世界各地で脱炭素化への取り組みが進み、地球温暖化の抑制が急務とされています。多くの国や地域が2050年までに実質的なゼロ排出を目指し、日本もその一翼を担うことを表明しました。この取り組みの中で、住宅業界でもCO2排出削減が重要なテーマとなっています。

その中で注目されているのがCLT(Cross-Laminated Timber)という建築工法です。CLTは木材を直交積層して作ることで、高い寸法安定性、優れた断熱性、高い耐震性を持つ建材として注目されています。さらに、木材の特性を活かしてCO2を蓄積し、製造・建設時の排出を大幅に低減することができます。このため、脱炭素化への貢献が期待され、今後の建設・不動産分野での利用が期待されています。

CLTを一般住宅に導入するメリットは多岐にわたります。その中には、耐震性の向上、優れた断熱性、美観、持続可能性、デザインの柔軟性などが含まれます。また、羊毛断熱材と組み合わせて使用することで、省エネ効果が一層高まります。これにより、CO2排出削減と共に、快適な住環境の実現が可能となります。

日本の住宅メーカーもCLTを活用した住宅を提供し、持続可能な建築と環境への配慮を推進しています。大東建託株式会社、カバヤホーム、タクミ建設株式会社などがその一例です。これらの企業は、CLTの特性を最大限に活かし、省エネ性能の高い住宅を提供することで、脱炭素社会の実現に貢献しています。

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