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CLTは地震大国日本でこそ実力を発揮!強度とCLT耐震壁を解説

CLTは地震大国日本でこそ実力を発揮!強度とCLT耐震壁を解説

2023/06/15

近年、日本では地震が頻発するため、CLTを使用した建築物が注目を集めています。CLTは耐震性や耐火性が高く、持続可能な社会への貢献が期待される素材です。また、天然素材を活かした魅力的なデザインも特徴の一つです。これらの理由から、CLTは住宅だけでなく高層建築物でも使用されています。

こちらの記事では、CLTの強度やCLTを用いた建築物の事例、さらにCLT耐震壁の特徴について解説しています。

日本は「地震大国」

日本は世界でも有数の地震大国です。実際、全世界で発生するマグニチュード5.0の地震の約10%が日本で起こり、またマグニチュード6.0以上の地震も約20%が日本で発生しています。日本で頻繁に地震が起きるには、いくつかの理由があります。

日本は地震が起きやすい場所にある

日本は太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北米プレートの4つのプレートが集まる地域にあります。これらのプレートの境界が日本海溝、相模トラフ、南海トラフと呼ばれる地域です。プレート同士の摩擦により地震が発生します。

このようなプレートの境界での地震は、同じ場所で何度も繰り返し起こる傾向があります。特に南海トラフ地震は近年注目されており、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの摩擦によって引き起こされる地震とされています。南海トラフ周辺では、過去100〜150年の周期で大地震が繰り返し発生しています。

日本は活断層が多い

活断層とは、将来も地震を起こす可能性がある断層のことを指します。日本には約2000の活断層が存在していると言われており、これらの活断層がある場所でも過去に地震が何度も発生しています。

CLTはコンクリートより強い

日本は地震の頻発する国であり、木材の7割を輸入に頼っています。そこで、国は2020年までに木材自給率を50%に引き上げる目標を掲げています。このような状況の中、注目されているのがCLT(直交集成板)という新技術です。CLT住宅の特徴や強度について見ていきます。

CLT材の強度

CLT材は、木材の持つ天然素材の魅力と高い強度を兼ね備えた建築材料です。木材の板を直角に交差させて何層も重ね、特殊な接着剤で固めることで作られます。その構造により、CLT材は従来の集成材よりも優れた性能を発揮します。

まず、CLT材の強度は非常に高く、引っ張り強度はコンクリートの約5倍です。また、木材の曲げ強さも鉄の約15倍、コンクリートの約400倍となっています。これにより、CLT材は建築物の耐力壁として使用され、鉄筋コンクリートの代替として壁や床に適しています。

CLT材の強度以外の特徴

CLT材は、強度だけでなく断熱性にも優れています。その特徴は、熱伝導性が非常に低く、熱を遮断する能力にあります。これは、CLT材が多孔質材料であるためです。多孔質とは、細孔(微細な穴)が非常に多く存在しており、その中には空気が含まれています。この空気が熱の伝導を阻害し、断熱性を高める役割を果たしています。

例えば、10cmの厚さのCLTパネルは、1.2mの厚さを持つコンクリートや、5cm幅のグラスウールと同程度の断熱性能を発揮します。このような断熱性の高さから、CLT材を使用した建築物では、外部の気温変化から室内を保護し、快適な環境を維持することができます。

さらに、CLT材は表面に石膏ボードなどを貼ることで耐火性も確保できます。これにより、火災時においても建物の安全性を高めることができます。

また、CLT材の使用は環境にも貢献します。鉄やセメントなどの材料を代替することで、CO2排出量を削減することができます。また、CLT材は多くの国産木材を使用するため、国内の木材産業の活性化や森林資源の持続可能な利用につながります。

CLT材の普及

CLT材は、1990年代にヨーロッパで普及し始めました。現在では、オーストリア、イギリス、イタリアなどがCLT材の主要な生産国となっています。これらの国では年間約50万立方メートルのCLT材が生産されています。また、2015年にはノルウェーで14階建てのマンションがCLT材を使用して建設されました。

日本でもCLT材の利用が広がっています。2014年には高知で国内初のCLT建築物である社員寮が完成しました。さらに、ハウステンボスが建設した日本初の「CLTホテル」は大きな注目を集めています。これらを含め、国内では大小さまざまなプロジェクトにおいてCLT材を使用した建設が増えています。

建物を木で補強する「CLT耐震壁」とは?

CLT耐震壁は、建物の耐震性を強化するために使用される耐震壁の一種です。CLT(直交集成板)に鉄骨やRC(鉄筋コンクリート)構造と組み合わせることで、建物全体の耐震性を向上させることができます。このCLT耐震壁を組み合わせた工法は、「CLT+鉄骨ハイブリッド構造」などと呼ばれます。

CLT耐震壁の特徴とメリット

CLT耐震壁の特徴とメリットについて詳細に説明します。

木材の性能をより高める

CLT耐震壁は、RC造建築物や鉄骨造建築物において木材の性能をさらに高める役割を果たします。RC造建築物では、木材のCLT耐震壁によって耐震性を向上させることができます。一方、鉄骨造建築物では、鉄骨柱と柱の間にCLT耐震壁を組み込むことで木材の強度を増強します。

また、梁も鉄骨造となるため、一般的な木造建築では難しい大スパン構造にも適用できるという利点があります。また、CLT耐震壁は建築物の外観にも活かすことができ、オシャレさや優れたデザイン性を実現することも可能です。

耐火性にも配慮されている

CLT耐震壁を用いる工法では、CLTに接する鉄骨構造部材に耐火被覆を施すことで、耐火性も考慮されています。このため、CLT耐震壁が火災で燃焼しても、鉄骨構造部材が高温になりにくい設計となっています。また、火災や地震などでCLT耐震壁が損傷した場合は、CLT耐震壁のみを交換することができます。

地球環境への負荷軽減

CLT耐震壁は、間伐材や伐採適齢期の杉材などの再生可能な木材を利用して作られることが一般的です。このため、森林資源の効率的な活用や間伐材の有効活用により、地球環境への負荷を軽減することができます。また、木材は二酸化炭素を吸収する性質も持っており、CLT耐震壁の使用により、二酸化炭素排出量の削減にも貢献できます。

施工時に騒音が発生しない

CLT耐震壁は、コンクリートに比べて軽量であり、施工時に大型重機を使用する必要がありません。そのため、施工作業に伴う騒音や振動などの問題が少なく、周辺環境への影響を軽減できます。


CLT(直交集成板)を使用した建築物は、ヨーロッパを中心に普及が進んでおり、近年では日本でも広く見られるようになっています。理由として、大規模な建築物においても重量の軽減が可能であり、建築デザインの自由度が高まること、優れた耐震性と耐火性を備えているので、安全性の高い建物を実現することなどがあります。

また、デザイン面でも、CLTは木の温もりが感じられる建物を実現することができます。木の自然な風合いや質感が建物にもたらされ、心地よい空間を作り出すことができます。このような特徴から、日本の風土や文化に合った建築物を創造することができます。CLTは性能と外観の両方の優秀さから、今後さらに普及していくことになるでしょう。


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