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CLT(Cross Laminated Timber)がわかる専門メディア

CLTの構造を解説!日本の山林と建築を変える直交集成板

CLTの構造を解説!日本の山林と建築を変える直交集成板

2023/04/28

CLT構造とは、複数枚のひき板(ラミナ)を、繊維方向が直交になるように重ねた修正板(パネル)の重ねる構造のことです。直交集成板とも呼ばれることもあります。欧米を中心にマンションや商業施設などの壁や床として、欧米を中心に普及しています。日本においても、国産材のCLT構造を利用した中高層階の建築物を木造化する際に使われています。このように、CLT構造は木材需要の新規創出に期待されています。本記事では、CLT構造のメリットなどについて詳しく解説します。

CLTは集成板?構造を解説

CLTとは、英語の「Cross Laminated Timber」の略語で、「直交集成板」のことを指しています。ラミナ(ひき板)を並べる際に、木材の繊維方向が直接交差するように、積上げた木材の各層を接させたものがCLTです。ひき板(ラミナ)とは、集成材を構成する板材や小さな角材の小片をいいます。大きな板状の厚みがある構造であり、建築において利用される構造材をはじめとして、土木用材や家具などにも使われています。

CLT構造は1990年代に新たにヨーロッパで開発された木質構造用の材料です。我が国においては、2013年12月にJAS(日本農林規格)が製造規格として制定され、CLT構造に関連する建築基準法告示が公布・施行されています。こうした法制度が整ったことを受けて、開発や実用化が進みました。現在では、8~10階建てのマンション、中~大規模の商業施設や公共施設、集合住宅、などのさまざまなCLT構造の建築物が建てられています。

CLTの直交構造がもたらすメリット

CLTでは、繊維方向を直交に重ねることで様々なメリットが生まれます。

工期が短期間で済む

CLT構造のパネルなどを利用する際には、ボトルで固定して次の作業に取りかかることが可能です。工場で加工して現場で組み立てるだけなので工期を短縮することができます。

中低層向け建築物のデザインに適している

CLT工法ではCLT構造のパネルを組み合わせていくので、ユニークなデザインの建物をデザインしやすいとされています。実際に見える木目を上手に利用することで、木の温もりを感じることができるデザインに活かすことも可能です。

耐震性や耐火性に優れている

CLT構造は剛性が高いため、耐震性に優れた素材です。また、CLT構造の木材は燃えやすいと思われるかもしれませんが、木は燃えると表面に耐火皮膜ができるため、燃え進む速度が落ちます。つまり、耐火性にも優れているのです。

CLTは日本の木造建築を変える

CLT構造の木材の登場によって、あらためて木材の活用が注目されるようになりました。

日本は国土の約7割が山林で、豊富な森林資源を保有しています。しかし、我が国では地震や火事が多いため、これまで木材が有効に利用されているとは言えませんでした。しかし、ヨーロッパ発のCLT構造の木材の登場が日本の木材建築にも大きな影響を与えることになり、 注目があつまっていました。

2019年には、こうした変化を後押しするような形で、改正建築基準法が発布されています。改正建築基準法においては、防火性が高いCLT構造の木材を使用する場合には、高さ16mを越える14階建ての木造の建築物を建てることが可能になっています。また、延床1,000㎡を超えるような建築物の場合には、防火壁に加えて、防火床を導入することが認められたため、コンサート会場や集会場のような広い床面積を有する建物においても防火区画を取りやすくなりました。

CLT構造の木材を建築物の屋根・壁・床などに活用することにより、日本における木造建築物の高層化・大規模化が期待されます。

CLTで山林を守る

CLT構造の木材を利用することは日本の山林資源を守ることにつながります。CLT構造の木材には、主に杉や桧が使われます。 我が国に多く植林されている木材が杉と桧であり、特に杉は古くから日本に存在する木で、他の木材と比較すると圧倒的に軽いという特徴を持っています。 また、高い断熱性能も有しており、床材として利用されるケースも多い材料です。このように、国内産の杉や桧を我が国の住宅や建築物に利用することが可能になれば、木材の自給率が大きく改善される期待されています。

日本には森林が多いものの、実際に木材として利用されている量は少ない点が問題になっています。日本は木材の消費大国ですが、その多くは輸入木材に頼っています。かつては、木材自給率は90%以上と言われていましたが、安価な輸入木材に押されて現在の木材自給率は約20%にまで落ち込んでいます。また、成長量に対する木材の利用量は20%程度で、利用の適齢期である樹齢50年以上の木が、現在は人工林の50%以上を占めています。しかし、適切に間伐しないと森林や土壌の悪化を招くおそれがあります。CLTの普及によって木材の需要が高まれば、木材給率が改善されるだけでなく、伐採・植林・生長という好循環が構築されることになるため、森林の状態を良好に保つことが可能です。

CLTは脱炭素にも効果的

CIT工法は、脱炭素にも大きな効果を与えることができます。コンクリート材や鉄材を製造する場合には大量の二酸化炭素を排出してしまいますが、木材を利用したCLT工法の場合は二酸化炭素の排出を抑えることが可能です。また、木は成長過程において、大気中二酸化炭素を固定し、伐採された後も木材として利用されてから廃棄・燃料になるまでの間に炭素を貯蔵しています。つまり、排出かれた二酸化炭素を成長期の木材が吸収してくれるのです。

さらに、CLTの使用量が増えれば増えるほど、大気中の二酸化炭素を減らすことが可能です。また、CLT構造の木材を使用した建築物を解体した場合に、CLTパネルなどは再利用することが可能なため、燃やして廃棄しなくても済みます。つまり、廃材を燃やす際の二酸化炭素の排出も減らすことができるのです。CLT工法は、これまでの建築業界における常識だった「スクラップアンドビルド」という考え方から脱却した未来志向の工法ということが可能です。


CLT工法は、木材を組み合わせた高い耐震性や耐火性を持つ木材を利用した建設方法のことです。ヨーロッパで開発された工法ですが、現在では、CLT工法に関する法整備された日本でも注目を集めている工法です。CLT工法のメリットを踏まえて活用することが重要です。また、CLT工法は環境に優しいという特徴もあるため、CLT工法の採用が脱炭素社会の実現に寄与することも大きなメリットだということができます。


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