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CLTのメリット・デメリットを知ろう

CLTのメリット・デメリットを知ろう

2023/06/15

CLT(直交集成板)は、木造建築の様々な課題を解決し、環境にも配慮した画期的な建材として注目されています。木材の持つ優れた特性を最大限に引き出すCLTは、日本でも森林資源の効果的な活用において重要な存在となることが期待されています。

こちらの記事では、CLTの特徴やメリット、デメリットについて詳しくご紹介します。さらに、CLTの活用事例についても取り上げ、その可能性を探っていきます。木造建築におけるCLTの役割とその持つ大きな潜在能力について、一緒に探っていきましょう。

CLTとはどんなもの?

CLT(直交集成板)は、木材を使用した建築材料の一種です。CLTは、複数の木材の板(ひき板)を交互に重ねて接着し、繊維方向がクロスするように構成されています。この重ね合わせによって、木材の強度と安定性が向上します。CLTは1990年代にドイツで開発され、特にオーストリアを中心にヨーロッパで広まってきました。

CLTを使用して建物を構築する方法を「CLT工法」と呼び、CLT工法で作られた建物を「CLT建築」と呼びます。

CLTの特徴

CLTには以下の5つの特徴があります。

高い強度

CLTは木材の繊維が直交しているため、変形しにくく、コンクリートと同等の強度を持ちます。これにより、耐荷重性や耐力壁としての機能を確保することができます。

軽量

CLTは鉄筋コンクリートと同等の強度を持ちながら、重量は5分の1以下と軽量です。そのため、建物の自重を軽減し、地震や風などの外力に対する負担を軽くすることができます。

耐火性

CLTはゆっくりと燃える特性を持っています。例えば、90mmのCLT壁は1時間燃えても焼け落ちません。この耐火性により、火災時に建物の構造を保護し、避難時間を確保することができます。

耐震性

CLTは地震時にも優れた耐震性を発揮します。実大振動台実験では、阪神淡路大震災の観測波よりも大きな力を加えてもCLTは倒壊しないことが確認されました。そのため、地震に強い建物の構築が可能です。

施工が早い

CLTは工場で加工され、現場に搬入されて組み立てられます。用途に応じて事前に加工されたCLTパネルを現場に運び、シンプルな接合具で組み立てるため、迅速な施工が可能です。鉄筋コンクリートと比較して養生の時間が不要なため、工期の短縮が図れます。

CLTのメリットとデメリットを解説

ここではCLTのメリットとデメリットについて説明します。

CLTのメリット

軽量でありながら高い強度

CLTは木材を重ね合わせて作られるため、比較的軽量ながら鉄筋コンクリートと同等の強度を持ちます。そのため、建物の構造体を軽くすることができ、地震などの外力に対しても耐性を持ちます。

日本の気候風土に適したデザイン

CLTは深い軒の出を実現することができます。日本の四季の変化や厳しい気候条件に対応するため、建物を雨や風から守ります。また、ファサードデザインの個性を高めることも可能です。また、CLTは木材そのものが構造体であり、内装にも木の風合いや質感を生かすことができます。木の温もりや香りは人々に安らぎを与え、居住空間の心地よさを高めます。また、木材の表面処理によってさまざまなデザイン効果を生み出すことも可能です。

持続可能な社会への貢献

CLTを活用することは、日本の森林資源の有効活用や林業の活性化につながります。木材はCO2を吸収し、建物に固定されるため、CO2排出量の削減効果も期待できます。現在の日本では、手入れがされず荒廃した森林が増えているため、適度な木の伐採が必要です。CLTは細い木や節の多い木なども有効に活用できるため、山林の適切な保存や森林の健全化に貢献し、林業の活性化も期待できます。また、国産材の使用により、地域経済の活性化や木材産業の振興にも寄与します。

高い耐久性

CLTは木材の適切な使用により高い耐久性を持ちます。適切な保守・管理が行われれば、長期間にわたって安定した性能を維持することができます。また、木材は自然の素材であり、人々の健康にも良い影響を与えます。

快適な室内環境

CLTは調湿性に優れており、室内の湿度を調整する能力があります。木材は湿度の変化に対して自然な吸湿・放湿を行い、室内の快適さを保ちます。また、木材は断熱性にも優れており、冬は保温効果を高め、夏は適切な冷却効果をもたらします。

建築工期の短縮

CLTは工場で加工され、現場に搬入されるため、施工期間を短縮することができます。事前の加工や寸法精度の高さにより、現場での作業時間を短縮できます。これにより、建築プロジェクトの工期を短縮し、スピーディな施工が可能です。また、CLTは一般的に結合部をシンプルなボルト・ドリフトピンでとめるため、建材を傷めずに簡単に解体することができます。そのため、災害時の仮設住宅などにCLTを利用すれば、必要に応じて組み立てたり解体したりすることが容易です。このような再利用性の高さもメリットの一つです。

高い耐震性と耐火性

CLTは剛性が高く、地震などの外力に対して優れた耐震性を持ちます。また、木材の炭化現象により耐火性もあり、火災発生時にも建物の安全性を保ちます。これにより、人々の安全を確保するとともに、建物の破壊を最小限に抑えることができます

CLTのデメリット

コストがかかる

日本ではヨーロッパと比較して、2倍以上の価格差があります。欧米ではCLT市場が広く、大規模な工場設備を導入しているため、効率的な生産が可能であり、価格を抑えることができます。しかし、日本では各山主が所有する山林の面積が小さいため、大量の木材を安定的に供給することが困難であり、また大規模なCLTの生産工場もまだ整っていません。

効率的な生産が難しい

もう一つの課題は技術的な問題です。欧米のCLTでは主にトウヒなどの木材が使われますが、日本では主にスギやヒノキなどの国産材が使用されます。しかし、国産材だけを使用してCLTを作るのは技術的に難しいとされています。国産のスギは含水率が高く乾燥に手間がかかりますし、CLTの加工工程が多く、歩留まりが低いため、効率的な生産が難しいのです。

CLTの今後は?活用法を紹介

CLTは、これまで鉄筋コンクリートが主流だった中層や大規模な建築物への活用が期待されています。以下にCLTの活用事例を5つご紹介します。

東京オリンピック選手村

東京2020オリンピック・パラリンピックの選手村では、全国から提供された木材やCLTパネルを使用して建設されました。大会終了後は「東京オリパラ」焼印を施して各地域に返却され、オリンピックレガシーとして再利用される予定です。

FLATS WOODS 木場

国内屈指の高層建築となる地上12階の建物で、CLTを使用したハイブリッド建築です。耐火・耐震技術を組み合わせ、都市での木造建築の可能性を示しています。

銘建工業㈱本社事務所

工場での事前加工を取り入れたプレビルドの手法を使用し、機能的でデザイン性の高い建物を実現しています。CLTならではの高い断熱性と気密性を持ち、工期を短縮することに成功しました。

安芸太田町上本郷バス停

CLTパネルの製造時に出る端材を利用して建設された建物です。小さなパネルをブロック状に組み立て、CLTを無駄なく活用しています。

白雲岳避難小屋

北海道の大雪山国立公園内に建設された避難小屋で、CLT工法とBGF基礎を組み合わせています。重機を使用せずに軟弱地盤に対応し、わずか3か月の工期で建設されました。


こちらの記事では、CLTの特徴やメリット、デメリットについて詳しくご紹介しました。また、CLTの活用により、日本の森林資源を効果的に活用し、林業の活性化に貢献することができます。ただし、CLTのデメリットとしては、コストが高いという点が挙げられます。日本においてCLTを普及させるためには、生産体制を安定させる必要があります。これに取り組むことで、CLTの活用を推進し、木造建築における持つ潜在能力を最大限に発揮することができます。

木造建築におけるCLTの役割はますます重要となり、その可能性は広がっています。CLTの魅力を再確認しながら、木造建築の未来を共に考えていきましょう。


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