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CLTに補助金!CLT活用に政府が本腰入れている理由

CLTに補助金!CLT活用に政府が本腰入れている理由

2023/04/28

日本の豊富な森林資源を有効活用できて、地方創生にもなると期待されているCLT。CLTは1990年代にヨーロッパで開発された新しい木造建築方法です。

近年、日本政府もCLTがもたらす様々な効果に注目をして、CLT活用の促すための環境を整えるようになり、そのなかに助成金・補助金制度の導入があります。そこで、ここでは政府がCLT活用を促す理由と補助金制度について解説します。

2015年から政府はCLTの活用を促進

2010年に「公共建築物等木材促進法」が制定されて、FIT制度の開始やCLTのJASの制定など国内での木材利用に関する新制度が整備されるようになりました。

そして、2015年の持続可能な開発サミットを機に政府は「木材の活用を通した地域創生、働きやすい環境づくり、CO2削減」を目標に掲げ、木材を資源として活用することに力を入れるようになったのです。

しかし、CO2削減においては日本は年々CO2の森林吸収量が減少しているのが現状です。CO2の吸収量の多い若木を増やすには利用期を過ぎた老木を伐採をして、そこへ新しく植林をする必要があります。そのため政府は老木を木材として利用できるCLTの活用促進を決定しました

CLTの活用は、木を「伐って、使って、植える」ことにより、木材の循環利用を進め人工林の若返りを推進すると同時に、林業を成長産業化して地方創生にも役立てることを目的としています。

CLTの開発・活用を支援する補助金制度・助成金制度を導入

CLTとはCross Laminated Timber(直交集成板)の略称で、ひき板(ラミナ)を繊維方向が直交するように積層接着をしており、軽量でかつ強度が高く、耐火性や断熱性に優れているのが特徴です。

日本では2013年にCLTのJAS規格が制定されて、ついで2016年にはCLT関連の建築基準法が制定されました。こうして政府はCLT需要の拡大に向けて、関係省庁にて取り組みやすい環境整備を進めるようになったのです。

そして現在では一般住宅でもCLT工法での建築が可能になりました。しかし、日本で本格的に活用されるようになってからまだ日が浅いため、CLTの製造、加工、施工に関する技術はまだ発展途上中であり、他の木造建築方法に比べるとコスト高がネックです。

そこで、政府はCLTの技術開発をはじめCLTを用いた建築を支援するために、助成金・補助金制度を導入して、CLT活用促進を促しています。

【建築業者向け】CLT助成制度

実際にCLT活用におけるどのような助成金・補助金制度があるのかを見てみましょう。

まず、建築業者向けには2022年には「JAS構造材実証支援事業」があります。これは、非住宅分野を中心とする建築物においてCLTの消費拡大に向けた普及・実証を目的としています。

非住宅のために建築に使用した構造用CLTの費用、CLT使用量(m3)×140,000円、最大1,500万円(4階建て以上は最大3,000万円)を助成金として支給しました。

また、「転換実証支援事業」では、住宅等の建築にあたって調達が困難になった資材を設計・施工上の工夫としてCLTを活用すると、CLTの調達費又は14万円/m3のどちらか低い方(上限1,500万円)、そして設計支援では設計費の1/2(木造部の床面積✕12,700円✕1/2の金額を上限)が助成される制度などがあります。

【公共団体・民間等の建築主向け】CLT助成制度

次に公共団体・民間の建築主向けの助成制度を見てみましょう。

国交省では、「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」があり、木造の住宅や建築物のリーディングプログラムを広く提案を募り、支援をおこなうことでサステナブルな社会の形成を図ることが目的です。

この助成制度は2種類あり、ひとつは多様な用途の先導的木造建築物への支援に対して、調査・設計費の1/2以内、建設工事費の15%(掛増し分の1/2以内)が助成されます。そして、実験棟の整備への支援と性能把握をするための助成では3,000万円以内の補助を受けることができるのです。

他にも林野庁の「CLTを活用して先駆的な建築物の設計・建築等の支援」では、協議会方式によるCLT建築物の設計・建築実証の取り組みが認められると設計・建築費の助成(3/10以内、特に普及性・先駆性が高い場合は1/2以内)が助成されます。

【一般住宅の建築主向け】CLT助成制度

一般住宅向けの建築主向けのでは、環境省がの「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」があります。

ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)とは、再生可能エネルギーを導入して、年間の一次エネルギーの収支をゼロを目指した住宅を指します。これはCLTを一定量使用するZEHあるいはZEH+の戸建て住宅に対して、追加補助が90万円の助成制度です。

他にも、環境省が経済産業省と連携をしておこなっている「集合住宅の省CO2化促進事業」では、低炭素化に資する素材であるCLTを一定量使用する集合住宅が対象となり、CLT一定量以上使用で追加補助に定額10万円/1㎥(上限:1棟あたり1,500万円)、そしてZEH化集合住宅への補助金40万円または補助対象経費の1/3に追加されます。

これは、集合住宅の省エネ・省CO2化、断熱リフォームを支援し、災害時のレジリエンスの強化を目的としています。


CLTはヨーロッパ発の木を有効活用して木造建築物に役立てる画期的な工法です。しかし、新しい技術なのでCLTの製造、加工、施工に対応できる企業が少なく、コスト高になるのが欠点でした。

こうしたことを受けて政府はCLT普及のために、多くの助成金・補助金制度を導入して支援していますので、上手く利用することで、さらに需要が増えてくるだろうと予想されます。


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