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CLT(Cross Laminated Timber)がわかる専門メディア

CLTとは?世界が注目する新世代の木質材

CLTとは?世界が注目する新世代の木質材

2023/03/02

CLTパネル工法が考案されたのはドイツですが、CLT木材が製品されたのはオーストリアです。「SDGs」が採択されたことで地球環境に対する意識が高まり、CLT木材は「新世代の木質材」として世界が注目していて、日本国内でもCLTを活用した建築物が増えています。ここでは、「新世代の木質材」と言われる理由について、詳しくご説明いたします。

国内外で注目されているCLTとは?

CLTとは「Cross Laminated Timber」の頭文字からできた言葉で、JASでは「直交集成板」と訳しています。CLTパネルが製品化されたのは1990年代ですが、もともと2×4工法などでパネル工法を建築に取り入れていた欧米を中心に、その後わずか5年で急速に広がりました。国内外で注目されているCLTの主な特徴は、次の3つです。

木材の繊維方向が直交方向になっている

集成材はひき板(ラミナ)の繊維方向が平行ですが、CLTは繊維方向が直交するように並べ、積層接着します。

工期の短縮化が図れる

工場で組み立てたCLTパネルを建築現場に搬入する「プレハブ工法」で施工していくので、工期を大幅に短縮できます。

B材を有効活用できる

B材とは規格外品で処分されるのが通常ですが、CLTはB材を使って製造することが可能です。

日本国内でもCLTを活用した建築物が増えていて、「新世代の木質材」とも言われています。その理由については、次項で解説いたします。

CLT木材が新世代と言われる理由①RCに匹敵する高性能

木材は強度が劣るというのが常識ですが、CLT木材は木材を材料としていながら、繊維方向が直角なるように積層接着をしているため強度があります。CLT木材はRC(鉄筋コンクリート)に匹敵するほどの、機能性も持ち合わせています。機能性としてあげられるのは、次の3つです。

遮炎・遮熱性

CLT木材は厚板で、火災が発生した場合には表面に炭化層(断熱層)を作りながら燃えるので、燃える速度がゆっくりです。燃えるスピードは1分あたり約1mmなので、厚さ90mmあるCLT木材は1時間経っても焼け抜けません。

調湿効果と断熱性

木材特性の調湿効果があり、断熱性にも優れているので、快適に過ごせます。光熱費も削減できるので、省エネ効果も高いです。

軽量

重さはRC(鉄筋コンクリート)の約1/4です。軽量のCLT木材は、輸送と建設現場への搬入がしやすく、輸送にかかるコストも減らせます。

CLT木材が新世代と言われる理由②新たな木造建築の誕生

CLT木材が「新世代の木質材」と言われるふたつ目の理由は、CLT木材を使うことで、今までにないデザインの建築物を建設できるからです。CLT木材の使い方には、次のようなものがあります。

パネルのサイズと厚みを調節する

CLTは、パネルをボルトやドリフトピンを使って接合し建物を建てていくため、単調なデザインになると思われがちです。しかし、CLTパネルは、サイズや厚みは自由に調節できます。壁や床といった平面だけでなく、屋根や柱、家具などにも使えるので、開口や凹凸のあるデザインを取り入れることもでき、階層ごとにデザインを変えることも可能です。

仕上げ材として使う

「現し」とは構造材が見えるように仕上げる方法ですが、CLT木材はこの「現し」にも使えます。木のぬくもりを感じられるだけでなく、CLT木材に使う木の種類はスギ、ヒノキ、スギ、カラマツなど豊富なので、自由度も高いです。

CLT木材が新世代と言われる理由③環境保全を推進

「SDGs」が採択され、環境保全の推進の観点からもCLT木材が注目されています。CLT木材が環境保全に活用する主な方法は、次の3つです。

二酸化炭素を削減する

CLTパネルを製造するときに発生する二酸化炭素の量は、コンクリートや鉄と比較すると少ないです。CLTパネル自体も二酸化炭素を吸収する性質があるので、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を削減できます。

森林循環を確立する

伐採期を迎えて人工林をそのままにしておくと、日光が届かなくなり他の植物が育たなくなったり、土壌に影響が出て土砂災害が起きやすくなったりします。日本国内の樹木をCLT木材に活用することで、森林循環が確立し森林保全につながります。

廃材を減らせる

CLTパネルは他の建築物への再利用が可能です。CLTパネルには、通常処分されるB材も活用できるので、廃材の量を減らすのに役立ちます。

欧州・北米ではすでにCLTを活用

「持続可能な開発レポート2022」によると、2022年SDGs達成度ランキングでの日本の順位は163カ国・地域中19位と上位ではありますが、ここ3年で順位は連続で落ちています。「SDGs」が採択されたのは2015年のことですが、フィンランド、デンマーク、スウェーデンといった国と比較すると、日本の取り組みは日本の取り組みは十分とは言えません。

「SDGs」への意識が高いフランス、オーストリア、ドイツや、北欧やカナダなどでは、中階層の住宅やホテル、オフィスなどにCLTが活用されています。CLTを活用した建物をふたつご紹介いたします。

Mjøstårnet(ノルウェー)

オスロの北約140km、ブルムンダルに建てられた高層木造複合施設です。

竣工:2019年3月
階数:18階(1Fレストラン 、 3〜7Fオフィス、 8〜11Fホテル、12〜17Fアパート、レストラン、屋上テラス)
高さ:85.4m

HOHO Wien(オーストリア)

ウィーン東部にあるゼーシュタット・アスペルンに建てられた木造商業施設です。

竣工:2019年夏
階数:24階(オフィス、ホテル、アパートメント、レストラン、ウェルネスエリア、ビジネスフロア)
高さ:84m


CLTはコンクリートに匹敵する強度があり、機能性に優れているだけでなく、自由度が高くデザイン性の高い建築物が建てられる建築材です。ヨーロッパでは既にCLTの技術を使って、ホテルや複合施設が建設されています。二酸化炭素の排出を削減し、使われていない木材をCLTに活用することで森林保全が守れるCLTは、まさに新世代の木質材と言えるでしょう。

日本でも徐々にCLTの魅力は認知されており、CLTを使用した中高層ビルなどの建設も進んでいます。当メディアでは日本国内の施工事例等も多数掲載しておりますので、是非ご覧下さい。

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