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CLTが建築を変える!世界が認める可能性

CLTが建築を変える!世界が認める可能性

2023/01/26

CLTは断熱性、遮炎性、遮熱性、遮音性など機能性に富んだ建築材です。
日本国内では、CLT建築の認知度が高いとはいえませんが、建築を変える建築材とも考えられています。
ここでは 、世界が認める可能性を秘めたCLT建築 の有効性や日本国内で注目されている理由についてご紹介いたします。

欧州で生まれたCLT

CLTが考案されたのは1990年代のドイツですが、建築材として発展を遂げたのはオーストリアです。
日本で農林規格が制定されCLTの名称が「直交集成板」に決まったのは、それからかなり経った2013年のことです。
「SDGs」の取り組みにより、日本国内でもCLT建築の認知度は上がりつつありますが、まだ十分とはいえません。

日本は森林大国で戸建ての木造率が約9割を占めますから、木を材料としたCLTは、木造住宅用の建築材と思われる方も多いのではないでしょうか。
しかし、CLTはRC(鉄筋コンクリート)と同等の強度があり、戸建てや集合住宅だけでなく、複合施設、ホテル、ビルなどにも活用されています。
現在、世界で一番高い木造建築物はウィスコンシン州ミルウォーキーにある「Korb + Associates Architects」の「Ascent」で、ビルの高さは86.6mにもおよび、「Ascent」にもCLTが活用されています。

世界でサステナブルな建材として注目され使われてきた

サスティナブル(Sustainable)は、日本語では「持続可能な」と訳されます。
地球温暖化や自然災害など、今、私たちが取り組むべき環境問題を解決するための言葉です。
サステナブルな建材というと、自然環境に優しい、再生可能な建築材という意味合いになり、CLTはそのサステナブルな建材として注目を集め、広く活用されてきました。その主な理由は、次のふたつです。

森林を活性化できる

人工林を放置しておくと、木材として使えなくなるだけでなく、森林が荒れて土砂災害の原因となります。CLTで国内の木材を積極的に使うことで、森林を活性化させ環境保全が図れます。

二酸化炭素を減らせる

二酸化炭素は地球温暖化の原因といわれています。CLTパネルは、その二酸化炭素を吸収し固定させる性質もあります。CLTパネルを製造するときに排出される二酸化炭素の量も、コンクリートやアルミニウムの建築材を製造するときよりも少ないです。

海外でのCLT活用事例から見る有用性

CLTの有用性を理解していただくために、ここではイギリスでのCLT活用事例をご紹介いたします。
イギリスはCLT建築を積極的に取り入れていて、イギリス国内には既に500棟以上のCLT建築物があり、そのうちの約350棟が首都ロンドンに建設されています。
イギリスでCLTが普及した要因としては、次のようなものがあげられます。

住居が不足している

イギリス国内では住居不足が続いています。なかでも低所得者が購入できる住宅が不足して、とくに深刻化しているのが、ロンドンと南東部です。
CLTは工期が短いので、住まいがなくて困っている人たちにより早く住まいを提供することができます。さらに、建設するときと、解体し廃棄するときの「環境」への負担が少ないので、住宅不足の解決策だけでなく地球に優しい木造建築として期待されています。

森林資源を持たない

イギリスの森林率は国土の約10%に過ぎません。再生可能な建築材を積極的に取り入れようとする意識が高いことも、CLTが普及した要因といえるでしょう。木造建築の建築廃材処分には、建築材として使われることはほとんどありません。CLTパネルはボルトやドリフトピンで結合するだけなので、解体したら他の建築物に再利用することができる再生可能な建築材です。

日本でも注目される理由のひとつ木材自給率問題

では、次に日本国内でCLTが注目されている理由について見てみましょう。日本は国土の約66%が森林で覆われている森林大国であるにもかかわらず、木造建築に使われている材木の大部分が外国から輸入したもので、木材自給率は約40%です。その理由としては、次のようなものがあります。

建築に向かない

日本の樹木は狭い土地で生息しているため、木の太さが細く、曲がりやすいのが特徴です。一本の木から必要な寸法が取れないため、建築材として使われないことが多いです。

加工しづらい

国産材の内側と外側では乾燥するスピードが異なるため、反り、変形、ひび割れなどが起きやすいです。加工をしていない国産材と輸入材では、価格にそれほど違いはありませんが、加工に手間がかかるため、値段が高くなりやすいです。

森林循環を確立させるためには、木材自給率を上げる必要があります。CLTは国産材の杉や檜などを使うので、CLTを導入すれば木材自給率問題を解決することが可能です。

CLTの世界的なニーズと今後の可能性

「SDGs」の取り組みにより、世界的に注目されニーズも増え、日本国内でも導入する企業も増えてはいますが、まだまだ普及したとはいえない状況です。その理由としては、「設計者やメンテナンス方法の情報不足」「調達ルートを確保できていない」「CLTの問題点が解決していない」などがあげられます。CLTの具体的な問題点は、次のとおりです。

デザインに制限がかかる

CLTパネルを組み立てるだけでは、雨漏りが生じ、配管や配線が露出してしまうため、CLTパネルだけで仕上げるデザインはできません。CLT建築では、デメリットを補うためにデザインに工夫をしたり、外部は別途工事を行ったりする必要が生じます。

コストが高い

CLTを加工できる工場が少ないことと、日本国内では従来のツーバイフォー工法が主流で、CLTの取引量も少ないため、価格が高くなりがちです。それでも、CLTパネルは軽量で運送コストが安く抑えられ、工場で組み立てることで工期を短縮できるので、壁式鉄筋コンクリート造よりは価格を安くできる可能性があります。

今後、法整備が整い、CLTがより広く普及すれば、それに伴いCLTの価格も下がり、今よりもCLTの技術を建築に取り入れやすくなるでしょう。

CLTは欧州で生まれた建築技術で、森林保全が図れ、二酸化炭素の削減する効果があり、サステナブルな建材として注目されています。日本国内の木材自給率問題の解決の糸口としても注目されていますが、情報不足や価格の問題でそれほど普及していないのが現状です。CLTは自然に優しく機能性に優れているので、普及が進み価格が下がればより多くの人が活用すると考えられます。当メディアでは、CLT専門の情報源として、CLTに関連する情報や、CLTを扱う国内メーカーなどの情報を多数掲載しています。CLTの理解を深めていただくための資料としてご活用ください。


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