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CLTは雨に濡れても大丈夫なのか?耐久性を確保する方法

CLTは雨に濡れても大丈夫なのか?耐久性を確保する方法

2024/04/22

CLTが水に濡れると、カビや腐食のリスクが増します。適切な対策が必要で、浸透試験により水が侵入しやすい箇所が特定されました。特に節や目地、木口はリスクが高まりますが、木材割れ防止剤の塗布で防げます。外部での使用には雨対策が不可欠で、撥水性の塗料や雨よけの設置が有効です。これらの対策により、CLTの耐久性が維持され、安定性が確保されます。

CLTが水に濡れるとどうなるか?

水はカビや腐食の原因となるため、CLTを建材として使用する際は、事前にCLTの浸透の深さや含水率、対策方法などを知っておくことが大切です。浸透試験によると、貫通した節、目地、木口のある箇所は水が浸透しやすくなりますが、木材割れ防止剤を塗布すれば水の浸透を防げることが分かりました。

◇浸透試験

浸透試験とは、雨掛かりを想定した実験です。28度80%RHの温湿度環境で複数の試験体に色水を浸透させ変化を調べました。

試験により、浸透面に貫通した節や目地があると、水が浸透しやすいことが分かりました。内部の浸透具合を調べたところ、材面からはそれほど浸透していませんでしたが、木口からはかなり水が浸透していました。

◇浸透の深さや含水率

浸透の深さは一定ではなく局部的にバラつきが生じていて、含水率は浸透時間が長くなればなるほど増加していました。木口も含水率が高い箇所で、木口が大きくなればなるほど含⽔率も高くなります。含水率は表面塗装によっても左右され、木材割れ防止剤、木材浸透型保護塗料、素地の順で含⽔率が増えることも判明しました。

◇乾き方の違い

条件の違いによる乾き⽅の違いは、ほとんどありません。ただし、試験終了後、試験体が乾くと目地が広がっていたため、幅はぎ接着したCLTを使用する場合は割れが⽣じる可能性があります。

CLTは雨に濡れるとカビなどが発生

木から作るCLTは、雨に濡れるとカビが発生しやすくなります。表面のカビは水で拭き取るか削り取り、内部の黒いカビは漂白剤で処理します。CLTは乾燥と湿気によって収縮や膨張を繰り返すため、割れや反りが発生する可能性があるため注意が必要です。

◇カビが発生したときの対処法

空気中の微生物の胞子が付着し、芽を出すとカビが発生します。カビが発生する要因のひとつが水分のため、CLTを雨に濡れる場所で使用する際はカビ対策が必要です。カビは木材腐朽菌とは異なり、木材を分解することがないため、カビが発生しても建物の耐久性が劣ることはありません。

カビには、表面に発生するカビと、内部を黒くするカビの2種類があり対処法が異なります。表面に発生したカビは水で拭き取るか、カビが発生した箇所を削ります。内部に発生した黒いカビは、漂白剤で除去することが可能です。

◇表面が割れることも

木材は乾燥すると収縮し、水に濡れると膨張します。直射日光や雨が直接当たる屋外でCLTを使用すると、収縮膨張が原因で割れや反りが発生することがあります。表面の割れや反りは屋内でも起こる可能性があるため、環境に応じた対策が必要です。

CLTを雨に濡れる場所で使うには?

CLTを雨に濡れる場所に使う際の対策としては、雨よけの設置、撥水性の塗料や割れ防止剤の塗布などが効果的です。CLTはタイルや窯業系サイディングよりも経年劣化しやすいため、日本では外壁でCLTを使用することはほとんどありません。

◇屋外で使う際の注意点

浸透実験からも分かるように、木口は水が浸透しやすい箇所です。CLTパネルの端部に木口が現れるため、雨水などを吸水しカビだけでなく、腐食する可能性もあります。屋外でCLTを使用する際は、水の吸収を防ぐ対策が必要です。

具体的には、雨よけを設置したり、撥水性の塗料や割れ防止剤を塗布したりします。こうすることで割れや反りも防止できますが、完全に防げるというわけではありません。雨に濡れにくい軒裏・軒先軒に使用する場合も、濡れ染みや黒カビの発生を防ぐために、クリア塗装をしておくと安心です。

◇外壁で使われることは少ない

CLTを外壁に使用すると、タイルや窯業系サイディングよりも経年劣化しやすいため、CLTを外壁で使うことはあまりありません。海外では、CLTを外壁に使った施工事例もありますが、CLTに見えて実際のところ木のサイディンを使用しているケースも多く存在します。

CLTの経年劣化は経年美化ともいわれ、見方によっては時間の経過と共に美しさと魅力が増します。外壁で使う場合は、その旨を施主に説明し納得してもらったうえで、使用することが重要です。

CLTを外部で使用した施工事例

CLTを外部で使用する際は、雨対策と定期的なメンテナンスが必要です。具体的な方法を決める際は、似たような環境下での施工事例が参考になります。

◇久世駅公衆トイレ木テラス

真庭市久世駅に隣接するテラスは、耐力壁、屋根、屋外ベンチなどにCLTパネルが使用されています。雨が浸透しやすい箇所と、屋根パネルの木口は板材を使ってカバーしていますが、雨に濡れにくい耐力壁と非耐力壁はカバーなしの状態です。

◇下仁田町交流防災ステーション

建物の北側のみをAパネ工法(在来軸組工法+薄板CLT構造用面材)を採用しています。外装材は取り付けずに浸透系の塗料を塗布しているだけです。軒の出が約3,600mmしかありませんが、外壁には雨水や跳ね返りは見当たらず、日光がほとんど当たらないため経年変化も見られません。

◇秋田中央交通秋田県庁市役所前バス待合所

建物の躯体は鉄骨で構成され、屋根と柱の内部にはCLT製の天井ルーバーとベンチが設置されています。雨水の跳ね返りの対策として、ルーバーは屋根から金属プレートとボルトで固定されており、ベンチの背面と側面はガラスで覆っています。ベンチは地面から約30cmの高さがあり、表面塗装には浸透系のオスモカラーが使用されているため、完成から約3年たってもきれいな状態です。

◇新潟県刈羽郡刈羽村滝谷のバス停

バス停に使用したCLTは、含浸型塗料で塗装されています。田んぼの真ん中に設置されているため周囲には何も遮るものがなく、軒樋も設置されていませんが、干割れや雨染みが見られるのは一部のみです。外周部は再塗装されていることもあり、塗膜剥離、塗装剥がれもなく外観は良好といえるでしょう。


CLTが水に濡れると、木材のカビや腐食のリスクが高まります。これを防ぐためには、CLTの浸透性や含水率を理解し、適切な対策を講じることが重要です。

浸透試験によって、水が浸透しやすい箇所が特定されました。特に節や目地、木口などは水の侵入を許しやすく、ここに水が浸透するとカビや腐食のリスクが高まります。しかし、木材割れ防止剤を塗布することで、水の浸透を防ぐことができます。

また、外部でCLTを使用する際には、雨対策が必要です。撥水性の塗料や雨よけの設置などの方法が有効です。これらの対策を施すことで、CLTの外部使用が耐久性を保ち、長期的な安定性を確保できます。

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