日本CLT協会が目指す社会とは?CLT普及のけん引役「CLT協会」をひもとく
日本CLT協会が目指す社会とは?CLT普及のけん引役「CLT協会」をひもとく
2023/04/05
一般法人日本CLT協会はCLTやCLTを用いた建築物の普及を目的に結成された協会です。
CLTとは「Cross(クロス)Laminated(ラミネイティッド)Timber(ティンバー)」と呼ばれている木の板が繊維方向が直交するように積層接着した原型木製パネルを指します。
ヨーロッパを中心に建築物の素材として利用され、近年には日本でも活用されるようになりました。
日本CLT協会とは?主な事業内容
一般財団法人日本CLT協会は、より豊かで実りの多い社会を目指し、木造建築物を中心とする建築物を広げるために、CLT及びCLTを用いた建築物を普及させることを運営理念としている協会です。
そして、木造建築に必要な森林資源の有効活用や、サステナブルな社会の実現に寄与することも目標に掲げています。
日本CLT協会の主な事業内容は、CLTを建築物に取り入れやすくするための環境を整備することや、CLT建築物を国内外に普及させるために啓蒙活動を行い、設計者や施行者の育成や支援などに力入れています。
他にも、CLTの用途を拡大するために、同じようにCLT普及活動をしている組織と連携をするなどの活動もしているのです。
日本CLT協会の会員企業・団体
日本CLT協会では2022年12月末時点で、全国348社の企業様が会員として登録されています。
会員の企業様の業種は主に設計及び建設業、製造業、流通業をはじめ、コンサルティング・エージェントの業界など多種多様な業種が会員となっています。
協会に加盟している企業様や団体と連携しながら、CLT工法普及のための様々な課題解決へと導いていくのです。
CLTの価値をよりわかりやすく伝えるために、キャッチコピーとCLTブランドロゴマークを作成しています。会員はパンフレットや名刺にロゴマークを活用でき、CLTのイメージ作りや知名度向上のための活動に参加することも可能です。
また、CLTに関するさまざまな疑問について相談できる企業様が会員として入会しており、協会の公式HPから企業様の地域や対応できる分野に合わせた検索が可能になっています。
日本CLT協会に入会すると得られるメリット
日本CLT協会は、活動内容や団体の種類によって会員種別が異なり、正会員、一般賛助会員、特別賛助会員の3種類あります。正会員になることで得られるメリットは、協会のホームページやメルマガにて企業様のCLTに関する取り組みを協会内外に情報発信する機会を得られることです。
そして、日本CLT協会が運営している定時社員総会での議決権など、教会が行うCLTの開発や普及活動などの運営に参加することもできます。
他にも、CLT大臣認定制度の割引や日本CLT協会主催の講習会に参加する費用や書籍の割引を受けられたり、ツアーや一部イベントを優先的に案内されたりといったメリットもあります。
入会するには、協会公式ホームページの「入会お申し込みフォーム」に必要事項を入力をして送信してください。その後、理事会にて承認手続きがされると、入会通知と会費の請求書を送付します。
正会員の場合のみ、入会金と会費は売上高によって異なります。
日本 CLT協会が取り組む事業例
日本CLT協会が取り組む事業は、CLTを普及させるためのイベントの企画や講習会の主催、そして設計者向けの相談窓口を設けるなどの支援体制を整える活動も行っています。
まずは、具体例を見てみましょう。
2021年度では、建築業でのCLTが活用されていた実績を踏まえ、「低コストCLTと土木利用技術の開発」と称した土木業での技術開発が行われました。土木用に開発された低コストのCLTを検討したり、既存のCLTを利用した土木実証実験などが主な内容です。
他にも、日本住宅・木材技術センターと共同で「木造軸組立法におけるCLT部分利用の構造設計マニュアル」を作成をしています。CLT工法にて、中大規模木造建築物の構造設計をするために必要な耐力壁や、水平構面を用いる際に必要な計算法、接合形式を検討し、マニュアルに取りまとめる等があります。
日本 CLT協会が目指す社会と実現するための取り組み
国土の約7割が森林である日本では、木の良さを保ちながら強度も高く、燃えにくい新しい素材のCLTの誕生で木の価値を高めました。
そして、このCLTを使用したCLT工法が普及することで、木造建築物の可能性を広げ、豊かで実りのある社会の実現を目標に掲げています。
最近では地震や火災への強さを重視するため、他の材料を選ぶことが増えてきました。そのため手入れがされず荒廃する森林も少なくありません。
国内に多いスギは、比重が軽いうえに断熱性能が高く、十分な強度があることから、CLTの原料に適していると言われています。
CLTを活用することで、中規模建築物では杭の簡素化により、工期が短縮され、コストが安くなると期待されているのです。将来的なことを視野に入れると、木造建築における柔軟性は大きな利点と言えます。
そして、多くの森林が地方にあることを考えると、地産地消や地方創生にも役立ち、最近では地方自治体や企業とも連携をして活用する事例も数多くあります。
財団法人日本CLT協会は、CLT工法での木造建築物の普及や木材の新たな需要、新しい産業分野の創出による地方創生などを目的として運営されています。CLTはヨーロッパをはじめ、海外で既に様々な建築物での導入例が多数あり、国土に森林が多い日本では木材の需要拡大のひとつとして期待されている木材です。
CLTの製造は特別な加工技術を必要としますが、日本国内でもCLTの普及に伴い、CLTを製造するメーカーが増加傾向にあります。当メディアではCLTの製造に携わる国内メーカーの情報も多く掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。