CLTは屋根素材にも活躍!
CLTは屋根素材にも活躍!
2024/06/28
屋根の熱対策は重要です。屋根は常に太陽光を受けるため、特に夏場は室内温度に大きく影響します。金属屋根やスレート瓦は熱が伝わりやすく、二階の室温が上昇しやすくなります。このため、適切な断熱や遮熱対策が必要です。
室温が上がるとエアコンの消費電力が増加し、光熱費がかさむだけでなく、室内熱中症のリスクも増加します。特に寝室や高温多湿な場所ではエアコンの適切な使用や風通しの確保が重要です。
CLT(Cross-Laminated Timber)の屋根は優れた断熱性能を持ち、一般の木材よりも熱伝導率が低いため、夏は涼しく冬は暖かい環境を提供します。また、CLTは耐火性能も高く、店舗や施設の屋根にも広く活用されています。軽量かつ高強度であるため、建物の構造体を軽くし、工期を短縮するメリットもあります。
屋根の熱対策は必要
屋根は建物のなかでも、つねに太陽光を受ける部分です。屋根の素材や種類によっては、室内環境に大きく影響を与えます。
◇室内の温度は屋根も影響
屋根は建物の上部を覆う重要な部分であり、特に夏の暑い時期には太陽光を強く受けて暖められます。この熱は屋根を通じて室内に伝わり、特に二階の天井部分が暖められてしまいます。その結果、二階の室温が上昇し、居住性が損なわれることがあります。
◇熱が伝わりやすい屋根
熱が伝わりやすい屋根として金属屋根とスレート瓦が挙げられます。金属屋根はその高い熱伝導率が特徴であり、太陽光を受けると表面が急速に加熱されます。この熱は素材の薄さや熱伝導率の高さから、屋根裏や直接内部に伝わりやすくなります。
一方、スレート瓦も厚みがわずか4〜5ミリ程度しかなく、比較的薄いため、外部の熱が屋根材を通じて室内に進入しやすくなります。これらの屋根材は、熱が直接室内の温度に影響を与えやすいため、適切な断熱や遮熱対策が必要です。
室内の温度が上がるとどうなる?
光熱費がかさむ主な理由は季節ごとの室内温度の設定差にあります。夏は高温を低温に調整し、冬は逆に低温を高温に調整するため、エアコンの消費電力が増加します。特に冬場は室温と設定温度の差が大きくなりがちで、これが電気代を押し上げます。
一方で、室温が28度以上になると室内熱中症のリスクが急増します。この温度では体の熱放散機能が低下し、湿度が高い場合には特に注意が必要です。寝室や高温多湿な場所でのエアコンの適切な使用や、風通しの確保が重要です。
また、狭く風通しが悪い空間では特に長時間の滞在が熱中症の要因となり得ます。定期的な休憩や適切な水分補給が大切です。
◇光熱費がかさむ
エアコンの光熱費がかさむ主な理由は、季節による室内温度の設定差です。夏は高温を低温に調整し、冬は低温を高温に調整するため、消費電力が増加します。
特に冬場は室温と設定温度の差が大きくなりがちで、これにより消費電力が増えます。環境省によれば、エアコンの設定温度を1℃変更するだけで、消費電力は10〜13%も変動するとされています。
◇熱中症のリスクが増加
室温が28度以上になると、室内熱中症のリスクが大幅に増加します。この温度では体内の熱を放熱するための機能が不十分になり、体温調節が困難になるためです。特に湿度が高い環境では、体が汗を十分に蒸発させることができず、さらにリスクが増します。
室内で熱中症が起こりやすい場所としては、寝室が挙げられます。昼間に吸収した熱が夜間も残り、十分な睡眠が取れず、体調不良を引き起こすことがあります。また、キッチンやお風呂などの高温多湿な場所も危険です。
さらに、狭く風通しが悪いトイレや物置などの空間では、長時間の滞在が熱中症のリスクを高めます。これらの場所では、エアコンの十分な利用や風通しの確保が重要です。
CLT屋根は断熱性が高い
CLTはその優れた特性により、一般の木材よりも優れた断熱性能を持ちます。複数層の木材を交互に積層し、接着剤で固める構造により、熱の移動抵抗が大きくなり熱伝導率が低下します。このため、夏は涼しく冬は暖かい環境を実現し、快適な住空間を提供します。また、CLTはその耐火性能も高く、店舗や施設の屋根にも広く活用されています。
◇一般の木材よりも熱伝導率が低い
CLTは一般的な木材よりも優れた断熱性能を持っています。その特性は、複数層の木材を交互に積層し、接着剤で固めることで得られます。この構造により、熱が材料を通じて移動する際の抵抗が大きくなり、熱伝導率が低下します。
一般の木材の熱伝導率は0.2W/m・kほどで、木材自体がコンクリートや鉄よりも断熱性が高いことが分かっています。さらに一般社団法人 日本CLT協会の調査において、CLTはさらにそれを下回る0.12WW/m・kという測定結果が出ており、木材のなかでも特に室内に熱を伝えにくい建材だと言えます。
この特性により、夏は室内を涼しく保ち、冬は暖かい環境を維持することが可能です。したがって、CLTを使用することで、一般の木造建築よりも優れた断熱性と快適な住空間を実現することができます。
引用元:一般社団法人 日本CLT協会「CLT建築物等普及促進委託事業のうちCLTの性能データ収集・分析」
◇店舗や施設の屋根にも対応可能
CLTはその優れた特性から、店舗や施設の屋根にも広く活用されています。例えば、高知県香南市の児童福祉施設では厚さ150mmのCLTパネルを使用し、大きな折板屋根を構築しています。
この施設では、CLTが野地板や天井の仕上げを兼ねるだけでなく、梁や桁のない空間を実現しました。さらに、木材の自然な風合いをデザインに取り入れつつ、建築物の耐火性能も確保しています。
また、兵庫県垂水区にあるCLTカフェでは、屋根部分にもCLTを採用しました。このカフェは屋根を階段状に設計し、全面にCLTを用いることで建築の特性を最大限活かしています。
このように、CLTはその優れた断熱性能と耐火性能に加え、美しいデザインと環境への配慮から、店舗や施設の屋根にも最適な素材として選ばれています。
CLT屋根で建設コストと工期を縮小
CLTを使用した建物の設計では、軽量化と工期の短縮が重要なメリットとして挙げられます。
木材の軽量さと高い強度を活かし、建物の構造体を軽くしつつ耐力を確保することが可能です。これにより、中規模から大規模な建築物でも地盤補強の負担が軽減され、建設コストや施工期間が削減されます。
また、CLTのプレハブ工法による工場内でのパネル組み立てと現場への迅速な搬入・組み立てが、施工スピードを劇的に向上させます。欧州では少人数かつ短期間で高層建築を完成させる事例もあり、その効率性と安全性の高さが評価されています。
◇建物の軽量化
建物の軽量化は、CLTの特性を活かして実現されます。木材の比重が約0.3~0.8と軽量でありながら、強度は鉄やコンクリートの数倍から百数十倍にも及びます。この特徴から、CLTを使用することで建物の構造体の重量を軽減しつつ、十分な耐力を確保することが可能です。
中規模建築では地盤補強の負担が軽減され、大規模建築でも床板や耐力壁にCLTが採用されることが増えています。軽量化により建物全体の構造負荷が軽くなり、建築物の基礎や地盤にかかる負担も軽減されるため、建設コストや施工期間の短縮にも寄与します。
さらに、軽量であることから、建物の地震や風圧などの外力に対する耐性も向上し、安全性の確保にも寄与します。
◇工期が短縮
CLTの工期短縮の主な要因は、パネルを工場内で組み立ててから現場に運び込み、迅速に組み立てるプレハブ工法にあります。この方法により、建物の施工スピードが大幅に向上します。特に欧州ではCLTパネルの接合に必要な金具がシンプルで、熟練した職人でなくても施工が可能です。
具体的な事例として、わずか4名の技術者が9週間で9階建ての集合住宅を完成させた実績があります。これに対して同じ規模の建物をRC造で建設する場合、通常は20週間以上の追加工期が必要とされています。
このように、CLTのプレハブ工法は効率的で迅速な施工を可能にし、建築プロジェクトの工程を大幅に短縮する利点を持っています。
CLT(クロス・ラミネーテッド・ティンバー)は優れた断熱性能と耐火性能を誇る建材です。複数層の木材を交互に積層し、接着剤で固める構造により、熱の移動抵抗が大きくなり、熱伝導率が低下します。その結果、夏は室内を涼しく保ち、冬は暖かい環境を維持することができます。また、木材特有の自然な風合いとデザイン性も兼ね備えており、建物の美しさを引き立てる素材としても注目されています。
CLTは軽量でありながらも高い強度を持ち、建物の軽量化と工期の短縮にも寄与します。地盤補強の負担を軽減し、施工工程を迅速化することで、建設コストの削減にも貢献します。欧州ではCLTを使用した高層建築の迅速な完成例もあり、その効率性と安全性が高く評価されています。
店舗や施設の屋根としても広く活用されており、その多様な利用例からもその有用性が証明されています。例えば、児童福祉施設やカフェなど、CLTが建築の構造とデザインに与えるポジティブな影響は大きく、現代建築において重要な選択肢の一つです。