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土木分野でもCLT木材が活躍中!

土木分野でもCLT木材が活躍中!

2024/07/26

木の橋

土木分野での木材の利用は増加していますが、一方で耐久性や強度のばらつきが懸念されています。その課題を克服したのがCLT(直交集成板)です。CLTは高い耐久性と均一な強度を持ち、林道橋梁や防雪柵などでの土木利用が進んでいます。

従来の土木工事には主にコンクリートや鋼材が主に使われてきましたが、文部科学省と国土交通省は脱炭素社会の実現に向けて、木材利用を推進しており、木材も柵や階段、木橋、治山ダム、ガードレールなどにも木材が使われるようになりました。

土木分野で木材はどのように使われている?

木材は昔から身近な建材のひとつで、現在でも土木分野でインフラなどに活用されています。

◇木材の用途

土木工事においては一般的にコンクリートや鋼材が主に使われる構造物ですが、木材を使用する試みが広がっています

柵、階段、型枠をはじめ、木橋、木製の治山ダム、河川の水制工、ガードレールや遮音壁など道路関連施設に木材を用いることが増えています。これら既存分野での木材利用を拡大し、技術開発を進めることで、その需要のさらなる増加が期待されています。

◇省庁も活用を推進

特に近年は脱炭素社会実現に向けて、文部科学省と国土交通省が公共部門における木材利用を推進しています。

土木分野では丸太を用いた地盤改良工法が注目されており、この方法はセメントや鋼管を用いる従来の工法に比べて環境に優れ、木材需要を増加させる効果があります。この工法は、地下水位以下で木杭を打設することにより劣化を防ぎ、軟弱地盤の液状化や沈下を抑制するのに理想的です。

また、文部科学省は、木材を使う学校施設の建設費を補助する制度も実施しました。そのため、公立の学校施設においても、木質化や木造化を取り入れた建物が増加しています。

土木分野における木材利用の懸念点

朽ち木
画像出典:Photo AC

土木分野での木材の活用がクローズアップされていますが、懸念点も存在します、

◇耐久性

土木分野での木材利用における懸念は耐久性です。木材の劣化の主な原因となるのは、シロアリの食害と腐朽菌による腐朽です。これらは生物劣化と称され、特に外構材では腐朽が問題となります。

ただし、古くからの木造建築物でもわかるように、環境が適切であれば木材は100年以上持続することが可能です。特に、雨水対策は重要で、屋根で全体を覆うか、木口部や接合部を保護し、勾配をつけて雨水の溜まりを防ぐなどの工夫が求められます。

◇強度のばらつき

木材の強度は、いくつかの要因によって数値は変わります。木材の密度が高いほど、硬くて強度があり、逆に、比重が低く空隙率が高い樹種は、柔らかく強度が低いのが特徴です。比重は木の種類によって異なるため、どの木材を使うかで強度が変動します。

また、乾燥の程度も強度に影響します。総体積に対する水分の割合の「含水率」が高いと強度は低下するからです。理想的な含水率は繊維飽和点(約30%)以下で、市場に流通する木材は通常10〜15%に乾燥されています。

ただし、含水率が5%以下になると過乾燥により強度が低下することに注意が必要です。

耐久性と強度を兼ね備えるCLT木材

木材を土木工事に使用する際の懸念点である、耐久性と強度のばらつきはCLT木材を活用することで改善できるようになりました。

◇木の種類でCLTの耐久性を向上

ヒバは日本固有の樹木で、天然の「ヒノキチオール」成分が豊富に含まれています。ヒノキオールの成分には抗菌、防腐効果があるとされ、腐食やシロアリにも強い傾向にあり、家具や建材として優れているのが特徴です。

特に湿度の高い環境でもその効果を発揮し、浴槽や風呂桶に適しています。また、ヒバの香りは消臭効果や防虫効果もあるとされ、防虫剤にも使用されています。

◇強度のばらつきが少ない

木材の弱点である強度のばらつき、火の弱さ、害虫被害は、集成材やCLT(直交集成板)の使用で克服されています。CLTは繊維方向に直交して接合された厚板で、20m以上の大スパン構造を実現し、新しい建築様式を可能にしました。

同様に、LVL(単板積層材)やベニヤ板も木材の均一な品質を保つために利用されています。これにより、木材を土木工事にも活用する際の耐久性と強度の問題が改善されました。

土木分野にCLTを利用した事例

こちらでは、実際に土木分野でCLT木材を利用した事例ご紹介します。

◇林道橋梁

自動車も通る橋桁の開設工事で、隣接する既設林道橋梁を工事用道路として利用する際に、覆工板の代わりにCLTを試験的に敷設し、橋桁の補強材として使用しました。

専門家に荷重計算や構造規格を相談し、CLTの許容応力を評価した結果、1層3m×1m、厚さ3cmのラミナを7層接着した厚さ21cmのCLTを10枚使用し、支持構造としてH鋼3本を採用して施工しています。

敷設から1年後にCLTの表面を確認した結果、割れやささくれなどの剥離や変形はほとんど見られず、目立った劣化はありませんでした。

◇防雪柵

CLT製の防雪柵の設置と検証では、防雪柵を1スパン4mで、合計3スパン設置して、直立部には3970×650×60mmのCLTを2段で設置しました。上段のCLTにはスパン毎に異なる塗料で表面塗装を施し、下段は表面処理をしていないCLTを使用しました。

CLT防雪柵に関しては、着雪状態が風の流れを阻害し防雪効果を損なう可能性があるため、その影響を調査しました。表面処理を施したCLTでは吹雪時の着雪が確認されましたが、表面処理を施していないCLTでは着雪が見られませんでした。

この違いは材料の熱伝導率の差によるものと考えられ、表面処理をすることで、腐朽の発生を抑える効果が期待できます。まだデータを分析中で詳細な結果は出ていませんが、道路上の雪の堆積を軽減する傾向が見られたことから、鋼製防雪柵と同等の性能を有していると考えられます。


土木分野における木材の利用は、近年ますます注目され、これまではコンクリートや鋼材が主に使用されてきた土木工事木材の利用が広がりを見せています。柵や階段、型枠、さらには木橋、木製治山ダム、河川の水制工、ガードレールや遮音壁といった道路関連施設にも活用されています。

一方で、土木分野における木材利用には懸念点も存在します。特に耐久性が問題とされており、木材の劣化原因としてシロアリの食害や腐朽菌による腐朽があります。また、木材の強度にはばらつきがあり、密度が高いほど強度が高い反面、比重が低く空隙率が高い木材は強度が低くなります。

こうした課題に対処するため、CLT(直交集成板)などの技術が開発され、木材の耐久性や強度のばらつきを改善しています。CLTは繊維方向に直交して接合された厚板で、大スパン構造を実現し、新しい建築様式を可能にしました。実際の事例としては、CLTを用いた林道橋梁の開設工事や防雪柵の設置などがあります。

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