CLTを用いた住宅の住み心地は?利便性も解説
CLTを用いた住宅の住み心地は?利便性も解説
2024/05/30
CLT(Cross Laminated Timber)は、木の板を繊維方向が交差するように積層して接着した木材で、日本を含む世界中でその使用が増加しています。この人気の理由は、環境問題への配慮と技術の進歩にあります。CLTは木造ハイブリッド建築や全木造の中高層建物に利用され、その強度はコンクリートに匹敵しながら、優れた断熱性と耐震性を提供します。また、住み心地に関しても、耐火性やデザインの自由度の高さから好評を得ています。
CLTを用いた住宅が増加している?
CLTとは、ひき板(ラミナ)を並べ繊維方向がクロスするように積層接着された木材のことです。近年、このCLTを用いた住宅やタワーマンションやビルなど中高層の建築物が日本だけでなく、世界で増加傾向にあります。増加している主な理由は次の2つです。
◇木造ハイブリッド型の建築物が増加傾向にある
近年環境問題が深刻化していることが関係しています。カーボンニュートラル宣言など、世界で脱炭素や循環型社会を目指した取り組みが各国で行われており、日本もそのひとつです。
国内においても、木造ハイブリッド型マンションやすべて木造の中高層住宅などが竣工されてきました。特に大手ゼネコンでは、CLTを用いた大規模なプロジェクトを予定しているところも多いです。CLTを用いた建築物は、今後も増加していくとされています。
◇CLTはRC造と同等の強度
CLTは環境に配慮されているだけでなく、強度にも優れておりコンクリートと同等の強度を持っているのが特徴です。CLT(スギ)は、コンクリートの約1/5の重さしかありませんが、木造軸組工法の耐力壁よりも約4倍の強度があります。
また、断熱性にも優れており、コンクリートの1/13の熱伝導率です。そのため、夏は涼しく冬は暖かい室内を実現できます。
CLTを使用した住宅の評判は?
実際に家に住むとなると課題となるのが住み心地や利便性です。やはりCLTを用いた住宅は、実際どのくらい快適に過ごせるのか気になる方も多いのではないでしょうか。長く快適に暮らすためにもCLTを用いている住宅の住み心地や利便性を把握しておきましょう。
◇CLTの住み心地はどうなのか?
CLTの住宅は、デザイン性の高い建築にも柔軟に対応できるのが特徴で、強度があり加工もしやすいため、S造などの構造との相性もよいのが特徴です。さらに耐震性・耐久性にも優れているため、定期的にメンテナンスを行っていれば長く快適に住み続けられます。
また、火災が発生した際は全く燃えないわけでもありませんが、鉄骨のように強度が低くなってしまうケースが少ないのが特徴です。
◇利便性はどうなのか?
CLT木材は遮音性が低いため、生活音が響いてしまう可能性があります。そのため、ちょっとした生活音や話声などでも騒音トラブルなどになりかねません。トラブルを防ぐためにも床や天井に防音対策が必要です。
また、木材は熱伝導率がコンクリートよりも低いため、結露が発生しづらいといった特性があります。だからといって換気が必要ないというわけではなく、風通しをよくして木材を乾燥させるといったメンテナンスが必要です。
このようなメンテナンスをしておけば、カビ・結露の発生や腐食などを防げるといったメリットもあります。
CLTを使用した住宅の一例をご紹介
CLT木材には、耐久性などだけではなくさまざまな効果があるのが魅力です。そのため、近年では一戸建てだけでなく、集合住宅も増えてきました。
◇CLTと鉄骨ハイブリッド構造の「プラウド参宮橋」
CLT×鉄骨のハイブリッド型の最新分譲マンション「プラウド参宮橋」は、外観の軒裏に国産のヒノキを使用して温かみを演出しつつ、サッシ(ガラス)と金物を合わせることでスタイリッシュなデザインになっています。
また室内の温度が均一になるつくりにしているため、健康面でも安心で快適な空間になっているのも魅力です。
◇木造3階建てCLT工法賃貸住宅
CLT工法で建てられた住宅は、断熱性・遮炎性・遮熱性に優れています。一般的な木材よりも耐火性が高く、燃えにくいのが特徴です。また、CLT工法で建てられた集合住宅は、CO2を吸収し貯蔵、再利用が可能な木材を使用しているため、環境に配慮されています。
国産の木材の利用拡大が期待できるのもCLT工法のメリットのひとつです。これまで、日本は木材資源が豊富にもかかわらずさまざまな要因が重なり、国産の木材は活用されてきませんでした。
また、CLT木材として利用すれば資源サイクルが円滑に行われる点もメリットのひとつです。さらに工場でのパネル製造と組立が可能なため、短期で製造・施工ができます。
CLTがもたらす実際の効果とは?
近年CLTを用いて建てられた住宅が注目されているものの、実際に住んでいる方はそこまで多くありません。実際にCLTを用いた住宅に住んでいる方の声をもとにCLTがもたらす実際の効果は次の2つをご紹介します。
◇蓄熱と消臭効果がある
CLT木材は断熱性が高いため、蓄熱効果があり気温が-1℃であっても心地よく起床できるほどです。さらにCLTはカビや結露が発生しづらく、子どもの喘息などの症状が和らいだとも言っています。
また、消臭効果も期待できます。CLT住宅で暮らすある家族は、室内で焼肉を楽しんでも翌日には臭いが消えていると話しています。また、ペットの臭いも気にならないとも語りました。
◇光熱費が半分以下に
実際にCLTを用いた住宅に実際に住み始めた方からは、鉄骨造のアパートに住んでいたときよりも冬季の光熱費が半分以下に減ったという声もあります。近年では電気代が高騰しているため、光熱費が軽減できるのはうれしい効果です。
また、CLTを用いた住宅は自治体などの助成制度を受けられるケースもあります。これからCLTを用いたマイホームを建てる予定の方は利用するのもおすすめです。
Cross Laminated Timber(CLT)とは、木の板を交互に重ねて接着した木材で、最近では日本を含む世界中でその採用が増えています。CLTの使用が増えている理由は環境への配慮と建築技術の進化にあります。
特に、木造ハイブリッドや全木造の中高層建築において注目されており、これらの建物はカーボンニュートラルなどの環境保護目標に貢献しています。
CLTの建築物は、コンクリートの約1/5の重さでありながら、木造軸組工法の耐力壁の約4倍の強度を持つことが特徴です。この高い強度と優れた断熱性能により、CLTは一年を通して快適な居住環境を実現します。
また、CLTの住宅はデザインの柔軟性が高く、耐震性や耐久性にも優れているため、定期的なメンテナンスを行うことで長期間快適に住み続けることが可能です。
さらに、火災時には完全には燃え上がらないため、鉄骨と比較しても強度が低下しにくいのも大きなメリットです。ただし、CLTの住宅では遮音性に若干の課題があるため、生活音に対する適切な防音対策が必要とされます。
これらの特性を理解し、適切な設計とメンテナンスを施すことで、CLTは住宅建築における持続可能で効果的な選択肢となり得ます。