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CLTは耐震リフォームにも活用できる!

CLTは耐震リフォームにも活用できる!

2024/06/28

施工事例

日本は頻繁に地震が起こる国であり、特に1981年5月31日以前に建てられた建物は古い耐震基準に基づいています。これらの建物は震度5強以上の地震で倒壊リスクが高いです。平成30年時点での耐震化率は約87%となっており、まだ多くの建物が改修を必要としています。

古い耐震基準の住宅は、売却時に不利な条件が多く、買い手がつきにくい状況です。この問題に対処するために、CLTを使った耐震リフォームが効果的です。

具体的な事例としては、三重県尾鷲市役所本庁舎と一般住宅の例があります。尾鷲市役所では地元産のヒノキを使用し、CLT耐震壁を導入することで、地産地消を推進しつつ耐震性を向上させました。また、一般住宅でもCLT耐力壁を1階に導入することで、耐震性能を大幅に向上させ、安全性を確保しました。

耐震リフォームが必要な理由

地震大国である日本では、一定以上経過した建物に対する耐震リフォームが欠かせません。なかでも旧耐震基準に該当する建物はできる限り早急に対応したいところです。

◇旧耐震の建物はまだ多い

1981年5月31日以前に建築確認された建物は旧耐震基準に基づいており、震度5強程度の地震での倒壊リスクが高いとされています。2024年時点で43年以上経過しているため、これらの建物は旧耐震基準に該当する可能性が高いのです。

国土交通省の資料によると、平成30年における日本の耐震化率は約87%であり、旧耐震基準の建物がまだ多く残っていることを示しています。国は耐震化の推進を進めていますが、古い建物の多くがまだ耐震補強を受けていないため、地震時の安全性に課題が残っています。

引用元:国土交通省「住宅・建築物の耐震化の現状と目標」

◇旧耐震と新耐震の違い

旧耐震基準と新耐震基準の違いは、耐震性能、地震による被害状況、税制優遇の面で顕著です。

旧耐震基準は震度5程度の地震で倒壊しないことを目指し、新耐震基準は震度6強~7の大規模地震で倒壊しないことを求めています。2016年に発生した熊本地震では、旧耐震基準の建物の倒壊率が約28%であったのに対し、新耐震基準の建物の倒壊率は約11%でした。

旧耐震のまま放置したらどうなる?

日本では、耐震基準の違いや建物の築年数が地震時の倒壊リスクや住宅売却時の不利な条件に大きく影響します。1981年に新耐震基準が導入されましたが、その後も基準は改定されており、過去の地震の積み重ねで建物の疲労が蓄積することがあります。

また、旧耐震基準の住宅は住宅ローンが組みにくく、買手が現金一括で購入するのは難しいため、売却が困難になる可能性があります。

◇倒壊リスクが上昇

石川県珠洲市正院町では、能登半島地震で住宅の約40%が全壊し、そのうち半数は1981年の新耐震基準導入後の建物でした。新基準の住宅が全壊した理由として、過去に複数回の震度6の地震があったため、建物の疲労が蓄積したと分析されています。

また、耐震基準は過去に3回の改定が行われており、新耐震基準であっても建築時期によって被害の大きさが変わるのです。

◇売却時に不利になる

旧耐震基準の住宅は、売主に不利となってしまいます。旧耐震基準の住宅はそもそも築年数が古いため買手が少ないのですが、さらに旧耐震基準となるとより買手に敬遠される可能性が高まります。

また、住宅ローンの代表的な商品である「フラット35」の利用条件に適合しない点も不利になる要素です。

フラット35では、1981年5月31日以前に建築確認された住宅に対し、耐震基準適合証明書が必要とされています。せっかく買手が現れても住宅ローンを組めないため、成約に至らないといった可能性があります。

なお、耐震基準適合証明書を取得するためには耐震工事が必要で、数十万円の費用と1か月程度の時間がかかります。

CLTの耐震リフォームでより強度を高める

旧耐震基準住宅の耐震性を高める方法に、耐震リフォームが挙げられます。筋交いや構造用合板で補強するのが一般的ですが、CLT耐力壁による施工が可能になりました。

◇CLTは耐震性が高い

CLT木材を使用した建物は、木材の強さと軽さを兼ね備え、他の建築材料に匹敵する耐震性を実現しています。

通常の木材でもコンクリートに比べて引っ張り強度が225倍、曲げ強度が400倍、鉄と比べた場合は引っ張り強度が4倍以上、曲げ強度が15倍以上です。

さらにCLT壁は従来の木材軸組工法の耐力壁の4倍の強さを持っているため、地震に対する耐震性がより高くなります。

◇RC造建物の耐震補強も可能

CLTは、RC造建物の耐震補強にも利用可能です。CLTパネルは、スギ板を重ねて圧着し、のパネルとして作られます。これを既存のRC躯体と接着工法で一体化することで耐震壁とします。

この技術により、壁などの補強が行われます。CLTは、日本農林規格(JAS)に基づき、耐震性能が評価されており、教育施設やホテル、商業施設の耐震改修にも適用可能です。

CLTで耐震リフォームを行った事例

施工事例
画像出典:三重県木材協同組合連合会 公式サイト

すでにCLTは耐震リフォームに活用されています。ここでは2つの事例を解説します。

◇市役所の耐震補強事例

三重県尾鷲市役所本庁舎の改修工事は、地元産のヒノキを積極的に活用し、地産地消の取り組みを推進しています。特に正面玄関の外回りには、鋼板とヒノキを組み合わせた集成材が使用されました。

また、工事期間中も庁舎の機能を維持しながら、耐震補強を行うためにさまざまな補強工事が実施しています。CLTを用いた新しい構法も導入されており、ヒノキのCLTを利用した耐震壁が取り入れられました。

◇一般住宅の耐震補強事例

一般住宅の耐震補強事例として、1階の内壁3か所にCLT耐力壁を導入することで大きな改善が見られました。

CLT耐力壁の導入により、耐震性能は補強前と比較して10倍向上し、特に1階短手方向の耐震性能は1.7倍にも達しました。この改善により、耐震診断では「倒壊しない」評価から「一応倒壊しない」へと安全性が向上し、耐震等級も「等級3」から「等級2」へ高まっています。


耐震リフォームの必要性について、日本では地震大国であり、特に1981年5月31日以前に建築確認された建物は旧耐震基準に基づいており、震度5強程度の地震での倒壊リスクが高いことが課題です。平成30年時点で耐震化率が約87%であり、旧基準の建物が未だ多く残っている状況です。

倒壊リスクだけでなく、旧耐震基準の住宅は売却時に不利な条件が多く、買手がつきにくいことが挙げられます。これらの問題を解決するのに、CLTを用いた耐震リフォームは効果的です。

耐震リフォームの具体的な事例として、三重県尾鷲市役所本庁舎と一般住宅の例を挙げることができます。尾鷲市役所では地元産のヒノキを活用し、CLTを使用した耐震壁の導入により、地産地消を推進しながら耐震性を向上させました。

一般住宅の場合、1階の内壁にCLT耐力壁を導入することで、耐震性能が大幅に向上しました。耐震診断では安全性が確認され、耐震等級も改善されたことが報告されています。

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