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カラマツはCLTに向いている?

カラマツはCLTに向いている?

2024/07/26

カラマツ

カラマツは針葉樹の一種で、ユーラシア大陸の寒冷地に広く分布し、日本でも北海道に自生しています。カラマツのCLT(クロス・ラミネーテッド・ティンバー)が実現し、強度と美しい木目が評価されています。

代表的な建築事例には、北海道の「オホーツクウッドピア セミナーハウス」と「しりうち地域産業担い手センター」があり、地元産のカラマツCLTが使用されています。

硬くて丈夫で耐湿性・耐久性が高く、成長が早いので商業価値が高いことから、カラマツ製の外壁材やフローリング材としても人気で、多用途に利用されています。

カラマツはどんな木材?

カラマツは針葉樹の一種で、特にユーラシア大陸の寒冷地に広く分布していて、日本でも北海道などの寒冷地に自生しています。

◇カラマツの特徴

カラマツはマツ科の中で珍しい落葉樹で、晩秋には黄金色に紅葉してその葉を落とし、この遅い紅葉は冬の訪れを象徴しています。

カラマツは硬くて丈夫であり、耐湿性と耐久性が高いため、近年は乾燥技術の進歩により割れなどの問題が解決されたことで、需要が増加しています。

また、成長が早く、約30年で伐採が可能なことから木材としても高い商業価値を持つため、循環型林業の良い例としても注目されています。

◇近年木材利用が進む

カラマツは、その高い強度から建物の外壁材としても人気があり、専用のパネルが開発されています。カラマツ製の外壁材は耐久性に優れ、木本来の表情を楽しむことができ、強度や安定性が高いのが特徴です。

さらに、耐水性と硬度が高いため、フローリング材としても広く利用されています。フローリングとしては赤味がかった自然な節や木目が特徴的で、耐久性が高いため傷がつきにくく、他にも、家具材としても活用され、強度や美しい木目を生かした製品が多数作られています。

カラマツはその多用途性から近年は建築用材だけでなく、インテリア材料としても重宝されている木材です。

カラマツ木材の欠点

カラマツ
画像出典:Photo AC

カラマツは、成長が早く、硬くて耐水性が高いなどの利点がありますが、欠点も存在します。

◇ねじれ

カラマツは成長中に上向きにねじれながら伸び、伐採後の乾燥過程でさらにねじれが進むため、加工が困難なのが特徴です。住宅で使用すると、変形が発生し壁クロスの亀裂・建具等の不具合などが発生することもあります。

特に、若木のねじれが顕著ですが、年を重ねるごとにねじれが収まり、樹齢80年を超えるとねじれが減少します。また、のねじれが建築に必要な強度と粘りを提供するとも言われています。

◇ヤニ

ヤニはマツ科の植物から染み出す樹脂成分で、木材が温められると内部から軟化して表面に染み出し、乾燥すると白色化します。

特にヒノキ、カラマツ、ベイマツなどの木材に多く見られ、カラマツの丸太には「ヤニツボ」と呼ばれる粘着性の高い樹脂が滲出します。この樹脂が乾燥後に硬化し、木材表面をコーティングして光沢をもたらすのです。

ヤニはその粘着性から水拭きでは取りにくく、建築材料としては扱いづらく、避けられることもあります。硬化している場合は削ることも可能ですが、表面を傷つける恐れもあります。

加工技術の進歩でカラマツCLTが実現

近年では、技術の進歩によりカラマツの課題が改善されて、CLTが実現されました。

◇技術が進歩

カラマツは、土木用材や合板に広く活用されていますが、割れや狂い、ヤニの多さから製材用途での使用が難しい歴史がありました。

長年、このような特性から建築材料としての活用が限られていましたが、最近では加工技術と乾燥技術の進歩により、これらの問題が改善されました。


乾燥技術では、「脱脂乾燥」が開発され、高温高湿の条件下で含水率を下げつつ、蒸気を利用して木材内部の精油分を外に押し出し、液状樹脂の表面滲出を大幅に減少させます。

乾燥後の検品工程では、ヤニが溜まるヤニツボと呼ばれる部分を特定し、刃物で取り除き補修することで、特に内装材での問題を防ぎます。

これらの改善により、カラマツは構造材、内装材、外壁材として広く使われるようになっています。

◇CLTにも活用

カラマツを使用したCLTは、その強度と美しい木目が評価されており、建築分野での利用が拡大しています。

元来カラマツは硬くて強い木材であるため、CLTに加工することでその構造的特性がさらに向上し、これにより、大スパンや多層建築に適した建材となります。

さらに、カラマツの木目は非常に美しく、CLTとして建築物に使用されると、自然な温もりとともに高いデザイン性を提供し、これにより、内装材や外壁材としても人気があります。

カラマツCLTの建築事例

こちらでは、実際にカラマツのCLTでの建築事例をご紹介します。

◇オホーツクウッドピア セミナーハウス

北海道留辺蘂町の協同組合オホーツクウッドピアは、道内初のCLT生産工場としてJAS認定を受け、地元でのCLT生産を開始しました。

オホーツクウッドピアが手掛けたセミナーハウスは、国内で5棟目のCLT建築物で、全国で初めて北海道産カラマツCLTを使用しました。この建物は外壁には150㎜厚、2階の床と天井には210㎜厚のCLTを使用し、内装はCLT現しとしています。

ただし、オホーツクウッドピアおよび道内では大判パネルの製造が行えなかったため、岡山県へカラマツを輸送し、製造後されたCLTパネルを持ち帰っています。

◇しりうち地域産業担い手センター

北海道知内町の「しりうち地域産業担い手センター」は、就業研修や移住体験者の居住スペースとして建設されました。

建築には100%道産の木材を使用し、特に全国初となるカラマツ材を使用したCLTとカラマツの集成材床パネルを採用しています。この施設は北海道内で初のCLTを使用した公共施設であり、地元産材の完全な地産地消モデルを体現したと言えます。


カラマツは、針葉樹の中でも特に特徴的な木材で、ユーラシア大陸の寒冷地に広く分布し、日本では北海道などの寒冷地に自生しています。カラマツの最大の特徴は、その硬さと丈夫さです。耐湿性と耐久性が高く、これにより近年では木材の乾燥技術の進歩によって割れの問題が解決され、需要が急増しています。

カラマツには、伐採後の乾燥過程でねじれやすい、木材が温められるとヤニが表面に染み出すといった欠点もありましたが、これらの点は、近年では加工技術の進歩により改善されました。

そのため、最近では、カラマツの木材利用が拡大しており、カラマツを使用したCLT(クロス・ラミネーテッド・ティンバー)は、その強度と美しい木目が評価され、建築分野での利用が拡大しています。

具体的な建築事例としては、北海道の「オホーツクウッドピア セミナーハウス」や、北海道知内町の「しりうち地域産業担い手センター」が挙げられます。

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