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CLT(Cross Laminated Timber)がわかる専門メディア

木材資源を活用し再利用もできるCLTと軸組工法の違い

木材資源を活用し再利用もできるCLTと軸組工法の違い

2024/02/26

木造軸組工法は伝統的な技法で、柱と梁を組み合わせて建物を構築し、自由度の高いデザインを可能にします。一方、CLT工法はCLT素材を使用し、直交させた木材を積み重ねて安定性と断熱性を提供します。両者の違いは、使用される木材や性能にあり、それぞれの工法が持続可能な建築に寄与しています。

木造軸組工法とCLT工法の違い

木造軸組工法は、柱と梁を組み合わせて建物を構築する伝統的な技法で、デザインや間取りの自由度が高く、和式や洋式の建物に適用可能です。一方、CLT工法はCLT素材を使用し、木材を直交させて形成する工法で、安定性が高く、断熱性に優れています。日本では2016年に関連法が施行され、一般利用が可能になりました。

◇木造軸組工法

木造軸組工法は、昔から日本で用いられている伝統的な建築技法です。基礎となる土台に垂直方向の柱を立て、水平方向に梁を組みます。柱と梁が骨組みの基礎となり、壁には筋かいという斜めの材を加えて建物の強度を高めていきます。

木造軸組工法の最大の長所は、デザインや間取りの自由度が比較的高い点が挙げられます。柱の位置や高さを自由に設定でき、壁に設置するドアや窓も筋かいがない部分であれば自由に場所と大きさを決められます。

伝統的な技法では、針やくぎを全く使わず木材を組み合わせるだけで頑丈な建物を建築していましたが、近年は各種金具を用いて簡略化を図り、職人の技術力に左右されない面を重視しています。昔から和式の建物を建築する目的で用いられてきた技法ですが、洋式の建物にも対応できるのも特徴です。

◇CLT工法

CLT工法とは、CLT素材を用いて建築される工法です。CLTとは「Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)」の略称で、1990年代からオーストラリアでの利用が開始されたといわれています。

木材を直交させて形成する素材であり、寸法の安定性が高いのが特徴です。また、断熱性にも優れており壁式構造の戸建て住宅や中層建築物に用いられるケースが多いです。日本では、2016年にCLT関連の建築基準法が公布・施行されたことにより、一般利用が可能となりました。

木造軸組工法とCLTで用いる木材の違い

引用元:一般社団法人日本CLT協会

木造軸組工法では、主に乾燥剤、集成材、プレカット材が使用されます。乾燥材は、変形を防ぎ、集成材は効率的な利用と耐久性を、プレカット材は高品質な加工を実現します。一方、CLT工法ではCLTを使用します。直交積層された木材はデザイン自由度が高く、木の温もりを感じさせます。また、エネルギー消費量が低く、耐震性・耐火性にも優れています。

◇木造軸組工法

木造軸組工法では、主に乾燥剤・集成材・プレカット材が用いられています。

乾燥材は、素材を人工的に乾燥させて製材品に加工した木材です。木は、時間経過で乾燥をすることにより歪み・痩せ・割れ・反り・曲がりが発生します。建築してからこれらの変形が見られると、欠陥住宅になりかねません。あらかじめ乾燥させた状態で木材とすることにより、建築後の変形を防ぐ効果があります。

集成材は、乾燥した板を複数貼り付けて木材とするものです。木目方向に平行に重ねるのが集成材の特徴です。間伐材を利用できる効率性の高さと、接着性能の向上による高い耐久性能が魅力といえます。

プレカット材は、これまで職人が手作業で行ってきた木材加工を、自動化技術を用いて行う木材です。均一で高品質の木材を取得できるため、木造住宅の素材として活用される事例が増加しています。

◇CLT工法

CLT工法で用いられる素材は、CLTです。上述のように、「Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)」という名称で、木目の方向を合わせて貼り合わせる集成材とは異なり、板の繊維方向を1枚ずつ90度クロスさせて積み重ねる直交積層を用います。

CLT(Cross Laminated Timber)は、建築において面材のパネルを組み合わせることで、斬新なデザインを容易に実現できる工法として注目されています。

木目が見える素材であり、木の温かみを感じさせる落ち着いた空間を演出することが可能です。さらに、CLTの製造には他の建築材料に比べて少ないエネルギーが必要であり、それによってCO2の発生量を低減することができます。

耐震性・耐火性にも優れており、震度6強の地震を想定したテストでは他の工法が大破する中、CLTは使用可能な状態を維持することが確認されています。

森林資源を活用できるCLT工法の魅力

CLTを用いた工法は、日本ではまだ開始されたばかりで事例は多くありません。しかし、CLT素材の有用性や素材としての魅力が注目されており、今後の建築素材として広く利用されていくことが予想されます。

CLT工法の魅力として、CO2の発生量を抑える点が挙げられます。コンクリートや鉄などに比べ、木材は製造する際のCO2発生量が少ないです。また、木材はCO2を吸収して育つため、製造時に発生したCO2を活かして次のCLT素材が育つことにつながります。

CLT素材が再利用可能である点も、注目される魅力です。CLT工法においては、ほとんどの接合部がボルトやドリフトピンで接合されており、構造躯体にほとんどダメージを与えることなく解体ができます。

解体したCLT素材は、再び別の建物の素材としての利用が可能です。仮設住宅など一時的に多くの建物を建築し、被災状況が解決して不要になったあと解体するような活用方法に、CLTは最適の素材といえるでしょう。

さらに、CLT工法は森林資源を活用できる点も大きな魅力です。森林は、手を加えず放置しているとどんどん荒れてしまいます。CLTを用いた建築は、一般的な建築工法よりも木材を利用する割合が多いため、森林資源の有効活用に貢献します。

CLTを製造する際には、間伐材が利用できる点も見逃せません。一般的な工法で用いられる木材は、間伐材を利用しないケースが多いです。一方、CLTの場合は間伐材を組み合わせて建築素材として活用できるため、資源を最大限に利用できます。

以上のように、CLT工法はエコの視点においてさまざまなメリットがあります。CO2削減の必要性や省エネ志向が高まっている昨今において、将来性のある魅力にあふれた素材といえるのではないでしょうか。


木造軸組工法とCLT工法は、建築における異なるアプローチを提供しています。

木造軸組工法は、柱と梁を組み合わせて建物を構築する伝統的な技法であり、デザインや間取りの自由度が高く、和式や洋式の建物に適用可能です。この工法では、柱と梁を組み合わせることで骨組みを形成し、筋かいを加えて建物の強度を高めます。

近年は、各種金具を用いて簡略化されつつも、伝統的な技法の特性を残しつつ、洋式の建物にも適用できるようになっています。

一方、CLT工法は、CLT素材を使用して建築される工法です。CLTは直交させた木材を積み重ねて形成され、その安定性と断熱性に優れています。1990年代からオーストラリアで利用が開始され、日本では2016年に関連法が施行され、一般利用が可能となりました。

CLT工法は木目が見える素材であり、木の温かみを感じる空間を演出できるだけでなく、エネルギー効率の面でも優れています。さらに、耐震性・耐火性にも優れており、他の工法と比較しても安定性が高いことが示されています。

また、木造軸組工法とCLT工法で使用される木材の違いも存在します。木造軸組工法では乾燥材・集成材・プレカット材が主に使用されますが、CLT工法ではCLT素材が使用されます。CLTは木目を直交させたパネルを組み合わせて建築するため、面白いデザインを容易に実現できる特徴があります。

また、CLT工法は森林資源の活用やCO2の削減にも貢献します。森林資源を有効活用し、再利用可能な建築素材として、持続可能な建築の一翼を担うことが期待されています。

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