CLTの国外での建築事例を紹介!素材の魅力・課題や業者も解説
CLTの国外での建築事例を紹介!素材の魅力・課題や業者も解説
2023/12/18
CLTは、世界各国で建築分野で注目を集めており、その魅力と可能性を示す国外の建築事例を通じて、この素材の魅力や課題に迫ります。さらに、高品質なCLTを提供する信頼性のある業者の選定が、プロジェクトの成功に不可欠である点も詳しくご紹介します。
CLT国外建築事例を紹介!質と景観の両立
ここでは、ヨーロッパ各国でCLTがどのように活用されているのかを、建築事例を交えてご紹介します。
◇Brock Commons Tallwood House
カナダのバンクーバー市にあるブリティッシュコロンビア大学の学生寮「Brock Commons Tallwood House」は、2017年に完成したこの寮は18階建てで、木造ハイブリッド構造が特徴です。
このプロジェクトは、木材の炭素固定効果を活かし地球環境保全を目指すコンペティションがきっかけです。耐火性能を確保するため、鉄筋コンクリートと木材の混合構造が使用されていて、CLTが主要構造に使用され、高さは53.5メートル、延べ床面積は1万5115平方メートルに及びます。
建設当初は世界一の高さを誇る木造建築物であり、木質化の技法には「マスティンバー(あるいはマッシブホルツ)」と呼ばれる手法が用いられました。
◇BMW Alpenhotel Ammerwald
オーストリアの「BMW Alpenhotel Ammerwald」は、ドイツのBMW社が運営する5階建てのホテルです。1〜2階は鉄筋コンクリート造で構築されており、3〜5階はCLTと組み合わされた混構造で、CLTの使用により客室をはじめ建物内部からでも木の温かみを感じられ、癒しの空間が広がります。
建物内部は木材の調湿性や断熱性を実感できて、周囲は自然に囲まれているため心地よく、リゾートとして多くの人に利用されています。
◇G3 Shopping Resort Gerasdorf
オーストリアの「G3 Shopping Resort Gerasdorf」は、2012年に完成した商業施設です。
この施設は木造の梁や屋根を鉄骨柱と組み合わせた構造を持ち、高さは最大20mで屋根面積は6万m²にも及びます。
オーストリアのCLTメーカーが提供した資材を使用して建設され、一部の天井はCLTが現しとなっており、木の存在を強く感じられる空間になっています。
CLTの将来性ある魅力と抱える課題とは?
CLTは日本でも、将来性のある素材として注目されている魅力的な素材ですが、同時に解決しなければならない課題も抱えています。
◇施工期間を短縮できる
CLTを使った建物は、コンクリート構造よりも施工期間がかなり短縮されます。これは、工場で加工されたCLTパネルを現場に運び、組み立てるだけで済むためで、他にも接合具がシンプルであるため、熟練した工員でなくても施工が可能であり、コンクリートのような養生期間が必要ないことが理由です。
◇耐火性・耐震性・断熱性などに優れる
CLTは軽量化できる一方で、優れた耐震性を持っています。実際の振動台実験では阪神大震災クラスの地震を想定しましたが、CLT建築の変形はわずか3cm程度に抑えられ、地震後も損傷が少なかったことが示されました。
耐火性においても一般的な木造建築が火災に対して脆弱であるのに対し、CLTは表面が炭化するものの、燃焼速度はゆっくりで、厚さ90㎜の壁が1時間燃えても崩壊しないことが確認されています。木は熱伝導率がコンクリートの1/10、鉄では1/350と低く、冬は暖かく、夏は涼しい環境を維持する最適な素材だといえるでしょう。
◇素材のコストが高く、取り扱いに高い技術を要する
日本ではまだ導入が浅く、生産や流通の体制の確立が不十分です。その主な課題は価格で、欧州ではCLTの単価が㎥当たり7万円以下であるのに対し、日本では2019年時点で15万円以上と、価格差が2倍以上にもなっています。
価格を下げるためには大量の材木を安定して確保する必要がありますが、日本の山主の所有面積が小さいため、安定した供給が難しいのが課題です。
また、技術的な問題も存在します。欧米のCLTではトウヒなどが使われますが、日本では主にスギやヒノキが利用されます。国産のスギは含水率が高く乾燥に手間がかかるうえに、CLTの加工工程が多く、歩留まりが約15~30%と低いなどの課題が残っています。
CLTの導入を検討!品質の高い業者選定を
高品質で低コストのCLT木材を購入するには、用途や目的に適した専門業者に依頼することが重要です。ここでは、CLT専門業者のパイオニアでもある「ティンバラム株式会社」をご紹介しますので、CLT専門業者探しの参考にしてください。
◇すべての建築工程を任せられる
ティンバラムは、CLTパネルをはじめ木造建築に必要なすべての工程を一貫して対応可能です。ウッドストラクチャーシステムを活用することで、構造設計、集成材の製造、プレカット、施工といった木造建築の全工程を一気通貫で提供しています。
設計では「意匠」と「構造」を組み合わせた施工図を作成し、詳細な3D躯体構造を表すCADデータを提供します。このデータはプロジェクトのスケジュールや予算の管理に役立ちます。
製造・加工では建築に必要なあらゆる集成材を製造し、最新の機器を用いてプレカット加工が可能です。プレカット後には養生塗装または仕上げ塗装を施し、加工済みの集成材とジョイント金物をセットにして建築現場に提供します。
そして施工では大規模な公共施設から個別の住宅まで、木造構造の設計・製作・施工可能です。細かい3Dデータを基に事前にプレカットされた製品を素早く正確に施工します。木造構造に関連する主構造や補助構造などの2次的な要素も取り扱えます。
◇様々なタイプの素材を扱える
国内外の様々な木材、例えば東北地方のスギやヒノキ、カラマツ、さらに輸入材のベイマツやベイヒバ、スプルースなど、広範な樹種を取り扱っています。これらの木材は、JAS(日本農林規格)認証工場から安定した供給可能です。
また、純国産のハイブリッド集成材や、依頼者の地元での地域材を使った集成材など、顧客の多岐にわたるニーズに適応できる環境です。
◇過去の建築実績が豊富
ティンバラムは、公共施設からアリーナなどの大規模施設、保育園まで、CLTを使用した多様な建築実績を誇ります。以下で一部をご紹介します。
小学校(岩手県)
岩手県のスギ・カラマツを用いた小学校建築。RC造・S造との組み合わせで、使用材積は355 m³、延床面積4,561m²。モダンなデザインと同時にぬくもりある空間を実現しました。
生涯学習センター(宮城県)
南三陸町に位置する、スギ材をたっぷりと活用したW造りの平屋型生涯学習センター。床から壁、天井まで木材で構築され、使用材積は330m³、延床面積は1,780m²です。
国外でのCLTの建築事例を紹介しました。カナダのバンクーバー市にある「Brock Commons Tallwood House」は、18階建ての木造ハイブリッド構造で、木材の炭素固定効果を活かし、耐火性を確保するために鉄筋コンクリートとの混合構造が使用されました。
オーストリアの「BMW Alpenhotel Ammerwald」は5階建てで、CLTを使用して木の温かみを提供し、自然に囲まれたリゾートとして利用されています。また、「G3 Shopping Resort Gerasdorf」は商業施設で、木造梁と鉄骨柱の組み合わせで高さ20mの建物を建設し、CLTの存在感が感じられる空間を創りました。
CLTは耐火性、耐震性、断熱性に優れ、施工期間を短縮できる素材ですが、価格が課題となり、日本での導入には課題が残ります。技術的な問題も存在し、国産木材の利用や価格の競争力向上が求められています。 CLTを導入する際には、品質の高い業者選定が重要です。今回ご紹介したティンバラム株式会社はCLT専門業者としてすべての建築工程を提供し、様々な木材を取り扱い、豊富な建築実績を持っています。