CLTの建築事例を紹介!素材の特徴や業者選定のポイントを解説
CLTの建築事例を紹介!素材の特徴や業者選定のポイントを解説
2023/12/18
CLTは、持続可能な建築材料として注目を浴び、その特徴や利点を活かした建築事例が増えています。日本国内ではまだCLTを製造するメーカーは数少ないものの、その優れた特性が近年多くの関心を集めています。本記事では、CLTの素材特性や建築への応用事例を探りつつ、信頼性のあるCLT業者を選定する上での要点を詳しく解説します。建築の未来を切り開く魅力的な選択肢として、CLTに注目しましょう。
CLTの建築事例を紹介!注目度の高い素材
林野庁の補助事業でCLT建築の実証が行われ、ここ数年間でCLTの建築事例が増え、設計や施工のノウハウが蓄積されるようになりました。そして、現在もさまざまな規模や構造形式で建築が進み、構造や耐久性、環境面などからCLT建築物等実証事業が実施されています。こちらでは、CLTを使用して建築された建築事例をご紹介します。
◇KFC堺百舌鳥店
CLTを使用した店舗の一例として、軒天と壁柱にCLTを使い、内部空間に木の温かみを感じさせる空間を演出しています。通常同規模の建物では鉄骨造が主流ですが、CLT工法の採用により、構造体の施工期間を10日以上も短縮できています。CLTは構造体と下地材を兼ねているため、建方作業後にすぐに仕上げ作業に移れるため工期短縮が可能になりました。
◇JR勝間田駅舎
平屋建ての鉄道駅舎では、壁や屋根にCLTパネル工法を使用しています。そして、7つの連続する家型フレーム内には、コンコース、公衆トイレ、待合室、屋外のパーゴラなどが一体的に配置されています。これにより、構造の架構が工夫され、シンプルで純粋な構成が実現されています。
駅舎の内部空間を構成する範囲では、XおよびY方向に十分なCLT壁パネルが配置され、水平力に耐える計画となっています。家型フレームの屋根スラストは、適切に配置されたタイバーや耐力壁によって拘束されて、壁パネルと屋根パネルの接合金具に回転剛性を持たせることで、架構の変形を抑制しています。
屋外のパーゴラ部分では、CLTパネルと集成材を合成したT型断面のフレームを使用し、外側はCLT壁パネル、屋根方向には合成フレームで抵抗する計画です。
◇くりばやし整骨院
こちらは2階建ての木造軸組構法併用住宅で、2階の床構造にCLTを採用しています。建物は狭小な敷地に建ち、1階が店舗で2階が住宅という、日本の典型的な都市型住宅におけるCLTを活用した建築事例です。
1階部分は柱のない空間にして、同時に外部駐車場も確保しつつ、2階の居住スペースを確保するため、2階の床にCLTを使用してはね出しを実現しています。
CLTは注目の素材!建築素材としての特徴とは
CLTはコストパフォーマンスが高く、耐震性に優れ、環境保全にも役立つ優秀な素材として、日本ではまだ取り扱うメーカーが少ないですが近年注目されている建築素材です。
◇林業・木材産業の活性化につながる
日本は国土の約7割が森林で覆われる環境にあり、かつては国産木材を使用して建物が建てられていました。しかし、少子高齢化や山間部の過疎化により、林業の人手不足が深刻化しています。
また、全国的な人口減少に伴い、住宅用木材の需要が減少しており、新たな木材需要を生み出すためには、住宅以外の建築分野で木材の利用を進展させることが重要です。
CLTは従来の建材よりも多くの木材を用い、かつ耐火基準をクリアして中・大規模な建物にも利用できるため、過剰になっている森林資源を効果的に活用する手段として注目を集めています。
◇温室効果ガスの削減および森林保全が期待できる
CLTの物件を入手するためには、実績豊富な業者選定が重要です。日本のCLT市場は拡大しており、公共施設や大規模建築での採用も増えています。しかし、価格は課題とされています。信頼性の高い業者を選び、CLTの特性を最大限に活かした物件を手に入れましょう。
◇環境負荷の低い建築ができる
LCA(ライフサイクルアセスメント)では、CLT建築はRC造よりも低い環境負荷を持つ可能性があると考えられます。ある研究では、CLT住宅の全工程における環境負荷を計測し、木材の適切な管理やエネルギー削減、廃棄物処理などの対策を講じた場合、RC造住宅に比べて10%ほどの環境負荷削減が実現することが示されました。さらに、不要な資材の削減や環境負荷の低い接着剤の使用などの工夫を重ねることで、より環境にやさしい建築が実現できると考えられます。
CLTの物件を入手!実績ある業者選定が大切
CLTは誕生してからまだ日が浅く、一般社団法人日本CLT協会が公開している国内でJAS規格に適合するCLT木材を製造・販売できる業者は8社です。CLT木造パネルへの加工のみをおこなえる企業は14社ありますが、原盤の木材からCLTへ製造からパネルまでの加工できる企業は全国的に少ないのが現状です。そのため、CLT建築物件を依頼する際には、CLTの建築実績を持つ信頼できる専門業者の選定が重要です。
◇CLT建築の実績を十分に持つ業者を選定する
CLT工法は従来のRC造やS造では実現が難しかった木造施設を可能にし、大規模な施設だけでなく、保育園や介護施設など多岐に渡る建物にも採用されています。CLT工法は近年注目を集めている工法なので、施工実績がある業者がそれほど多くはありませんが、CLT工法を取り入れている業者を選定しましょう。
◇過去の建築事例を確認する
過去の建設事例を確認して、どのような建物を施工していたのかをチェックしてください。
CLT工法の建築事例が多い業者なら、アドバイスをしてくれるはずなので、「こうすればよかった」と後悔する可能性が低く、満足のいく施設を実現できます。
◇複数の業者に相談して比較する
1社だけでは見積もりが適正価格なのか、説明が正しいのかわからないため、複数の業者に相談して比較検討しましょう。できれば3社以上の業者に依頼することをおすすめします。
1度目は無用相談で対応している業者が多いので、上手く利用して見積りの内容な対応、相性をチェックしてください。
CLTは、日本でも注目を集める建築素材であり、近年建築実績が増え、その特性が評価されています。
KFC堺百舌鳥店はCLTを使用し、木の温かみを感じる店舗を建築しました。CLT工法により施工期間が短縮され、工期短縮のメリットがあります。
JR勝間田駅舎は鉄道駅舎でCLTパネル工法を活用しています。シンプルで純粋な構造を実現し、耐力壁や屋根スラストなどが工夫されています。
くりばやし整骨院は狭小な敷地に建つ2階建て住宅で、2階の床にCLTを使用。都市型住宅にCLTを取り入れ、効率的な空間を実現しました。
CLTは木材の活用を進め、環境にやさしい建築を促進します。業者選定が重要で、CLTの建築実績を持つ信頼性の高い業者を選び、過去の建築事例を確認し、複数の業者に相談して比較検討することが大切です。また、CLTの環境負荷低減や森林保全にも寄与するポテンシャルがあり、今後の発展が期待されます。