CLT壁のここが凄い!これまでの木造の常識を覆すCLT壁
CLT壁のここが凄い!これまでの木造の常識を覆すCLT壁
2023/11/29
木造建築におけるCLT壁は、これまでの木造の常識を覆す驚異的な素材です。通常の木材が火災に弱いのに対し、CLTは特殊な構造により、火の進行を遅らせることができます。その特性により、遮音性、耐震性、耐火性の向上に成功し、木造建築の持続可能性と安全性を大幅に向上させました。CLT壁は木造建築の未来を切り拓く有望な解決策として注目されています。
木造建築の種類と課題点について
木造建築は大きく分けて、木造軸組工法と木造壁式工法(ツーバイフォー)の二つの主要な構造に分類されます。これらの構造にはそれぞれ特有の特徴と利点があります。
木造軸組工法
木造軸組工法は、柱と梁を組み合わせて軸組みを形成する伝統的な手法です。柱と梁の組み合わせにより、建物の荷重を支え、軸組みの配置によって多様な間取りに対応できます。日本では在来工法として古くから使用されています。最大の利点は自由度の高さで、様々なデザインや間取りに適応できることです。建物の形状や配置に柔軟性があり、個々の要望に合わせた建築が可能です。
ツーバイフォー
ツーバイフォーは北米発祥の構造で、主に2×4インチ材を使用し、パネルを組み立てて建築します。構造の特徴として、柱や梁が独立しているのではなく、壁によって支えられる形式です。この手法は、建築期間を短縮することができるため、大量生産や低コストな建築に向いています。最大の利点は短期間での建築が可能なことと、構造の中でも比較的高い耐震性が挙げられます。パネルを工場で事前に組み立てられるため、現場での作業が迅速に進むことができるでしょう。また、構造が強固であるため、地震などの自然災害に対する耐性が高いです。
木造建築の課題点
木造建築には、課題点がいくつか存在します。まず、遮音性が低く、他の構造に比べて壁が薄いため、音が漏れやすいという問題があります。これは住宅や建物内でのプライバシーの確保に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
また、通気性が高く気密性が低いため、冷暖房の効果が低下しやすいという課題も挙げられます。特に古い木造建築では気密性が低下していることがあり、快適な室内環境の確保が難しくなる恐れもあるでしょう。
他にも、木造構造は一般的に耐震性と耐火性において他の構造に比べやや劣る傾向があります。地震や火災などの災害に対する弱さが指摘され、特に古い建築物ではこれらの課題が顕著になることがあります。
木造の常識を覆すCLT壁
CLT壁は、木造建築において常識を覆す素材として注目されています。通常の木造建築では、遮音性や耐震性、耐火性の課題がありますが、CLTはその特性により新たな建築の可能性を広げています。
遮音性
遮音性において、CLT壁は薄くても優れた遮音性があります。従来の木造構造が遮音性に劣る傾向がある中、CLTはクロス方向に積層された複数の木材層が共振を抑制し、音の伝達を最小限に抑えることが可能です。これにより、衝撃音や外部の騒音から室内を効果的に保護します。
耐震性
耐震性においても、CLTは驚異的な性能を発揮します。その強固な構造は、地震などの外部からの力に対して変形しやすく、その柔軟性が建物全体の耐震性を向上させてくれるでしょう。この靭性の高さが、通常の木造建築では不足しがちな耐震性を補っています。
耐火性
一般的な木材が火災に弱いのに対し、CLTはその特殊な構造により、表面に炭化層を形成し火の進行を遅らすことが可能です。このため、厚さ90㎜のCLT壁が1時間以上にわたって燃え尽きないことが確認されています。この耐火性は、建物内での火災発生時に十分な避難時間を確保する役割を果たします。
CLT壁は木造の持つ課題に挑戦し、遮音性、耐震性、耐火性の向上に成功しています。木造建築において持続可能性と安全性を追求するならば、CLT壁はその有力な解決策となるでしょう。これにより、木造建築が新たな次元で進化し、持続可能な未来の建築に貢献しています。
CLTだからこそ実現!CLT耐震壁
耐震壁は、主に地震時の水平荷重に対抗するために設けられる耐力壁の一種です。通常はRC造やSRC造の建築物で見られ、四方を梁に囲まれた構造となっています。この特別な壁は、地震による揺れに強く、建物全体の構造設計が耐震性を考慮しています。
耐震壁はその特性上、他の部分よりも剛性と強度が優れており、地震時における水平方向の力に対して抵抗の役割を果たすことが可能です。建築基準法上では、「耐力壁」の表現が一般的であり、これには耐震壁だけでなく、その構造に寄与する他の壁も含まれます。
このように、耐震壁は地震などの外力に対して高い抵抗力を発揮し、建物の安全性を向上させる重要な構造素材です。
CLT市松ブロック壁は、市松状に配置されたCLTパネルと鋼板、ドリフトピンを組み合わせて構築されています。この構造により、従来の耐震壁よりも優れた耐力と靭性を発揮し、地震時の揺れに対して高い安定性の確保が可能です。特に、小判状のCLTパネルが金物と組み合わさることで、ブレース効果が生まれ、耐震性が向上します。
この耐震壁の開発経緯では、力学的特性の詳細な解析が行われ、要素試験および実大壁体試験によってその性能が確認されました。これにより、CLT市松ブロック壁の高い構造性能が示され、信頼性が確立されました。
CLT市松ブロック壁の利点は、単なる機能性だけでなく、建築デザインにも与える影響が大きいです。CLTパネル工法の壁式構造においては、通常採光性や通風性の確保が課題でしたが、CLT市松ブロック壁を用いることでこれらの課題を解決でき、施工性の高いCLT建築物の実現が可能になります。そのため、CLT市松ブロック壁は、木造建築のデザイン性を向上させつつ、地震時の安定性も確保する画期的なソリューションとして期待されています。
今後、CLT市松ブロック壁は建築分野での活躍が期待され、CLTパネル工法だけでなく、鉄骨造やRC造の耐震要素としても利用が広がることで、木造建築の持続可能性と安全性を一層高めるでしょう。
木造建築には主に木造軸組工法とツーバイフォー工法の2つの構造があります。木造軸組工法は柱と梁を組み合わせて自由度の高いデザインや間取りが可能で、日本では古くから使用されています。一方、ツーバイフォー工法は北米発祥で、壁によって建物を支える構造で、建築期間を短縮し、耐震性を向上させる利点があります。
木造建築の課題点として、遮音性の低さや気密性の不足が挙げられます。また、耐震性や耐火性において他の構造に比べやや劣ることがあります。しかし、CLT壁と呼ばれる新素材は木造建築に革命をもたらしています。 CLT壁は遮音性、耐震性、耐火性に優れ、木造建築の持続可能性と安全性を向上させています。特に、CLT市松ブロック壁は高い耐力と靭性を備え、建築デザインにも影響を与え、木造建築の未来を明るくしています。