木造5階建てがブーム?続々と建設される木造高層建築
木造5階建てがブーム?続々と建設される木造高層建築
2023/07/30
近年、木造の高層ビルが注目されており、5階建や7階建、11階建などの純木造ビルが次々と完成しています。改正建築基準法による規制緩和と新素材「CLT」の登場が、この動きを支えています。木造5階建ては地球環境に配慮し、建設コストを抑えながらも優れた耐震性能と省エネ性能を実現しています。
木造5階建てを超える純木造ビルがブーム
最近、5階建や7階建、11階建などの純木造ビルが次々と完成しています。11階とはいえ、一般的な高層ビルとは異なり、全ての柱、梁、床、壁、そして構造体が木で構成されています。通常、高層ビルと言えば鉄骨や鉄筋コンクリートが使用されるイメージがありますが、最近では純木造でも建築が可能になってきています。
日本国内だけでなく、海外でも木造の高層建築が注目されており、例えばノルウェーでは2019年に18階建ての木造ビルが完成し、2022年にはオーストラリアで世界最大規模の木造建築である39階建ての高さ182mの複合施設が計画されています。
木造5階建て以上の建築物が少なかった理由
近年、建築業界では木造ビルの建設が盛んになっています。これまでは、中高層の建物には主に鉄筋コンクリートや鉄骨が使われてきました。これは、耐火性を満たすための規定が建築基準法で定められていたからです。しかし、2019年の改正建築基準法の施行により、木造建築に関する規制が緩和されました。
以前の法律では、高さ13mを超える建物や、軒高9mを超える建物は耐火構造が必要でした。この規制が改正されたことで、木材の利用が増え、新しい基準が必要になったのです。
新しい基準では、安全性は保たれつつも、設計の自由度が増しました。16m以下の高さや3階以下の木造建築物は、原則として耐火構造の規制から外れました(倉庫や自動車修理工場を除く)。さらに、16mを超える建物や4階建ての木造建築物には、準耐火構造として新しい基準が設けられました。
準耐火構造は、主要な構造部分に厚い木材を使用し、一定時間の火災に耐える性能を持つ条件です。壁や柱、屋根、床、階段などの構造部分が準耐火構造の条件を満たし、窓や扉などの開口部には防火設備が設置されています。
耐火構造は火災中も建物の安全性を維持する構造ですが、準耐火構造は火災の初動から一定時間、延焼を抑制する性能を持っています。
木造5階建てを実現した「CLT」
改正建築基準法では、主要な構造部分に通常より厚い木材を使用することが規定されています。その一例がCLTです。
CLTは、1995年ごろからオーストラリアを中心に開発され、現在でもヨーロッパで使われています。Cross Laminated Timber(直交集成材)の略称で、複数のひき板を直交させて積層し接着したパネルです。
CLTは耐火性が非常に高く、厚さ90㎜のCLTであれば、1時間で約60㎜しか燃えません。これにより、木造建築物の構造部分にCLTを使用することで、一定時間燃えない壁や床が実現します。また、CLTを使うことで、壁や柱の表面に石膏ボードを必要としないため、デザインの自由度も高まります。
木造5階建ての利点は多岐にわたります。まず、建設中の炭素排出が少なく、地球環境にやさしい方法で建築できることが挙げられます。また、建設コストが低く抑えられ、他の構造材料よりも経済的です。さらに、優れた耐震性能と省エネ性能を兼ね備えており、大空間の建築物も可能です。
木材は断熱性にも優れており、日本の気候条件にも適しています。湿度の変化にも対応し、湿気を吸収して放出することで、快適な室内環境を保つことができます。
建築業界で流行する木造5階建はメリットが大きい
建築業界では、木造高層建築の建設が次々とおこなわれ、流行となっています。これは、改正建築基準法の施行により木造建築に関する規制が緩和され、木造建築を建設しやすくなったことが理由です。
木造5階建てを実現した「CLT」は、ヨーロッパを中心に使用されている直交集成材のことで、耐火性が非常に高く、デザイン面でのメリットも引き出せます。木造5階建てには、SDGsに配慮した取り組みができ、建設費を抑えることができるなど、さまざまなメリットがあるのです。
近年、建築業界では木造の高層ビルが注目されており、5階建や7階建、11階建などの純木造ビルが次々と完成しています。これらのビルは、全ての柱、梁、床、壁、そして構造体が木材で構成されており、従来の鉄骨や鉄筋コンクリートとは異なる建築スタイルを提案しています。
日本国内だけでなく、海外でも木造の高層建築が増えており、ノルウェーでは18階建ての木造ビルが2019年に完成し、オーストラリアでは2022年には39階建ての木造建築が計画されています。
これまで中高層の建物には主に鉄筋コンクリートや鉄骨が使用されてきましたが、2019年の改正建築基準法の施行により、木造建築に関する規制が緩和されました。高さや階数に応じた新たな基準が設けられ、16m以下や3階以下の木造建築物は原則として耐火構造の対象外となりました。
特に注目されるのは、この動きを支える新素材の一つ「CLT」です。CLTは直交集成材と呼ばれ、木材の複数のひき板を直交させて積層接着したパネルで、耐火性が高く、デザインの自由度も広がります。木造5階建てのメリットとしては、地球環境への配慮や建設コストの抑制、優れた耐震性能と省エネ性能が挙げられます。
このように、木造建築の技術革新と規制の緩和により、木材を活用した高層建築が多くの国で実現し始めています。これからもさらなる発展が期待される分野です。