設計から施工まで一貫したCLT企業をピックアップ
設計から施工まで一貫したCLT企業をピックアップ
2023/06/15
日本でのCLTの普及は、2016年に建築基準法告示が公布・施行されたことからまだ始まったばかりと言えます。CLT木材を採用している企業もまだ数は限られているため、CLT建築を依頼する際には企業選びが重要です。そこで今回は、CLT企業の選び方や、設計から施工まで一貫して行っている3つの企業をご紹介いたします。
CLT企業の選び方
まずは、CLT企業の選び方をご説明いたします。CLT企業を選ぶときにチェックしておくべきポイントは、次の3つです。
JAS規格に適合するCLT木材を製造しているか
JAS(日本農林規格)は、国が設けた品質基準であり、建材などの製品が一定の品質水準を満たしていることを保証するために使用されます。JAS規格に適合するCLT木材の製造は、品質管理体制の整備と厳格な品質検査が不可欠です。
JAS規格に適合するCLT木材は、正確な寸法・厚さの一貫性があり、接着剤の性能や耐力特性が確保されています。また、表面の仕上げや防腐処理なども適切に行われていることが求められます。
CLT企業を選ぶ際には、JAS規格に適合する高品質なCLT木材を製造しているかを確認しましょう。JAS規格に適合するCLT木材を製造している企業は、品質に対する取り組みや技術力が高いことが期待できます。
JAS規格に適合するCLT木材を使用することで、建物の耐久性や安全性を確保することができます。現時点では、2021年6月時点でJAS規格に適合するCLT木材を製造している企業はわずか8社です。
年間の製造量はどれくらいか
日本国内においてはCLT木材の流通量がまだ限られているため、価格も高めになっています。しかし、年間製造量が多い企業を選ぶことで、製造コストを削減することができます。また、年間製造量の多い企業は高い技術力を持っていることが期待できます。したがって、年間製造量もCLT企業を選ぶ際の重要なポイントとなります。
設計から施工まで一貫して依頼することは可能か
CLT企業には、CLTの製造販売のみを行っている企業と、建物の設計から施工まで一貫して行っている企業が存在します。設計・施工一貫体制の企業を選ぶと、一度のやり取りで完結するため、設計と施工の間での食い違いが生じにくく、手間と費用を削減できるメリットがあります。
一貫した設計から施工までを行う企業は、CLTの設計段階から建物の実際の施工までをトータルにサポートします。これにより、設計と施工の連携がスムーズに行われ、建物の品質やスケジュールの管理が効率的に行えます。また、施工段階での問題や調整が容易になり、建物の完成度を高めることができます。
ただし、CLT木材の場合は、専門の販売会社から購入することでコストを削減することもできます。CLT製造専門企業がCLTを販売する場合、製造コストの面で競争力を持っていることがあります。そのため、設計・施工一貫体制の企業を選ぶ場合でも、事前に見積りを依頼し、コスト面での比較検討を行うことが重要です。
CLT設計から施工まで手掛ける企業3選
CLT木材を購入するだけでも、CLT設計と施工の知識がある企業の方が、幅広い質問ができて安心です。ここでは、JAS規格に適合する木材を製造していて、CLT設計から施工まで手掛けている代表的なCLT企業を3社ご紹介いたします。
ティンバラム株式会社
ティンバラム株式会社は、秋田県に本社を置く2020年創業の製造加工企業で、JKホールディングスの中核企業として活動しています。同社は秋田県内に5つの工場を有し、秋田県、岩手県、東京に営業所を展開しています。
最新の設備で精度の高い木材を加工している
ティンバラム株式会社は最新の設備を備え、高い精度を持つ木材の加工を行っています。手動プレス機や自動プレス機などの最新の機器を使用し、20mの木材にも対応可能です。また、ウッドストラクチャーシステムを採用しており、設計、木材の製造、プレカット、施工まで一連の工程をスピーディに行っています。
大型施設の建築を得意としている
東北産材のスギ、ヒノキ、カラマツだけでなく、イマツ、ベイヒバ、スプルースなどの外国産材も取り扱っており、幅広い木材を使用して集成材を製造しています。そのため、様々なニーズに対応することができるのがティンバラム株式会社の強みです。特に大型施設の設計および施工を得意としており、宮城県の生涯学習センターや秋田県大館市のドームアリーナなど、ティンバラム株式会社が手掛けたCLT建築物は多数あります。
所在地:秋田県南秋田郡五城目町大川大川字ウツフケ141-1
電話番号:018-875-2151
年間製造能力:2,500m³
製造外対応:設計・加工・施工
銘建工業株式会社
銘建工業株式会社は、岡山県に本社を置く企業であり、前身である中島材木店は1923年に創業しました。1970年に社名を銘建工業株式会社に変更し、同時に集成材製造を開始しました。
構造用集成材・CLT製造は国内でトップシェアを誇る
銘建工業株式会社は構造用集成材・CLTの製造において国内トップシェアを誇っています。取り扱っている木材の種類にはスギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツ、外層ヒノキ、内層スギ(ハイブリッド)、外層オウシュウアカマツ、内層スギ(ハイブリッド)が含まれており、高品質な木材の製造に定評があります。同社はCLT専用の工場を保有しており、年間の製造量は30,000m³に達し、構造用集成材・CLTの製造分野で国内でのトップシェアを誇っています。
施工実績が豊富にある
銘建工業株式会社は四国、中部、近畿、九州、沖縄など各地域においてさまざまな建築物を手がけてきました。建物の種類も事務所、集合住宅、児童施設、医療施設、商業施設など多岐にわたります。代表的な施工実績としては、JR南松本駅待合所、真庭市立中央図書館、岡山市錦認定こども園、岡山市営駅南駐車場待合所などがあります。
所在地:岡山県真庭市勝山1209
電話番号:0867-44-2695
年間製造能力:30,000m³
製造外対応:加工
株式会社中東
株式会社中東は、1968年に石川県で創業した企業です。当初は中東木材という社名でしたが、後に株式会社中東に改名しました。同社はスギ、カラマツ、ヒノキ、ヒバのCLT木材の製造を行っています。
効率のよい生産体制を構築している
中東は効率の良い生産体制を構築しており、高周波プレス機が搭載されたCLT接着ラインを使用しています。このラインにより木材の接着から搬出までの工程が自動化されており、効率的にクオリティの高いCLT木材を安定して生産しています。
海外でも事業を展開している
日本国内では、注文住宅をはじめとする民間および公共事業に携わっており、能登町観光・地域交流センターや姫の沢公園管理棟、国際基督教大学のメインコート・プール棟などの建物を手がけています。さらに、海外でも事業を展開しており、上海の法華学問寺やシンガポールのケーブルカー駅レストランなども株式会社中東が設計し施工した建築物です。
所在地:石川県能美市岩内町ヤ1-9(岩内工業団地内)
電話番号:0761-58-0100
年間製造能力:3,000m³
製造外対応:設計・加工・施工
日本国内でのCLTの普及はまだ十分とはいえず、CLTの技術もヨーロッパを比較すると遅れを取っているのが現状です。しかし、JAS規格に適合するCLT木材を製造していて、年間製造量が多く、設計から施工まで行っていて施工実績が豊富なCLT企業であれば、高い技術力が期待できます。CLT企業はそれぞれ得意分野があり、木材の価格や建築費用も異なりますから、まずは見積りを依頼して比較し選ぶことをおすすめします。