無垢材・集成材からCLTへ~構造の違いと用途を解説
無垢材・集成材からCLTへ~構造の違いと用途を解説
2024/02/26
自然の風合いと安全性を重視した木材選びでは、無垢材と集成材が主な選択肢です。無垢材は自然な風合いと調湿効果がありますが、変形のリスクがあります。一方、集成材は強度や性能が安定し、加工が容易ですが、化学物質のリスクが課題です。CLTはシンプルな施工と優れた耐震性で注目されています。
自然の風合いと安全性を重視した木材選び
無垢材は天然素材で、自然な風合いと健康に配慮した調湿効果がありますが、制約や変形のリスクがあります。集成材は強度や性能が安定し、加工が簡便で価格も抑えられますが、化学物質のリスクがある点が課題です。
◇構造の違い
無垢材は、伐採した木をそのまま形に整えて使われる木材で、自然な風合いや香りが特徴です。一方、集成材は複数の木材を接着して作られ、加工が簡便で、建物の基礎や柱、梁、床など、さまざまな用途に使われるほか、家具にも利用されます。
◇無垢材の特徴
無垢材の利点は、体に優しい天然素材であることです。木材の生産プロセスで化学物質を使用しないため、健康リスクが少なく、調湿効果もあります。夏は湿気を吸収し、冬は湿気を放出して室内の湿度を快適に保ちます。
一方で、無垢材の欠点は、一本の木から得られる材料が限られるために制約が多く、反りや変形が生じやすいことです。
◇集成材の特徴
集成材は、木材ごとの強度や性能のばらつきが少なく、一本の丸太を有効活用できるという点が大きな利点です。品質が安定しており、強度テストの結果からの信頼性も高く、職人の技術に左右されにくいのが特徴です。
また、膨張や収縮が少なく、取り扱いが容易な点も魅力的です。さらに、高級な木材を使っても、無垢材よりも比較的安価に入手できます。
ただし、集成材は人工的に作られた木材であるため、使用された接着剤に含まれる化学物質によるシックハウス症候群のリスクがあります。しかし、2003年の建築基準法改正により、安全基準が設けられ、管理が厳しく行われています。
家具から構造用まで集成材の種類と用途
造作用集成材は、ひき板を集成接着して加工し、美観を保ちつつ階段や天板、カウンターなどに使用される材料です。海外からのフリー板を原料とし、大きなサイズで価格も手頃、反りが少ない特徴があります。化粧ばり造作用集成材は、芯材に安価な樹種を使用し、銘木を貼り付けることで高級感を演出します。構造用集成材は、耐力を満たすために集成接着されたひき板で、大スパン建築に適しています。
◇造作用集成材
造作用集成材は、素地のままのひき板を集成接着して加工し、美観を保ったままの製品です。これらはみぞ切りなどの加工が施され、主に階段や天板、カウンターなどの内装に使用されます。
フリー板と呼ばれる海外から輸入された原材料を使用して製造されています。天板やテーブルの製作においては、無垢材よりも大きなサイズが可能であり、価格も手頃で反りも少ないのが特徴です。
◇化粧ばり造作用集成材
造作用集成材は、ひき板を素地のまま集成接着し、美観を目的として化粧薄板を貼り付けた材料です。和室の造作材や商業施設、飲食店のカウンターや天板、枠材などの内装に広く活用され、品格のある空間演出が可能です。
安価な樹種の集成材を芯材にし、表面に銘木を薄くスライスした単板を貼ることで、経済的でありながらも同じ柄や色を大量生産できる利点があります。この材料は日本の高度経済成長期に和室材の需要に応えるために広く利用されました。
◇化粧ばり構造用集成柱
耐力を確保するためにひき板を集成接着し、その表面に美観を重視して化粧薄板を貼り付けたものです。これは、在来軸組工法住宅の柱材として使用され、断面の一辺の長さが90mm以上から135mm以下のものが主流です。この化粧貼り構造用集成柱は、芯材に積層数が5枚以上のひき板を使い、化粧薄板も厚みが1.2mm以上のものを採用しています。
この集成材は強度があり、美しく狂いが少ないのが特徴です。主に和室の柱として使用され、構造用集成材の芯材としての機能と、表面の銘木を使った化粧材としての機能を兼ね備えた集成材となっています。
◇構造用集成材
この集成材は、所定の耐力を満たすために等級区分されたひき板を集成接着したものです。所要の耐力に応じた断面の大きさと安定した強度性能を持ち、大スパンの建築物の建設にも適しています。
寸法と断面積によって大断・中断面・小断面の3つに分類されており、柱や梁、桁などの木質構造の耐力部材として使用されます。国土交通省の告示に基づいて材料強度が規定されており、住宅や非住宅の柱や梁、桁などの建築物の構造材として広く利用されています。
また、強度性能や接着性能、ホルムアルデヒドの拡散量などはJASによって試験方法と適合基準が定められており、一定水準の品質が保たれています。
平行と直交~集成材とCLTの違い
環境問題が注目されるなか、建築分野で木材の利用を促進する技術の一つとして、CLTパネルの利用が注目されています。この記事では、集成材とCLTの相違点やそれぞれの特徴、用途について詳しく説明します。
◇集成材との違い
CLTは、シンプルな接合具を使い、熟練した職人でなくても施工が可能です。災害時には、仮設住宅の部品として保管し、必要に応じて組み立てて使用できます。また、鉄筋コンクリートなどと比べて軽量であり、実際の大規模振動台実験でも阪神淡路大震災の揺れ以上の力でも倒壊しないことが確認されています。森林資源の有効活用という観点からも、その利点が期待されています。
◇CLTの特徴
CLTは、シンプルな接合具を使い、熟練した職人でなくても施工が可能です。災害時には、仮設住宅の部品として保管し、必要に応じて組み立てて利用することもできます。
さらに、鉄筋造と比べて軽量であり、実際の大規模な振動台実験でも阪神淡路大震災の揺れよりも大きな力にも耐えることが確認されています。森林資源を効率的に活用する観点からも、その価値が高く評価されています。
◇CLTの用途
CLTは、1995年頃からオーストリアを中心に発展し、現在ではヨーロッパ各国やカナダ、アメリカ、オーストラリアなどで広く利用されています。木材の特性を活かした断熱性や壁式構造の利点を生かして、注文住宅や共同住宅、高齢者福祉施設、ホテルなどに使われています。
CLTは立てれば柱と壁、寝かせれば床と梁の役割を果たすことで、建物をシンプルに建てることができます。そのため、積木やブロックを使うような感覚で、柱を立てて、梁を渡して、壁や床を張るだけで建築工程を完了させることができ、工期の短縮にも役立ちます。
自然の風合いと安全性を重視した木材選びには、無垢材と集成材の特性があります。無垢材は天然素材で、自然な風合いと健康に配慮した調湿効果がありますが、制約や変形のリスクがあります。一方、集成材は強度や性能が安定し、加工が簡便で価格も抑えられますが、化学物質のリスクがある点が課題です。
無垢材は伐採した木をそのまま形に整えるため、自然な風合いや香りが特徴ですが、制約や変形が生じやすいです。集成材は複数の木材を接着して作られ、建物の柱や梁、床などに利用され、強度や性能が安定しています。また、集成材は加工が容易で、高級木材を使用しても比較的手頃な価格で入手できる利点がありますが、接着剤による化学物質の影響が懸念されます。
CLTはシンプルな接合具を用い、誰でも施工が可能であり、災害時には仮設住宅の部品としても使用可能です。軽量でありながら大規模な振動台実験でも耐震性が確認され、森林資源の効率的な活用が期待されています。