CLT製造メーカーを調査してみました!意外な国産メーカーの実力
CLT製造メーカーを調査してみました!意外な国産メーカーの実力
2023/04/05
CLTは「ラミナ」と呼ばれる板を交互に合わせることで収縮を小さくさせて、強度を高めている木材です。国内でも複数社の製造メーカーがあり、それぞれに技術開発をおこないながら品質向上に努めています。
ここでは、国内のCLT製造メーカーの製造技術や、製造能力について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
CLT製造メーカーは何社ある?
低コストで高品質なCLTパネルを購入するには目的・用途に合わせたメーカー選びが重要です。
一般社団法人日本CLT協会が公開している国内のCLT製造企業(JAS認定工場で日本CLT協会会員)は8社で、これらの企業は国が定める基準を満たす「JAS規格」に適合するCLT木材パネルの製造・販売メーカーです。
CLT木造パネルへの加工のみをおこなえる企業は14社ありますが、原盤の木材からCLTへ製造からパネルまでの加工をできる企業は全国的に少ないのが現状です。
それぞれの所在地は北海道、秋田、宮城、石川、鳥取、岡山、愛媛、鹿児島で、この8社においても対応可能なCLTのサイズや屋外使用の可不可などメーカーによって仕様が異なります。
そして、製造に加えて設計・加工・施工などのCLT工法の工程まですべて請負いができる企業は8社のなかでも4社のみです。
国内CLT製造メーカーの製造量は?
CLTは直交集成板とも呼ばれ、乾燥させた挽き板を繊維方向に直交するように積層接着させた大型面材です。木材特有の伸びや縮みが少ないため、コンクリートや鉄などの異なる素材や工法でも融合しやすいのが特徴です。
日本CLT協会の2022年7月資料ではCLT製造企業が1日8時間稼働をしてCLT製造した場合は、最も多く製造できるメーカーでは年間に30,000立方メートルを生産できるとされています。
CLT製造メーカー8社の合計生産量は63,000立方メートルで、平均的な住宅の面積の120平方メートルの木造住宅で使用する木材の量は一戸あたり約24平方メートルと言われています。
現在の国内で年間生産量では、CLT一戸建てで計算すると約1,250棟分にあたる量だということがわかります。
そして、2016年の国内製造量は5,000立方メートル、そして2018年では約3倍の18,000平方メートルと伸びており、これからも伸びていくだろうと予想されています。
国内CLT製造メーカーの製造技術は?
木材は建築材料として非常に多くのメリットを持っていますが、工場製品のように一定の規格に基づいて均一に製造される製品ではありません。
この製品のバラつきが建築材料として使用するには大きなデメリットでした。
しかし、CLTの登場により今までネックであった製品のバラつきが解消されたために、建築材料として再び注目されるように伴い、国内CLT製造メーカでも様々な技術開発がおこなわれています。
たとえば、2021年に製造されたCLTで最も大きいものが3m×12m、厚さが450㎜です。この大きなCLTを製造する工場では原木に3Dスキャンをして瞬時にカットすることで1日に2,000平方メートルのCLTを生産しています。
また、他のメーカーの工場ではカラマツ木材に合わせてCLTを接着する高周波プレスを用いた効率的な製造技術を確立をして僅か2年でJAS規定の最上位まで高めることができ、今後も技術力の向上が期待されています。
大手企業の参画・支援でさらに国内の製造能力が向上
日本は国土の7割の森林を有する国ですが、現在の我が国で使用される木材のほとんどが外国から輸入木材に頼っています。理由は国産の木材は高価であるためで、安価で均一性があり、さらに大量輸入できる外国産木材に人気が集まるからです。
かつては木材自給率9割超えていましたが現在では2割以下まで落ち込み、その救世主としてCLTは注目を集めているのです。
最近では大手建設会社などもCLTの将来性に注目しており、7社の合意で「MEC Industry 株式会社」という会社を設立しました。「MEC Industry 株式会社」は2022年6月に稼働し、各分野に精通した企業がそれぞれの得意分野を活かして、生産から加工、販売までをおこないます。
年間で製材できる原木量は55,000立方メートルで、本格的に稼働をしてから日が浅いため年間製造量はまだ判明していませんが、このような事例が増えれば今後益々国内生産量が増加するでしょう。
CLTのノウハウが高い製造メーカーは?
国内でのCLTのノウハウが高い製造メーカーを見てみましょう。先ほどお話をした設計から加工、施工までを一手に引き受ける国内の製造メーカーをご紹介します。
ティンバラム
(引用: https://timberam.co.jp/)
ティンバラムは、美しい弧を描くアーチ材を製造し、最小半径0.9mの湾曲が可能です。また、大規模な集成材を製造し、幅2m、厚さ0.6m、長さ16mまでの大スパン空間を可能にします。さらに、高精度なプレカットで労働力を節約し、工期を短縮します。そして、地域の木材を活用した集成材作りに力を入れており、スギとカラマツのハイブリッド集成材の開発も行っています。厚みの選択肢の幅は4社のなかで最も多くあります。
中東
(引用: https://chuto.jp/)
中東は、大断面集成材や耐火CLTなどを製造しています。国内のスギ、カラマツ、ヒノキ、ヒバなど、様々な樹種に対応しており、耐火性に強さは国から認定を受けており中東の耐火CLTの柱や床は様々な所で活用されています。
銘建工業
(引用: https://www.meikenkogyo.com/)
国内CLTの先駆けでもあり、トップシェアを誇る銘建工業では、スギ、カラマツ、ヒノキ、ヒバの他にトドマツも取り扱いが可能で、厚さも3層から9層まで豊富な選択肢があります。
山佐木材
(引用: https://woodist.jimdo.com/)
山佐木材はCLTのJAS認定を国内で二番目に取得した会社です。樹種はスギ・ヒノキとスギのハイブリッドやヒノキに対応しています。年間に製造できる能力は4社のなかで2番目に高いのが特徴です。
ここでは、CLT製造メーカーを調査してみました。
CLTが日本の建築に取入れられるようになってまだ日が浅いため製造メーカーはまだ少ないのが現状です。
しかし、最近では各メーカーの製造技術の向上や大手企業の参入により今後も需要が増加していくだろうと予想され、森林資源が豊富な我が国にとってはCLTがもたらす新しい可能性に目を話すことができません。