1,500件を超える木造施工~山佐木材株式会社
1,500件を超える木造施工~山佐木材株式会社
2023/03/03
山佐木材株式会社は、1948年に創業した製材を本業の柱としながら大型木造建築にも取り組む企業です。これまで木材の製造から施工までを担当した公共施設や民間施設は、1,500件を超えています。2014年にはCLTのJAS認定も取得し、国内で2番目の認定工場となりました。新しい技術や工法に取り組み、常に新たな分野に挑戦する、それが山佐木材株式会社です。
実績1,500棟以上の老舗!製材から施工まで一貫
上述したように山佐木材株式会社は、1948年に創業した製材を本業の柱とする企業です。しかし常に新たな分野に挑戦し続け、1991年にスギ構造用集成材が全国初のJAS認定を受けたことから、大型木造建築も手掛け始めました。今では木材の製造から施工までを担当した公共施設や民間施設が1,500件を超えるほどの実績を持った老舗企業です。
さらに2014年にCLTのJAS認定も取得したことで、現在はCLTを用いた木造建築を提案し、施工実績を重ねています。山佐木材株式会社はの国産材スギ、ヒノキを主体とした製品は製材、乾燥、仕上げ加工、集成材製造まで一貫した生産体制を組んでいるのが特徴です。同社はこの木材を使用した大型木造建築で、地場産材の活用による地域経済の活性化を目指しています。
耐火CLTパネルの開発・活用を推進
CLTとは、Cross Laminated Timberの頭文字をとった略称で、ひき板を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料のことです。厚みのある大きな板で、欧米を中心に中・大規模のマンションや商業施設の壁や床などに用いられており、近年急速に普及が進んでいます。
山佐木材株式会社はではこのCLTを使用したパネルを製造しており、2014年にはCLTのJAS認定も取得しました。さらに鋼構造オフィスビルなどの床にCLTが使用されることなどを踏まえ、防耐火への研究と開発を進めてきた結果、誕生したのが2時間耐火構造のCLT床です。このCLT床は、2時間耐火について大臣認定を2つ取得しました。
鋼構造に耐火構造CLTパネルを組み合わせれば、耐火性を高められるだけでなく、建築物の軽量化やコスト削減、工期の短縮といったさまざまなメリットが得られます。実際既に多くの建築物でこの耐火構造CLTパネルが使用されており、その一例が沖縄県の「みやこ下地島空港ターミナル」の工事です。この工事では床だけでなく広い屋根一面にも木材が張り巡らされており、山佐木材株式会社はでは耐火構造CLTパネルの活用も推進しています。
耐火性能を高めた集成材を実現
耐火性の高い木材の開発は、上述した耐火構造CLTパネルだけではありません。竹中工務店などを含む4社との共同で2時間耐火集成材「燃エンウッドSAMURAI」を開発し、こちらも大臣認定を取得しました。
燃エンウッドSAMURAIとは、竹中工務店が開発した「燃エンウッド」という技術と「SAMURAI」という山佐木材株式会社はと鹿児島大学で共同開発した技術を組み合わせた集成材です。燃エンウッドの荷重支持部に鉄筋を埋め込んだSAMURAIを採用することで、従来の耐火性能に加えて、強度と硬さを実現しました。
耐火性能に加えて強度や硬さという構造性能を向上させることで、スギ材という国産材として更なる活用が期待されている木材の適用拡大を図るのが狙いのひとつです。また、この集成材を使用することで梁の断面を小さくしたり、スパンを大きくとることが可能となりますし、設計計画において従来鉄骨採用が基本だったところを木質部材の採用も可能にします。
つまり今までは木造で実現することが困難だった大規模な建築空間の設計が、この技術の誕生により可能となったのです。既にこの技術は、大規模木造建築の部材として採用されており、今後さらなる適用の拡大も期待できます。
CLT・集成材で大規模木造建築を実現
続いては、大規模なCLT施工事例についてご紹介しましょう。東京都江東区に完成した地上12階建ての共同住宅では、1階から4階にスギCLTの壁を施工しました。また、この共同住宅の12階にあるカフェテリアの梁には、上記でご紹介した燃エンウッドSAMURAIが採用されています。
上述した沖縄県・みやこ下地島空港ターミナルの出発ラウンジ棟やチェックイン棟の屋根の工事も大規模なCLT施工事例のひとつです。出発ラウンジ棟の屋根フラットスラブにCLTを使用し、チェックイン棟の屋根にはCLTと集成材の組み合わせが採用されました。さらにCLTの木口板が意匠として随所の壁板やチェックインカウンターに使われています。
宮城県の10階建て共同住宅では、床(4~10階)と耐震壁(1~5階)のCLT施工を担当し、鹿児島県の屋久島町庁舎の建造では地スギを構造材として加工と一部建て方を担当しました。ここでご紹介したCLT施工を手掛けた沖縄県・宮城県・鹿児島県の3棟の建造物は、2019年度の木材利用優良施設コンクールにおいて賞を受賞しています。
沖縄県の建造物が木材利用推進中央協議会会長賞、宮城県の建造物が林野長官賞、鹿児島県の建造物が内閣総理大臣賞を受賞しました。
ご紹介したように山佐木材株式会社は、製材を本業の柱として1948年に創業した企業で、現在は大型木造建築も手掛けています。耐火性の高い木材の開発に注力しており、開発した集成材はCLTのJAS認定だけでなく、2時間耐火構造の大臣認定も取得しました。山佐木材株式会社では、開発した耐火構造CLTパネルの活用を推進し、今後もさらなる木材利用の可能性を広げていきます。