CLTを使用した家具で木質廃材の再利用を促進する方法
CLTを使用した家具で木質廃材の再利用を促進する方法
2024/04/23
隈研吾監修の木庵テーブルは、CLT材の端材を再利用して製造されています。天板は国産杉材のCLTを使用し、独特なデザインと高い強度を備えています。また、同じく国産杉材のCLTを用いたベンチもあり、座面や背もたれ、脚に3枚の板が組み合わされ、安定感と快適さを提供します。木材の暖かみと国産杉の香りを感じることができる贅沢なベンチです。
地球温暖化防止に貢献できる木材資源
木は炭素を貯蔵し、製造や加工時に発生する二酸化炭素の排出量が少なく、化石燃料の代替にもなるため、木材の利用は地球温暖化防止に貢献します。
国産材の積極利用と再生産によるリサイクルは、森林管理と保全に効果的です。内閣府が行った調査では、国民の木材利用への関心が高まっていることも分かりました。
◇温暖化防止への貢献
木材資源を利用することは、炭素の貯蔵、エネルギー集約的資材の代替、そして化石燃料の代替の3つの側面で、地球温暖化の防止に寄与します。
樹木は光合成によって二酸化炭素を取り込み、炭素を蓄えます。木材を建築物や家具などに利用することで、大気中の二酸化炭素を削減し、木造住宅や木造建築は温暖化防止に効果的です。
木材の製造や加工は他の資材よりも少ないエネルギーで行われ、製造や加工時の二酸化炭素排出量も少なく抑えられます。
また、木質バイオマス燃料は化石燃料よりも温室効果ガス排出量が少ないため、化石燃料の代替として利用することで、大気中への二酸化炭素の排出を抑制できます。
◇再生産によるサイクル
国産材の積極的に利用することにより山林の収益を増やせ、伐採後に適切な植林や整備を行うことで再生産によるリサイクルサイクルが可能になります。これにより、森林が適切に管理および保全され、地球温暖化を防止するだけでなく、森林の多様な機能も持続的に発揮できます。
◇木材への関心の高さ
令和元年に内閣府が行った「森林と生活に関する世論調査」によると、木材利用に関する国民の意識は高いことが示されました。調査では、建築物や製品に木材を利用すべきかどうかという質問に対し、88.9%の人が「利用すべき」と回答し、約6割の人がその理由として「触ったとき木のぬくもりが感じられる」や「気持ちが落ち着く」と挙げています。
木質廃材のさまざまな活用方法
木質廃材は、製材工場、プレカット工場、建築系廃材などから発生します。製材工場の木質廃材は、木材チップや燃料、プレカット工場の木質廃材はチップや家畜敷料、建築系木質廃材は燃料として活用されるのが一般的です。
◇製材工場
製材工場では製造工程で、木材の約4割が副製品や廃棄物になります。2003年の調査によると、廃材の32%が木材チップ、35%が家畜敷料に使用されています。製材工場から出た残廃材は、薬剤が混入されていないクリーンな資源であるため、木質ペレット原料やアルコール製造原料、生分解性プラスチック原料(ポリ乳酸)の製造にも最適です。
◇プレカット工場
住宅部材の加工する際に、廃材が発生します。2003年の調査によると、廃材の28%がチップ、22%が家畜敷料に活用されています。ただし、プレカット工場で発生する廃材には、防腐薬剤処理や接着剤などが混入している可能性があるため、プレカット工場の廃材は製材工場ほど活用されていません。
◇建築系廃材
建築系廃材は、住宅の解体材や新築に伴う廃材、コンクリート型枠材などです。建設リサイクル法が施行され、住宅の分別解体と廃材の再資源化が義務づけられたため、廃材資源の供給量が増加しました。
建築系廃材は、主に燃料として活用されますが、畜産が盛んな地域では家畜敷料としても活用されています。2000年の行った調査では、その割合は再資源化されるのが55%で、家畜敷料が39%でした。
隈研吾デザイン監修の木庵テーブル
隈研吾は、東京大学特別教授・名誉教授で、人と自然と技術が新しい関係が築ける建築を提案しています。隈研吾がデザインを監修した家具には、木庵テーブルと国産杉材ベンチがあります。いずれの原材料は、CLTで建築する木庵の製造過程で排出されるCLT材の端材です。
◇端材を利用したテーブル
天板には、国産杉材を3層3プライのクロスラミネーテッド材(CLT)を使用し、繊細な木組みの三脚がテーブルを支えています。空中に浮いているかのようなデザインが特徴的です。杉材の独特な風合いと、木の心地よい香りを愛でながら、リラックスした時間が過ごせる心地よい家具に仕上がっています。サイズは、大中小の3つです。
◇国産杉材のベンチ
座面、背もたれ、脚の3カ所に、国産杉材を使用した3層3プライCLTを使用しています。3枚の板が互いに支え合い自立する設計になっていて、CLTの力強い断面を誇りながら、絶妙なバランスで座った人の体をしっかりと支えます。使うたびに木の暖かな表情を感じることができ、国産杉の木の香りに包まれるベンチです。3人掛け、2人掛け、1人掛けの3サイズがあります。
CLTの活用で日本の森林や林業を守る
日本は森林資源に恵まれた国ですが、国産木材の利用は低下しています。CLTは、木材を層に積み重ねて接着した建築材料で、高い強度と耐久性が特徴です。CLTを積極的に活用することは国産木材の活用を増やし、森林の保全や再生に貢献します。林野庁のデータによれば、2022年の木材自給率は減少していますが、合板の国産材自給率においては増加傾向にあることが分かりました。
◇CLT家具で日本の森林を守る
国内の森林資源が豊富なのにもかかわらず、使用されている木材の多くは外国産で、国産木材の利用が低下しています。CLTは、木材を層に積み重ねて接着した建築材料で、その積層構造により非常に高い強度と耐久性を持ちます。
CLTは、家具や木造住宅だけでなく、中高層ビルの建設も利用可能です。CLTは日本の杉や檜などが原材料のため、その利用は国産木材の活用を増やし、森林の保全や再生にもつながります。
◇木材自給率は上昇傾向
林野庁の発表によると、2022年の日本の木材自給率は40.7%で、2021年に比べて0.4%減少となりました。この結果は、非建築用材やパルプ・チップ用材の輸入が増加したことが理由と考えられます。その一方で、合板の国産材自給率は前年比4.7%増の50.02%で、上昇傾向にあります。
日本の豊かな森林資源がありながら、国産木材の利用が低迷している状況があります。この課題に対処するため、CLT(Cross Laminated Timber)が注目を集めています。CLTは、木材を薄い板に切り分け、それを層に重ねて交互に貼り合わせることで作られる建築材料で、高い強度と耐久性を備えています。この特性から、CLTは建築物の構造材料として、特に中高層建築物や大規模な構造物の建設に適しています。
CLTの利用は、日本の森林資源の持続可能な利用に大きな可能性をもたらします。なぜなら、CLTの原料となる木材は、主に国内の杉やヒノキなどの木を使用するため、国産木材の需要を高める効果が期待されるからです。さらに、CLTの製造プロセスでは、木材を加工するためのエネルギーや資源の使用量が比較的少なく、また、木材の貯蔵によって炭素を固定する効果もあります。
これにより、日本の林業と森林保全の両方にポジティブな影響を与えます。林業においては、CLTの需要増加によって、伐採される木の価値が高まり、森林の持続可能な管理と再生が促進されます。また、森林保全においては、持続可能な管理が行われることで、森林の多様性や生態系の保全が図られます。
そのため、日本の森林資源の有効な利用と保全を両立させるために、CLTの活用が積極的に推進されるべきです。これによって、日本の森林や林業の活性化が促進され、同時に地球環境への貢献も期待されます。